けっこん、します。

第15回 《週間READING LIFE「けっこん、します」》 


記事:藤原 宏輝(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)

 

前回から、第4章‘現実的な生活設計’ 結婚前に知っておくと良い事など、現実的な問題にフォーカスしました。

実際に起こった出来事(事件)! をお伝えしました。

今回は‘現実的な生活設計’の中でも、けっこんというテーマだけでなく、誰かと生活を共にするという観点から‘家計管理’について展開していきます。

人間関係においても‘お金のこと’はとかくトラブルになりがちだと思いますし、

「結婚前に現実を知り、話し合っておくと良かった」というお話をよく耳にします。

個人の見解で異なる事もあるかと思いますし、個人差もございます。これらをよくご理解頂いた上で、読み進めて頂きたいと思います。

 

一人暮らしではなく、誰かと生活を共にするという方には少なくとも当てはまる事かと思います。

結婚生活に関しては、お2人の気持ちが固まり、覚悟も決めて、いざ!

とはいえ、それぞれが育った環境の違いや個人的な見解、価値観などで、必ずぶつかる壁。

それは、前回でもご紹介したお金の問題です。

 

 

育った環境の「家計の当たり前」という、目に見えないズレの怖さ。

 

ご新郎様が育ったご家庭では、お父様が現役でバリバリと稼ぎ、毎月決まった金額を生活費としてお母様に手渡すスタイルでした。お母様は結婚して以来、一度も外で働いたことのない専業主婦。

ご新郎様は「男が稼ぎ、女がその中でやりくりするもの」という認識が、無意識の優しさとして根付いていました。

 

ご新婦様のご家庭は全く違いました。ご両親は長年共働き。お父様の収入を含めたすべてをお母様がガッチリと管理し、お父様にはもう何十年もの間、毎月3万円のお小遣いが手渡されるスタイルでした。

ご新婦様は「お財布は妻が握り、お互いに働いて支え合うもの」こそが、安心できる家庭の風景だったのです。

 

このように、育った環境や「家計の当たり前」が180度違うご新郎・ご新婦様というのは、決してめずらしいことではありません。

 

おふたりは、結婚を決める前から彼が一人暮らしをしていたマンションで、すでに一緒に暮らしていました。

恋人時代の同棲生活は、とにかく楽しさと感情が先走るものです。

どこかお互いに遠慮もあり、あえて生々しい現実には触れないまま、時間は心地よく流れていきますし、もともと家賃や光熱費は、当然のように以前から彼の口座から引き落とされ続けていました。

「生活費、いくら渡したらいい?」

「あぁ、今まで通り僕の口座から引かれるから、気にしなくていいよ。その代わり、日々の買い物とかお茶代はよろしくね」

そんな、なんとなくの口約束だけで始まった同棲生活。

お互いの口座にいくらあるのか。毎月の正確な収入や、何にいくら使っているのか。スマホ代や通信費、そして何より大きな人生の固定費である「家」のこと。

それらについて、特に深く話し合うことはしませんでした。

だって、ただ好きだから。

死ぬまでずっと、一緒にいたいから。

一分一秒でも長く、そばにいたいから。

その高ぶる気持ちと、目の前の幸せだけで、ふたりの世界は十分に満たされていたのです。

「同棲」から「入籍」へ。

ふたりの関係が公のものになり、人生を共にする法的な「夫婦」へとステップを進めていく中、その足元に、お互いの実家で培われた「全く異なるお金の常識」という火種が眠っていることに、おふたりは気づいていませんでした。

 

家計とは、ふたりの未来を動かす「エンジンと燃料」のようなものです。

ここで、家計という言葉を因数分解してみましょう。

お互いの育った環境が違えば「家計」と聞いて思い浮かべる中身も全く異なります。

家計を構成する要素は、大きく分けて、収入・支出・貯蓄、投資の3つです。しかし、それぞれの中身を細かく一致させておかないと、のちのち大きなズレを生むことになります。

 

  1. 支出(出ていくお金)

支出には、毎月必ずかかる固定費と、月によって変動する変動費があります。

・固定費:家賃(住宅ローン)、光熱費、通信費(スマホ・Wi-Fi)、各種保険料、サブスク代など

・変動費:食費、日用品費、交際費、娯楽・趣味費、美容・衣服代、医療費など

ここでよく揉めるのが「どこまでが共通の生活費で、どこからが個人の出費か」という境界線です。

「食費はふたりのものだけど、お互いの美容代や洋服代は個人の財布からだよね?」といった定義を、結婚前にあらかじめ決めておく必要があります。

 

  1. 貯蓄・投資(未来へ残すお金)

ただ日々の生活を送るだけでなく、ふたりの未来のために「先取り」で確保するお金です。

・近い未来の資金:旅行、結婚式、新車購入など

・遠い未来の資金:出産・育児・子どもの教育資金、住宅購入の頭金、老後の備えなど

「毎月残ったお金を貯金しよう」では、現代の家計はなかなか貯まりません。「毎月ふたりで〇万円は必ず貯蓄(または新NISAなどで運用)に回す」という未来への投資額をあらかじめ家計に組み込んでおくことが大切です。

 

  1. 収入(入ってくるお金)

お互いの手取り額の合計です。

令和の家計管理では、この「ふたりの総収入」に対して、「支出」と「貯蓄」のバランスをどうデザインするかが、まさに「ふたりの未来の作戦会議」の核となります。

 

ではここで、令和・平成・昭和の「家計管理」の変遷と今の傾向について、少し触れておきます。

・昭和・平成初期:【夫が稼ぎ、妻が管理】が主流いわゆる「片働き(専業主婦世帯)」が多く、夫の給料袋をそのまま妻に渡し、夫はお小遣い制という形が一般的でした。

・令和現在:【共働き・別財布の派生】が圧倒的多数へ共働き世帯が全体の7割を超えた令和では、お互いの経済的自立を背景に、財布を完全に一つにするケースは減っています。

 

最も多い具体的な最近の傾向は、【共働き・別財布の派生】さらに進化させた「共通口座+個人口座」のハイブリッド型と言われています。

  1. 生活費専用の「共通口座」を1つ作る
  2. お互いの収入(または負担割合)に応じて、毎月一定額をその口座に振り込む(例:夫15万、妻15万など)
  3. 家賃や光熱費、食費はその共通口座からすべて決済する
  4. 残った自分のお金は、それぞれの個人口座で自由管理(趣味や服飾費はお互いに干渉しない)

この形が好まれる理由は、「不公平感が少ない」「お互いに自由になるお金を残せる」という現代の価値観にマッチしているからです。

昭和・平成の「どっちかが我慢する・合わせる管理」から、

令和の「ふたりが納得して自立し合う管理」へと、変化しているのです。

家計とは、単なる計算合わせではなく、おふたりがどんな人生を送りたいか?

という『価値観のすり合わせ』そのものなのです」

 

いかがでしたか⁠?

次回の第16回は、さらに深くその先へ進みます。

‘現実的な生活設計・価値のすり合わせ続編’

関係性を丁寧に育てていく為について、触れていきたいと思います⁠。

 

 

《終わり》

 

❒ライタープロフィール

藤原宏輝(ふじわら こうき)『READING LIFE 編集部 ライターズ俱楽部』

愛知県名古屋市在住、岐阜県出身。ブライダル・プロデュース業に25年以上携わり、2200組以上の花婿花嫁さんの人生のスタートに関わりました。思い立ったら世界中どこまでも行き、知らない事はどんどん知ってみたい。好奇心旺盛で、即行動をする。

何があっても、今を全力で生きる。切り替えが早く、とにかく前向き。

これまでのブライダル業務の経験を活かして、次の世代に、未来に何を繋げていけるのか? 

といつも模索しています。2024年より天狼院で学び、日々の出来事から書く事に真摯に向き合い、楽しみながら精進しております。

 

 

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