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不安との共存戦略


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:あこ(ライティング・ゼミ2月コース)
 
 
「最近、夜中も起きてしまって、日中もボーっとしてしまうんです。同僚に相談したら、上司に相談した方がいい、って言われたので、相談しました」
先週、部下から私が受けた相談だ。
 
確かに、ここ3ヶ月、部下の仕事量は急激に増え、少し難易度が高い仕事も任せていた。私も逐一相談に乗ったり、仕事量を減らすよう他チームに協力を頼むなどしてきたが、やはり、限界超えが近かったようだ。
内心、「私、上司失格かな……」と思いつつ、落ち着いて部下の話を聞いてみることにした。
 
まず、私に何をしてほしいか。
今、何に不安を覚えているのか。
部下のリクエストと意見を一通り聞いた。
その上で、「多分、仕事がいっぱいあるように見えて、色々不安なんだろうな」と思った私は、一緒に部下が持っている仕事を整理し、見通しをつけたうえで、彼の様子を見ることにした。
 
とはいえ、その対処法が適切なのかわからなかった私は、自分の元上司に相談した。
元上司からは
「不安な時は、事実が大きく見えている、ということだと思う。余計な不安を持たないように、事実と解釈を分けること。あと、どうしよう、と悩むのは、不安になるだけで物事は進まないから、悩む暇があったら、やることを淡々とやって休むことが大事」
と言われた。
 
同じことを、元同じチームの同僚にも聞いてみた。
彼からは、
「確かに、仕事が多く感じる時や、心配事が多い時や不安が多い時は、物事の一つ一つが大きく見えて、やってもやっても解決しそうにない、と感じる。タスク整理をすることも大事だけど、タスクを進めると確実に前に進む、仕事が終わるって実感が持てるような景色を見せてあげることが大事」
と言われた。
 
なるほど。
確かに、不安な時って、先行きの見えないことや起こってもいないことに対して、どうなるかわからず、悪い想像だけが先行してしまうことが多い。
そして、不安感が強いと、誰かが言った言葉や、起こった事柄に対しても過大解釈をしてしまい、ネガティブな思考に陥ってしまう。
 
私も、どちらかと言えば不安感が強い、ネガティブ思考な人間である。
不安感やネガティブさは、リスクヘッジには役立つので、大きなトラブルに巻き込まれない、というメリットもある。
おかげで、私は「手堅く仕事を進める」というイメージを持たれているし、実際トラブルは少ない方だと思う。
けれど、不安感が強いとストレスを感じやすく、大胆な挑戦がしづらく、部下を管理する気持ちも強くなってしまう。
自分としては、この不安感の強さをどうにかしたい、とずっと思ってきた。
 
元来、人間というのは、不安を感じやすい、ネガティブに考えやすい生き物なのだそうだ。
これは人間だけではなく、生物全体に備わっている「危機管理能力」に由来する。
不安を感じ、危険を察知し、ネガティブに考えることが出来る=リスクヘッジができるため、危機を避け、安全な道を選ぶことで、生き残ることが出来る。
生存戦略上、必要な能力であり、この能力があったからこそ、進化してきたとも言える。
なので、不安を感じやすい、ネガティブに考えやすい、ということをマイナスに捉える必要はないのだ。
 
とはいえ、不安感はストレスにつながるので、少しでも軽減する方法はないのか、と私は考えていた。
 
そんな私に、前述の元上司が教えてくれたのが「事実と解釈を分けること」である。
例えば、元上司に「お客さんを怒らせてしまった」と相談したことがあった。
すると彼は、実際何が起こっているのかを詳細に聞いてくれた上で、「それは特にお客さんは怒っているとは言わない。ただ起こったことに対して、このように対処すればよいだけだ」ということを、淡々と教えてくれたのだ。
 
元チームメイトの同僚もそうだった。
仕事の関係者から、少し手痛い、と感じるフィードバックをもらったことがあり、落ち込んでいたことがあった。
すると彼からは、「それは、怒られているわけではなく、ただそのセリフを言われたというだけ。そんなに大事に捉える必要はない」ということを言われた。
 
彼らと話をするたびに、「言ったことや起こったことと、それを私がどう感じたのか、相手の反応をどう受け取ったのか」は分けて考える必要があるんだな、と思うようになった。
 
そして、彼らが言う通り、「何が起こっていて、物事を前に進めるためにはどうするべきか」を考えて、実行すると、仕事は前に進むことが多くなり、お客さん相手に変に緊張することも減ってきた。
 
とはいえ、マネージャーに昇進したばかりの時は、やはり不安だらけだった。
元上司にもしょっちゅう相談をしに行っていたし、友達にもよく泣きついていた。
 
しかし、ここ最近、不安感が減ってきている自分がいることにも気づく。
私が不安感を減らすことが出来ている要因は4つあると思っている。
1つ目は、先述した「事実と解釈を分けること」に慣れてきたこと。
2つ目は、特に仕事では、「ある程度のことはどうにかできる」という自信が持てるようになってきたこと。
3つ目は、よく寝ることや運動することなど、うまくストレスが発散できるような習慣が身についたこと。
4つ目は、自分が心に余裕を持てるような考え方に触れること、を意識しているからだと思う。
 
2つ目の自信については、少し不安に感じることでも、実際にやってみることで、「意外と何とかなるものだな」と感じる経験が増えてきた、ということが影響していると思う。
 
3つ目の運動については、この1年半でよいトレーナーと出会いがあったことで、自然に運動習慣が身についたことが大きい。どんなに仕事が忙しくてもストレスを感じても、トレーニングに行きたい、と思えるので、よいストレス発散になっているのだと思う。
 
4つ目の自分が心に余裕を持てるような考え方に触れること、については、話していて自分が前向きになれるような考え方を持っている人と話したり、Youtubeなどのコンテンツを見たり、本を読んだりする、ということをしている。
 
意識はしていなかったが、メンタルコントロールの術をこの1年半くらいで、私自身は着々と身につけていたらしい。
そんな自分を少したくましく感じる。
 
さて、冒頭の部下だが、休みを挟んで話してみたところ、「少しマシになってきた」と話してくれた。彼はまだ2年目だ。
これから、メンタルコントロールの術を体得していくのだろう。先は長い。
 
まずは、私が出来ることとして、彼の「事実と解釈を分けること」を手伝い、物事が進んだ先の未来を提示することから始めようと思う。
 
私がお世話になってきた人たちが、私にしてくれたように。
 
 
 
 
***
 
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2023-03-30 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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