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コーチングは人生の航海術


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:安田伸也(ライティング・ゼミ4月コース)
 
 
わたしは、20歳で海上保安庁に入庁し35年間海上保安官をしていました。
 
その間、約20年巡視船の航海士、巡視艇の船長など船員として働いてきました。
 
 
みなさんご存じかもしれませんが、小さなプレジャーボートや漁船で沿岸近くを走らせる時は、岬や灯台などを見ながら航行します。
 
なので小型船の場合は出港前、さしたる準備は必要ないのですが、大型船が何も無い大海原を航海する時は最初にどんな事をするでしょうか?
 
それは、海図に現在地から目的地までのコースライン(線)を引くことです。
 
 
その線を引くと、船の速力、目的地までの距離から、到達するまでの時間が割り出せます。
 
そして航海にかかる日数分の水・食料・燃料を積む。
 
1回で搭載できなければ、途中の港に寄って補給しなければならないので、寄港地を選定して補給の手配をする。
 
そんな計画を「航海計画」と呼びます。
 
そんな準備が整ったら出港し、あとはコースラインの上を走り始めます。
 
しかし、海の上には、陸上の道路のように標識も無ければ、道案内の看板も無い。
 
そして地名もありません。
 
海の上は、遮蔽物が無いため風が直撃します。
 
そして潮の流れもあるために、コンパスを頼りに針路を定めて目的地まで船を進めても計算通りにはたどり着きません。
 
だから、そこで大切なのは常に自分の位置を観測し、記録すること。
 
実際には、1時間毎の位置を海図に落として、位置を確認し、目的地までの針路・速力を微調整していきます。
 
 
コーチングでも同じく、なりたい未来をイメージして、自分の目的地を明確にし、その目的地へ到達するまでの期間を定め、道しるべとなる目標を設定します。
 
そして、今自分が持っているリソース(資源)を探り、今すぐ出来ることを少しずつ行動へ移していく。
 
そうすることで、イメージした事が現実になっていくのです。
 
 
わたしは、そのようなコーチングを学んで、気がついたことがあります。
 
「目的地を決めずに人生の大海原を航海している人が何と多いことか」
 
 
かく言うわたし自身も、目的地を決めずに定年退職まで6年を残して海上保安庁を辞めました。
 
何故、国家公務員という身分を捨ててまで、組織を抜けたのか。
 
実は、コミュニケーションが苦手なため、海上保安庁時代にはうつやパニック障害で約20年苦しんでいたのです。
 
組織と自分の想いが食い違うことが多く、その価値観の差にも違和感を覚えていました。
 
そして、常に「ココは自分の居場所じゃ無い」
 
 
そんな想いがずっと心の底にありました。
 
 
だから、辞めたときは現状を変えたい一心だったのです。
 
そして、1年ぐらい頑張れば何とか食い扶持ぐらい稼げるだろう。
 
そんな甘い考えで退職したのです。
 
そして、目的地を定めずに辞めた後、大嵐が待っていました。
 
うつやパニック障害を病んでいたため興味を持った、アドラー心理学を独学で勉強し、実践心理学とも言われるNLP(神経言語プログラミング)を学んだモノのどうやって生活を維持していくか。
 
戦略も無ければ、方法も知りませんでした。
 
だから、目の前に現れる行き当たりばったりのビジネス展開で、暗礁に乗りあげたのです。
 
当然、家族との関係も悪くなる一方でした。
 
そんな時、コーチングに出会います。
 
コーチングを受けたり学ぶことで、自分自身と向き合い「本当はどうなりたいのか」を真剣に考え、今少しでも出来ることを行動へ移し始めます。
 
そして、自分の終焉の時、棺桶に入った時に自分がどんな気持ちでこの世に別れを告げるか。
 
それをイメージして、自分の活動を始めました。
 
大海原を航海するのと同じように、目的地を定めて針路速力を決め、常に現在位置を確かめつつ今出来ることを淡々と続ける。
 
時には、足りない知識や経験を補給するために、初めての港へも入港する。
 
そんなことを始めたのです。
 
また、コーチングを学ぶことで、他人とのコミュニケーションはもちろん、自分とのコミュニケーションも大きく変わりました。
 
他人を変えるのではなく、自分の見方や行動を変える。
 
そして、出来事は起こるべくして起こり、それに意味づけするのは自分自身であることなどなど。
 
 
 
「青い鳥」という物語を知る人は多いでしょう。
 
チルチルとミチルが幸せの青い鳥を求めて、いろいろな国を旅をする。
 
そして、結局青い鳥は見つからずに家へ帰ると家の中にいたという物語。
 
わたしは、あの物語を初めて読んだときから、理解できなかったのですが、コーチングを生活に取り入れたから、腑に落ちました。
 
そして、自分の身の周りにある、幸福に気がつき始めたのです。
 
 
 
海は様々な顔を持っています。
 
同じ海域でも、1日として同じ顔を見せることはありません。
 
そよ風が吹く穏やかな暖かい日もあれば、何メートルもの大波が押し寄せる大時化(おおしけ)の日もあります。
 
人生も同じだと思うんです。
 
楽しいこともあれば、望むと望まざる大変なことも起こる。
 
そして、一見何もないような海の上でも、海面下の海の中には魚や鯨、珊瑚や海藻などが生きているのです。
 
良い家に住み、高級車に乗り、贅沢な暮らしをする。
 
それも幸せの1つかもしれませんが、幸せはそんな目に見えるものだけじゃない。
 
むしろ、この世には目に見えない幸せの方が多いのではないでしょうか。
 
気がつかないだけで、幸福は確かにある。
 
幸せはなるモノでは無く、気が付くモノ。
 
それに気がつかせてくれたコーチングは、
わたしにとって、人生の航海術なのです。
 
そしてそのスキルは、いつしかわたしの「生き方」になっていました。
 
<<終わり>>
 
 
 
 
***
 
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2024-04-18 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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