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メディアグランプリ

憧れるのはやめられないけど、「しょうもない」をやめましょう


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:下村未來(ライティング・ゼミ12月コース)
 
 
「ふっ。なんや、しょうもない」
 
これは、とんでもなく眩しい人間を見かけた時の、私の口癖である。
「眩しい」というのは、外見やスタイルのことではない。生き方そのものだ。
 
フリフリの衣装で恋愛ソングを歌って踊るアイドル。
声を枯らしながら応援歌を歌う団長。
卒業式を終えて、わんわん泣きながらハグしあっている人たち。
 
以前までの私は、そんな人たちを見るたびに「しょうもない」と呟いていた。
 
私は少しでも失敗するとしばらく立ち直れなくなるような人間で、人前に出るなんてもってのほかだ。そんな根暗でネガティブ思考かつ臆病な自分と眩しい人たちを比べるたびに、勝手に悲しくなった。
 
だから毎日「流行りの音楽なんて、ダサいよね」「クラスの人気者には、悩み事なんてないんだろうね」なんて捻くれたことばかり言っていた。そうやって同じ考えを持つ人たちと共感し合うことでしか、人と親しくなる方法を知らなかったのだ。しかしそれは、お互いの暗くて情けない部分を「同じだね、私たちって」と慰め合っているに過ぎなかった。
 
中学校に入学した12歳の春。知らない同級生でまみれた教室で、担任の先生はこんな話をした。
 
「友達を作りたいなら、自分の嫌いなものの話じゃなく、好きなものの話をすることが大事です。悪口や陰口を言い合って仲良くなっても、良い人間関係は築けませんよ」
 
そう語る先生の目はとても澄んでいる。なんでそんな綺麗事を、当然のように言えるのだろう。先生は中学生の人間関係がどれだけ複雑かなんて知らないくせに、と思っていた。
 
しかし、類は友を呼ぶとはまさしくその通り。大学生のある日、友人が話し出したのは、当時売れていたある曲のことだった。それは私のお気に入りの曲で、そのことを知らない友人は「人気だけど、私には全然良さが分からない」と得意げに話している。私は自分のモヤモヤした感情を無視して、嫌われまいと「そうだね、分かるよ」と相槌を打った。すると、自分まで悪者になったような気がして心に黒い影ができた。
 
もしかすると私も彼女と同じように、何かを否定することで相手を不快にさせていたのかもしれない。そうやって何かを否定することでしか生きられない私たちって、一番しょうもないのではないか。数年前の先生の言葉がフラッシュバックして、何度も頭の中で響いた。
 
そしてつい先日、とんでもなくキラキラレベルが高い人間と遭遇した。それは、年末に実家に帰ろうと、朝からキャリーケースをゴロゴロと引っ張って駅まで歩いていた時のことだ。
 
「ん……? なんだこの子」
 
前を歩く高校生くらいの女の子に目が留まった。なんだか気になって様子を見ていると、彼女は踊りながら歩いていたのである。そこそこ人通りのある街中を、たった一人で。
 
白いジャージに白いキャップ。荷物はスマホだけで、耳に付けたイヤホンからはダンス曲が流れているのだろう。これからダンスの大会でもあるのか、腕や首をシュシュっと動かして、振り付けの確認をしている。なかなか派手な動きなのに、なんの恥じらいもなさそうに彼女は踊りながら駅の方面へ歩いていく。
 
「人の目線とか、気にしないのかな。見ている私の方が、ちょっと恥ずかしくなっているくらいなのに。いや、周りなんか気にしなくなるくらい、ダンスが好きなのか。それって、すごい……!」
 
完敗だ。羨ましいを通り越して、ひれ伏してしまいそうになった。「その情熱と自信、とてもかっこいいです!」と言いたくて仕方ない。
 
感動しながらキャリーケースを引っ張って歩く。彼女の後ろ姿から伝わる自信。並々ならぬダンスへの情熱。私はすっかり釘付けになってしまっていた。
 
「あの子の真っ直ぐさと強さは、どこまで続くんだろう」
 
あんなに眩しい彼女にも、落ち込む日や上手くいかない日があるのだろうか。大切な人から裏切られたり、近しい人と永遠の別れをしたり、自分の好きなものを批判されたり、そんな日も訪れるのかもしれない。
 
でも彼女には、周りに流されない素直さや、自分を信じる強さがある。だからきっと、浮き沈みの激しい毎日でも、ちゃんと乗り越えていけるだろう。
 
「あの女の子がこれからも、眩しいほどの真っ直ぐさと強さを持ち続けていられますように」
 
全員が眩しい人間になる必要なんて全くない。とはいえ、そんな人たちを真っ向から否定する必要も全くない。私は私のままで、彼女は彼女のままで良いのだ。
 
彼女の背中にエールを送りつつ、キャリケースを握る冷たい手にグッと力を込めた。
 
 
 
 
***
 
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2024-01-10 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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