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モテる男はビッグマック⁉︎ どうしたらモテる男になれますか?


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記事:くればやし ひろあき(ライティング・ゼミ10月コース)
 
 
女性に「どんな男が好き?」と尋ねると、決まって「優しい人が好き」という答えが返ってくる。
世の男性は、そんな「綺麗事」を信じてはいけない。
 
 
「優しい人が好き」は嘘である。
大嘘である。
 
 
世の中は「モテ男」と「非モテ男」に分けられる。
できれば誰だってモテる側に回りたい。
では、どうしたら「モテ男」になれるのか。
 
 
「モテ男」はビッグマックだ。
そう、あの誰もが大好きなハンバーガーチェーン、マクドナルドの看板商品「ビッグマック」である。
 
 
昔、好きになった女性がいた。
ふんわりと髪を巻いて、目鼻立ちのハッキリした肌の白い女性。
当時流行っていたロングブーツを履いていて、スラリと背が高く、一緒に歩くと同級生が振り返る。
そんな彼女だった。
 
 
友達の紹介で知り合って、すぐに意気投合した。
隣の大学に通う彼女とは、学校帰りに待ち合わせて、他愛のない話題に花を咲かせた。
 
 
大学生カップルのくせに、手を繋いだことすらなく、だからもちろんキスなどしたこともない。
そんな付き合いがもう半年も続いていた。
 
 
彼女の要望にはすべて応えた。
「優しい人が好きなんだよね」と言う。
 
 
ドライブに出かけるときは、助手席の扉を開け閉めした。
二人並んで歩くときは、いつだって車道側を選んで歩いた。
 
 
食事は彼女が食べたいものを選び、もちろんご馳走した。
ドライブのBGMは彼女の好きな浜崎あゆみの曲ばかり選んだ。
 
 
たとえ合コンでも送り迎えをした。
だって、優しい彼氏になりたかったから。
バイトと恋愛の両立はなかなか大変だ。
 
 
結果、半年後、僕はフラれた。
最後の言葉は「優しすぎてツラい」だった。
 
 
「優しい人が好きなんだよね」と言った彼女に「優しすぎてツラい」と言われてフラれる。
誰かこのミステリーを読み解いてほしい。
 
 
僕と同じ失敗を、実はマクドナルドもしている。
2006年に発売した「サラダマック」である。
 
 
その前年、マクドナルドは女性のお客様に対して市場調査を行った。
お客様が求めているものは何かを知るためのアンケート調査だった。
 
 
その結果、「ヘルシー」や「低カロリー」といったキーワードが明らかになった。
世は健康ブームの真っ只中だ。
 
 
そこで、マクドナルドは野菜たっぷりのヘルシーなハンバーガーを開発した。
その名も「サラダマック」。
 
 
健康志向のお客様にピッタリのヘルシーな商品である。
お客様のニーズに応えて商品開発を行ったのだから、当然売れると思われた。
 
 
ところが、期待は大はずれ。
ヘルシーなハンバーガーはまったく売れなかった。
 
 
お客様が健康を気にしていることは間違いない。
けれど、マクドナルドにそれを求めてはいなかったのである。
 
 
健康を気にしていた女性たちは、こぞって「ビッグマック」を口にしていた。
大きく口を開き、目を剥き出して美味しそうに頬張っていたわけだ。
 
 
それにしても、なぜマクドナルドはマーケティングで失敗したのだろう?
マーケティングの世界では、お客様の要望を聞いて失敗する事例が実に多い。
 
 
もちろんお客様の要望に応えることで対価をいただくのが商売の基本。
だから、お客様の声に耳を傾けることはとても大切なことだ。
 
 
けれど、「お客様の声」は必ずしも「お客様のニーズ」を正しく捉えているとは限らない。
そこが恋とビジネスの難しさだ。
 
 
そう、あのとき彼女はたしかに「優しい男が好きだ」と言った。
お客様の要望は「優しい男」だったはずだが、本当に求めていたのはそれではなかったのだ。
 
 
「今の彼氏、ちょっと冷たいんだけど、おしゃれでカッコいいんだ」
 
 
そう言い残して、彼女は去っていった。
ひとり、ファミレスに取り残された僕の頬を、大粒の涙が濡らした。
幸い、嗚咽はこぼれなかった。
 
 
僕と同時進行で付き合っていた彼氏がいたことをそのとき知った。
いや、僕は彼氏でもなんでもなかった。
テリヤキバーガーでもフィレオフィッシュバーガーでもなかった。
ハンバーガーに飽きた彼女がちょっとつまんだフライドポテト。
僕はそんな、都合のいい男だったわけだ。
 
 
置き去りにされた二人分の伝票を眺めながら、哀れなフライドポテトは途方に暮れていた。
 
 
今、目の前にはそのときの彼女と似た雰囲気の女性が座っている。
どうも女性の好みは年齢を重ねても、さほど変化はないようだ。
 
 
さすがにもう、ファミレスを利用することはない。
ちょっとおしゃれなイタリアンで、僕はそんな昔話を披露した。
 
 
なんとなく流れで、終わった恋の話をすることになったのだ。
そしたら彼女、つまらなそうな顔をして「女はね、優しい男が好きなんじゃないよ。私にだけ優しい男が好きなの」と言って冷たく微笑んだ。
 
 
「え?だから、僕は精一杯優しくしたんだよ」
 
「わかってないな」
 
「何がだよ?」
 
「違うって。その言葉って彼氏に優しくされたかったって意味でしょ?」
 
 
僕は20年前のミステリーの答えをようやく知ることができた。
ハッとしている僕の目の前で、彼女はノンアルコールのウーロン茶をストローでかき混ぜている。
 
 
ワインに酔ったせいだろうか、その仕草が妙に魅力的だった。
それで僕は伝票をつまみあげ「じゃあ、もう一軒行こうか」と声をかけた。
 
 
少しだけ悪い男になってみようと彼女を誘ってみたけれど、その首が縦に振られることはなかった。
どうやら僕はまだフライドポテトのままのようだ。
 
 
 
 
***
 
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2023-11-08 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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