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秩父は恐ろしいところだった


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記事:くろねこ(ライティング・ゼミ4月コース)
 
 
「秩父ってどこ?」
 
地理がめっぽう弱い私は、埼玉出身の友人に
たまたま目にした秩父というワードを拾ってなんの気無しに質問した。
 
「埼玉県の南はだいたい東京でしょ。北がTHE埼玉で、西側が秩父」
 
……いやいやいや。
だいたい東京、は一旦飲み込むとして、西側が秩父ってなに。
東京、埼玉、秩父が同じ粒度で並ぶ? どんだけ存在感が強いの、秩父。
 
翌日会社で埼玉出身の同僚2人に同じ話題を振ってみた。
「だいたい東京」エリア出身の彼女は間違ってない! と笑顔で答えたし、「THE埼玉」出身の彼もそのとおりですね、と真面目な顔で回答した。埼玉県民にとって秩父は身近な観光地であり一度は訪れた事があると思う、とも言っていた。どうやら日常とは少し離れた特別な存在らしい。東京都民にとっての高尾山のようなものか。
 
埼玉県は豊かな自然と様々なお店が楽しめる都会感のバランスが絶妙だ。最近の私は休日に、とてつもなく広い公園でサイクリングをしたり、美味しいうどんやゼリーフライとかいう名前と味の素朴感がギャップの名物を食べたり、迷子になりそうな巨大ショッピングモールで買い物しつつ映画を観たりするなど、埼玉に行くことが増えていたが、私の知るエリアはほんの入口にすぎなかったようだ。3大エリアの1つに足を踏み入れたこともないなんて、埼玉マスターへの道は遠い。
 
とはいえそんなに気合いを入れたわけでもなく、じゃあ行っとくかーくらいの軽い気持ちで秩父を訪れた……訪れてしまったのだ。行く度に秩父は恐ろしいところだな、と感じている。
 
 
最初に秩父を訪れた際に目にしたのは、秩父神社を中心に街中をダンス会場にしたイベントだった。
小さな子からお年寄りまでがダンサーとなり、さっきまで観客だった人が次は演者となるスタイル。可愛らしいものから優雅なもの、キレッキレのものまで様々だ。写真を撮りあったりして、笑顔でおしゃべりしている。かと思えばトラックの側面がぱかーっと空いて、中から管楽器のバンドが登場する。一組ずつステージに登場し、緊張の面持ちで披露していく、私の知るものとは全くの別物だ。とにかくリラックスしていて楽しそうな姿が印象的だった。
 
秩父を訪れると毎回何らかのお祭りに遭遇した。屋台からの良い香りと楽しい空気に誘われてつい買い食いしてしまう。私達って運がいいねーとはしゃいでいたが違った。秩父ではたいていどこかでお祭りが開催されているらしい。その数、年間300から400。信じられない。恐ろしいパワーだ、秩父。
 
 
旅の途中、道の駅に寄ってみる。せんべいなどのお菓子のほか、日本酒やジャム、そばなど様々な特産品が売られている。その中でもとあるキャラクターのグッズが結構な幅をとっていた。
 
秩父市のイメージキャラクター「ポテくまくん」だ。黄色いわがままボディにつぶらな瞳、手には秩父名物グルメみそポテトを持っている。みそポテトはふかしたじゃがいもを揚げたものに甘い味噌ダレをかけた一品で秩父では昔から親しまれている。お祭りでは必ずと言っていいほど売られており、お店によって味噌だれの味も異なるためついつい購入してしまう。「ポテくまくん」の頭にも味噌だれがかかっている。
 
彼はとても仕事のできるやつで秩父のあちこちで遭遇する。様々な商品のパッケージにのっていたり、お祭りの看板にでていたり、市のホームページのトップページだけでも8体もの「ポテくまくん」を確認することができる。さすが秩父市の宣伝部長。好きな食べ物はみそポテト。そりゃあそうだろう。ここでシャケが好きとはいえない。……え。「みそポテトの食べ過ぎで、どうやら頭からみそがにじんてきたらしい」えええええ。上からじゃないの? みそ! 内側からなの!? 可愛いゆるキャラにこんなインパクトのある設定を盛り込むなんて攻めすぎでしょう、秩父。恐ろしい。
 
 
秩父といえば、やはり絶景は外せない。
1つ上げるとするならば関東屈指のパワースポットと言われる「三峯神社」だ。奥秩父の山中にあり、標高1,100mという高所のため下界よりも若干冷たい空気が流れている。私が訪れた日はぽつぽつと雨が降っており、霧がかっていて、人もまばらなせいか神秘的な空気が流れていた。参拝の途中に雨がやみ、霧も空も突然晴れ始めた。ふと下を見下ろすと見事な雲海。思わず息を飲み、ぼーっと眺めていると少しずつ雲海が流れていく。慌てて撮影した1枚が本記事トップの写真だ。不思議な空気の場所だった。
 
もう1つ、絶景を紹介したい。
秩父は花の街とも言える。特に羊山公園の「芝桜の丘」は、大げさではなく絨毯としか表現しようのないほど見渡す限りの一面の花畑だ。開花のタイミングに合わせて秩父特産市が開催されており、地元グルメも満喫できる。今回はぎりぎりお祭りの最終日に滑り込む事ができた。ちょっとした丘を上ったところに本会場(花畑)はあるのだが、その道すがら看板を目にした。
 
「芝桜の見頃は終わっています」
 
そっかぁ仕方ないよね、最終日だし。
ちょっと進むと看板がある。
 
「芝桜の見頃は終わっています」
 
また!?
 
この後も見頃が終わっていることを繰り返しアナウンスしてくれた。
観光客をがっかりさせないようにという気遣いか。
正直すぎる、丁寧すぎる、秩父。
 
 
結局のところ、私が恐ろしく魅了されたのは秩父の人たちのパワーなのだと思う。
地元(秩父)が大好き! という郷土愛もさることながら、1人1人が自分の範囲で目の前のことに力いっぱい取り組んでいるように感じる。そのエネルギーが1つの渦となって土地全体に活気を与えているように思うのだ。その熱にあてられて何度も秩父を訪れてしまった。
 
ちなみに今回は書ききれなかったが、お肌がつるつるになる温泉やフルーツみたいなプチトマト、足腰を鍛えたい方にぴったりな鍾乳洞(とやたら気さくな受付のベテランお姉さん)などコンテンツは多数あった。
 
しかし私は騙されない。
知ったつもりになっていても、きっとまだまだ魅力を隠し持っているはず。
仕方がないのでまた訪れてじっくり調査しなければならないのだ。
 
初夏には自然を満喫する遊びがいいかもしれない。
緑が深くなるころの森林浴などいいだろう。
川でラフティングなんかも楽しそう!
えっ、子供でもバギーを運転できちゃうアクティビティもあるの!?
 
……
 
……
 
……。
 
 
あー秩父って怖い。
(まんじゅう怖い的な意味で)
 
 
 
 
***
 
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2023-05-17 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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