本人不在の誕生日会が、教えてくれたこと
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:かめ(ライティング・ゼミ平日コース)
「次の講義の日って、三浦さんのお誕生日ですよね~」
「えっ! そうなの?」
私は昔から、誕生日を覚えるのとインスタントカメラで写真を撮るのが好きだった。
そのため、友だちから
「林家ペー・パー子か?」
と言われていたのだが、補足させてもらうと、ピンク色は苦手だ。
そんなこんなで、天狼院書店の店主、三浦さんの誕生日チェックはわりと早めにしていた。
「せっかく講義の当日なんで何かやりますかね~」
という私の言葉にゼミ仲間のIさんは、快く、
「やろう!」
と言った。
しかし、問題は、細かい打ち合わせが直接できないことだ。
私は、せっかちなのだ。
このせっかちに耐えうる仲間でないと、もしかするとこの話、空中分解してしまうかもしれない。
頭の中で「天空の城ラピュタ」が崩れ行く。
いやいや、バルスは唱えてはならない。
幸い、Iさんはとっても穏やかな人だった。
「これと、これと、こんなことやりたいんです」
次々と私の言葉の雲が、メッセンジャーに並ぶ。
こういうの、気をつけないと相手にひかれるんだよな~。
そう思いつつも、止まらない。
「この点ついては、どうお考えですか?」
そうか、そうなのか、よく考えると……うーん。
「ごめんなさい、やめましょう」
そんな風に、私はわがままにアイデアを出し、Iさんはそれを思いやりのある企画へと変えていった。
ん? そもそも、その日の三浦さんの登壇は、東京なのだろうか?
福岡かもなぁ。
頭をよぎった。
だとするとその場合、当初考えていた「色紙」はいいとして、「ケーキ」はどうするか?
うーん。
あっ! 三浦さんなら、面白がってくれるかも?
直感として、三浦さんなら、
「おかしいだろ? それ!」
という状況を楽しんでくれるのではないか?
そう思い、それに賭けてみようと思った。
「三浦さん不在でも、ケーキはやりましょうか」
という提案に、
「三浦さん不在のプチお誕生日会、おもしろそうですね。やりましょう」
話は、まとまりそうだ。
「こがめ(私のあだ名)の普通は、ほかの人の普通ではないぞ。気をつけなさい」
姉に昔言われたことが、仏様かなにかの言葉的に一瞬こだました。
でも、多分、大丈夫。
天狼院書店では、あまり否定をされた記憶がない。
「やりたいことは、どんどん意見として出してください。3人から言われたことはやるのが天狼院書店です」
的なこと、言ってたし!
予想通り、店員さんの木村さんに連絡すると、話をちゃんと聞いてくれた。そして、川代さんらにも話を通してくれ、プチお誕生日会も行えることになった。
さぁ、問題はここからだ。
ケーキをどうするか?
大きさは? 値段はどれくらい? 冷蔵庫に入るのか?
やりたいって私が言ったんだから、私がなんとかするもんだろう、そう思った。
池袋、全然知らない。お店、ケーキ、場所、どうしよう、困った。
まぁ、とにかく、当日の協力を仲間にお願いしてみよう。
そう思って最初に連絡したTさんからの、
「ケーキは、買ってけますよ」
という返信。
神が! いた……!
「ありがとうございます!!」
というわけで、その後、スタッフさんのNさんにもお店の冷蔵庫の状況など教えてもらい、協力を得ながら計画を進めた。
ビビりな私は、色紙にも困った。
なので、木村さんに「今から買いに行きます」宣言をして、向かった。
何事も、「やる」と言ってしまうのが良い。
宣言すると、後には退けなくなる。
変にプライドの高い人間ほど、これは効果があると思う。やらないと、とっても恥ずかしいから。おかげで、色紙はなんとかなった。
けど、当日誰も色紙を書いてくれなかったら? お誕生日会の盛り上がりに参加してくれなかったら?
だから、一緒に計画を立てているIさんに、私の苦手なことをお願いしてみた。
私は、結構人見知りする。というか、ゼミの友だちも多くはない。だから、多くの仲間に協力依頼できるのは、多分私ではない。友だちの多いだろうIさんに、全面的に頼ることにした。
社会人になって、何年も経ってから気づいたことがある。
自立したい人ほど、自分の力で物事をなんとかしようとする。自分でできることはすごいし、格好いいし、手間を考えると楽な時もある。
だけど、私の課題はここだ。
いかに仲間に頼れるか。
信頼して、お願いして、協力してもらえるか。
自分だけの力でやれることなんて、本当はちっぽけで、つまらない。
相手の長所を認めて、お願いして、最大限感謝する。
そういうことができている人が、いろんなことをできている人なんじゃないのか?
でも、やり取りはメッセンジャーのみ。
言葉は本当に大切だ。
もっと、上手く書けたらいいのに。
等身大で、過不足なく、どれだけ想いを伝えられるか?
私の、言葉の力が試される。
とは言え、その辺は私が気にする程ではなかったのかもしれない。
当日は、想像とは違うこともあったけれど上手くいったと思う。
というか、とっても、楽しかった。
あぁ、やっぱりスタッフさんや仲間に頼って良かったな、と思った。
自分だけの力でやれることなんて、ほんと、なかった。
一緒に計画、参加、協力してくれた方たちには、感謝してもしきれない。
そして、最後に三浦さんのおっしゃっていた(らしい)
「何よりのプレゼントは、みなさんがプロになることですけどね」
は、忘れてはいけないな、と秘かに心に刻んだ。
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