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人口3万未満の田舎町にある「やばいお店」……。


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記事:Zono(ライティング・ゼミ平日コース)

 
 
「A-Zに行こうか?」
鹿児島の実家に帰省したら必ず会話に出てくる。
私の出身地である鹿児島の北薩地区でこの「A-Z」を知らない人はいないというぐらい地元では有名なお店だ。テレビ等でも紹介されているから流通業界の人の間では有名なのかもしれない。それぐらい業界の人にとっては非常識なことだらけの「やばい」お店なのだ。
 
私は鹿児島県北部の田舎町で生まれ、高校生までをその田舎町で育った。
山も海もあり、自然豊かな町だ。海は本当に綺麗で2006年に環境省が選定した「快水浴場100選」に2箇所選定された海水浴場があり地元の自慢の一つでもある。
海も山もあり、「海の幸」、「山の幸」に恵まれた町なのだが、一次産業以外にこれといった産業もなく高齢化・過疎化が進む日本のどこにでもある田舎町なのだ。市の人口は減少を続け今では2万人ほどしかいない。
 
この高齢化、過疎化が進んだ人口3万人にも満たない田舎町に常識外れの大型店がある。
何が常識外れなのかというと
・売り場面積なんと1.8万㎡
・取り扱い商品数40万点
・24時間営業
・バイヤーが存在せず売り場責任者が商品を仕入れる、現場第一主義
・POSはあるがデータに基づく売れ筋分析、販売予測はしない
・高齢者の買い物
・なのに、年間650万人が来店し、年商100億を超える
という「やばい」お店があるのだ。
 
そのスーパーこそが、ご当地スーパーAーZ! だ。
お店の名前は「AからZまでなんでも揃える」ということに由来しているらしい。
 
ところでみなさん、
「売り場面積1.8㎡というとどれくらいの広さか想像できますか?」
「取り扱い商品数40万点ってどれくらいか想像できますか?」
 
売り場面積1.8㎡というと倉庫型店舗のコストコの幕張店の面積が約1.6万㎡、東京ドームのグランドだけの面積が1.3万㎡という広さ。
 
取り扱い商品数でいうと、コンビニやコストコでの取り扱い商品数が3,000から4,000と言われているので約100倍。
 
スーパーというよりホームセンターといった方がいいのかもしれない。いや、こういう業態をなんといっていいのかわからない。
 
このお店は私が住んでいたころはまだ普通のホームセンターだった。
そのホームセンターを今の業態にしたのは社長の非常識とも思える経営哲学があったからだと思う。
「地域のお客さまがいかに満足して買い物を楽しんでもらえるか? 昭和の店はそれだけを考えていたが平成になって進化しすぎた、先祖返りしなきゃいけない」「高齢化が進みこの場所だからこそ、一箇所で買い物ができる場所が必要」「お客様の声を聴き続けて来た中でこの要望だけはできなかったということは一度もない」とA-Zの社長がいっているのを雑誌か何かの記事で読んだことがある。
 
この社長の経営哲学に基づき、A-Zは進化し続けている。
このスーパー、いやスーパーでいいのか? という疑問があるが……。
取り使い商品30万点というと本当にびっくりするような! 誰がいつ買うの? という商品がたくさんある。例を挙げると「仏壇」、「神棚」、「観賞用の鍾乳石」
 
実家に帰ってこのお店に行くと本当に時間を忘れて、お店に置いてあるものを見て回ってしまう。元々何を買いに行ったのかわからなくなるぐらい、買い物が楽しい。びっくりしたのは醤油だけでもものすごい種類があり、200種類を超えているのでは? と思うほどの品揃え。鹿児島県内で作られている醤油は全て揃えているらしい。
 
24時間営業しているし、35万点もあれば無いものはない。忘れ物があっても買えばいいやという感覚で実家に帰るのに荷物が減った。小さい子供連れで帰省しても、ここに連れて行けば時間つぶしにもなる。
 
そして、店員さんから気軽に話しかけられる。従業員も地元の人だし、会話の中からお客様のニーズを聞き出し、商品の品揃えに活かしているお客様を知り、お客様の痒いところに手がとどくサービスをするというのが従業員にまで徹底されているように思える。
 
都会にいて、買おうと思うと割となんでも手に入るような環境にいる私でも楽しめるのだから他に娯楽が少ない地方の人にとってこのスーパーは買い物する場所以上の存在なのではないだろうか?また、農作業や工事現場な喉の現場作業をする人にとっても作業が終わった後など、いつでも好きな時間に足りない部材などが買える。
だからこそ、年間650万人の人が来店し田舎なのに24時間営業が成り立っている。いや、田舎だからこそ、24時間営業していてなんでも揃うお店は重宝されるのだろう。
 
この感覚はなんだろう? と考えると。「ニトリ」や「ドンキホーテ」に初めて行った時の感覚に似ている。手頃な価格帯で商品がたくさんあり、何かしらの発見がある。そんな感覚がこんな田舎のスーパーにある。常識にとらわず、自分の信念を貫き地元社会に貢献する。地元に愛され、必要とされ、信頼されるということの大切さを改めて感じたし、こんなスーパーが地元にある子を誇りに思う。
 
 
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2019-01-01 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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