メディアグランプリ

自己分析に成功したので、今週末は唐揚げを食べます


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:きむらあや(ライティング・ゼミ2月コース)
 
 
あまり料理をしたことがないまま大人になってしまった。
 
学生時代は、中高生のころは言わずもがな、大学も自宅から通っており、親が作る料理をただただありがたくいただいていた。
たまに親の不在時に、代わりに調理を担当することはあったが、だいたいカレーかシチューで済ませていた。
 
社会人になって少しして、一人暮らしを始めたいわゆる「自炊」時代の料理は、安く簡単に済ませることが主目的だった。住んでいたのは極狭のワンルームで、キッチンに至っては今思い出しても信じられないほど超狭だったため、火にかけられるのは鍋一つ。洗い物も最小限にしたくて、蒸し豚野菜にポン酢をかけたものとか、カレーを大量に作って冷凍するとか、焼きそばを大量に作って3日かけて食べるとか、何の工夫のないものばかりを食べていた。そもそも、このときはコンビニのチルド製品を買っていた回数の方が多いのではないかと思う。
 
夫は私よりは料理に意欲的なタイプで、ビーフシチューとか、ホワイトソースから作るグラタンとか、凝った料理をよく作り、誕生日は手作りでケーキまで焼いてくれる。結婚後は、私が夫よりも帰りが早ければ、2人分の夕食を作ったりもしたが、自炊時代の簡単料理に毛が生えた程度、ごはんに一汁一菜あれば上出来、の意識レベルからなかなか上がらなかった。
 
 
 
 
そもそも、料理が全然好きじゃない。苦手だ。
がんばって作ったものが失敗してしまうこともよくあるし、けっこううまくいったんじゃない? と思ったのに、あまり良いコメントをもらえないこともあって、成功体験らしい成功体験に記憶がなく、モチベーションが上がらない。
 
 
 
食に関しては、「プロに任せたほうがおいしい」とか「センスのある他の人に作ってもらいたい」などとのたまい、人任せ上等な私の料理遍歴。
 
そんな私にも、積極的に作りたいと思えるメニューができた。
「鶏の唐揚げ」である。
 
ほんの3年ほど前までは、揚げ物なんてしようとも思えなかった私が、今では多くて週に1回、そうでなくても10日に1回くらい、鶏肉を揚げている。
自炊時代に蒸し野菜ばかり作って食べていた私が今の姿を見たらひっくり返ると思う。
 
 
 
唐揚げを頻繁に作るようになったきっかけは、作った唐揚げに対するわが子の反応が非常によかったことだった。
現在4歳のわが子は、大人と同じような食事がとれるようになったころから、「唐揚げならよく食べる」子だった。
肉類は炒めると固くなりがちで、2歳前後のころはうまく食べられず、どうやってたんぱく質を摂らせようか悩んでいた。そんな折に、宅配ミールキットで唐揚げを作ったところ、ものすごくよく食べた。
わが子の離乳食時代、あらゆる料理を吐き出したり、落としたりされてきて、ますますモチベーションを見失ってきた私だったが、わが子が唐揚げに見せた反応は、今までにない最高の成功体験であり、こと唐揚げづくりに対しては、モチベーションがうなぎのぼりになった。
 
 
 
そこから始まった私の唐揚げ歴は2年になった。まだまだ‘ひよっこ’である身で僭越ながら、唐揚げづくりの最大の魅力は「トライ&エラーしても、エラーが致命的なエラーになりにくいこと」だと思う。
 
極端かもしれないが、「鶏肉に粉をつけて熱した油で調理する」というベースさえ守っていれば、調味料の種類や配分が多少違っても、そこそこおいしくなる、ということである。
 
この2年を振り返ってみると、いろんなアレンジを試してきた。
基本の醤油ベースの味付けに、しょうがをいつもよりたっぷり入れてみたり、隠し味にマヨネーズを入れてみたり。たまに別系統の味を試したくて、塩を使うレシピに挑戦したり、自己流でそこにレモンを足したりもした。
裏ワザ的に「水を足すとジューシーになる」と聞けば即実行したし、「炭酸水にかえたらよりジューシーになるのでは?」と思って試したら大成功でうれしくなったこともあった。
 
ちょっとしたミスして本来使うべき材料を使えなかったこともある。
あるときは、料理酒を切らしてしまい、みりんで代用して、照り焼き系のあまじょっぱい唐揚げができあがった。
またあるときは、片栗粉をまぶし忘れて、薄力粉だけをまぶした状態で揚げたら、某コンビニの揚げ鶏っぽくなったりもした。
どちらも、思っていた唐揚げとは違ったが、「これはこれでめっちゃおいしい!」と思える出来栄えであった。
 
素人アレンジや、うっかりミスを優しく受けとめて、それぞれにおいしくしてくれる、鶏肉と粉と油のふところの広さには感謝しかない。
 
 
 
専門家、プロではもちろんないが、「トライ&エラー」がまったく苦にならなくて、誰に頼まれたわけでもなく、自然とPDCAサイクルをガンガン回してしまう。自分で言うのもなんだが、唐揚げづくりに関して、私は「好きこそものの上手なれ」を地で行っているのではないだろうか。
 
「料理は苦手」と思っていることは今も変わりないが、料理の中でも、唐揚げづくりだけは、私の「向いていること」なのかもしれない。
 
 
 
ふと思うと、学生時代から、30代になった今でも、幾度となく自分の「好きなこと」「やりたいこと」「向いていること」ってなんだ?!!! と頭を抱えてきた。私にとっての唐揚げのように、今は見えない「続けることが苦にならないこと」は、実は苦手と思っていることの中に隠れている、ということが、往々にしてありそうだと思った。
ちょっとしたことだけれど、続けていきたいことがわかってうれしい今、別の苦手な世界にも飛び込んでみたくなった。
 
今週末は、また唐揚げを作ろう。
 
 
 
 
***
 
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

お問い合わせ


■メールでのお問い合わせ:お問い合せフォーム

■各店舗へのお問い合わせ
*天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。


■天狼院書店「東京天狼院」

〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
TEL:03-6914-3618/FAX:03-6914-0168
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
*定休日:木曜日(イベント時臨時営業)


■天狼院書店「福岡天狼院」

〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
TEL:092-518-7435/FAX:092-518-4149
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00


■天狼院書店「京都天狼院」

〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
TEL:075-708-3930/FAX:075-708-3931
営業時間:10:00〜22:00


■天狼院書店「Esola池袋店 STYLE for Biz」

〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-12-1 Esola池袋2F
営業時間:10:30〜21:30
TEL:03-6914-0167/FAX:03-6914-0168


■天狼院書店「プレイアトレ土浦店」

〒300-0035 茨城県土浦市有明町1-30 プレイアトレ土浦2F
営業時間:9:00~22:00
TEL:029-897-3325



2024-04-18 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事