ももクロは、おきあがりこぼし
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記事:mayu(ライティング・ゼミ土曜コース)
「お姉ちゃん、ももクロって知ってる?」
2011年8月、妹から、そう質問された。
当時、音楽業界に身を置いていた私なら知っているのでは? と質問したようだったが、私は全く知らなかった。
ももクロとは、ももいろクローバーZというアイドルグループのことで、通常のアイドルとは違い、かわいい路線というよりは、ギャグ色が強い印象がある。マネージャーがプロレス好きらしく、選手の決めポーズなどもダンスの中に盛り込まれているようだ。
その、ももいろクローバーZを妹は神宮花火大会で初めて目にした。
色々魅力はあるのだけれど、とにかくライブが楽しかった! と、すっかり魅了されたらしい。
妹は自分の感動を伝えたくて仕方ないらしく、ググった情報を追加して、いきなり語りだした。
「小さい身体で、平日は学校へ行き、週末にはワゴン車で車中泊をしながら全国の電気屋さんを回り、車のヘッドライトを使っての路上ライブやCDの手売りを続けていたんだよ」と。
どうやら下積み時代が2年ほどあり、かなりハードな状況で頑張っていたらしい。
とにかく前向きで、とても一生懸命。何事も全力。いつも笑顔。逆境に負けない強さを持っているパワフルなグループであると同時に、一筋縄ではいかないグループでもあるという印象を受けた。
インディーズ時代はメンバーがころころ入れ替わり、なかなか定着しなかったようだし、サブリーダーの脱退も経験。今振り返ると、インフルエンザで紅白の舞台に立てなかったり、ケガをしてライブで踊れないメンバーが出たりもしていた。
色々事件が起こっていたようだが、音楽は、はっちゃけていて面白い。
アイドルらしからぬ、よくわからない動きや、がに股ポーズなどもあり、「バカになっちゃいなよ」と言われているようで、楽しくなってくる。
面白いだけではなく、歌詞がまた良い。
各メンバーの名前が入っていたり、メンバーを表現していたり、前向きに背中を押してくれる歌詞がとても多く、応援ソング中心なのだ。
妹は、この歌詞にやられたと言っていた。どの曲か忘れたけれど、本当につらいときに救われたと。
そういう、いくつものエピソードを聞いているうちに、妹が録画した番組を観るようになり、いつの間にか私もファンクラブに入るほど熱狂的ではないが、応援したくなっていた。
ライブには一度だけ、一緒に行く相手がいないという妹に連れられて行ったことがある。
「ペンライト必須で、推し色は必ず決めてその色を身につけないと会場で浮くよ」
とアドバイスされ、ライブ当日の服装を妹にチェックされ、OKをもらって参加した。
今まで何回も様々なアーティストのライブに行ったことがあるが、とにかく声援やコールと言われる名前を呼ぶ声が大きくて驚く。それに応えるようにメンバーもいつも通り全力でパフォーマンス。お互いの最大の力を出し合って最高の空間を作り上げている感じがすごかった。
勢いは止まることなく国立競技場でのライブをアイドルで初めて開催し、個としての活動も幅を広げ成長していき、次々に夢を叶えていったももクロ。
最近は事件も少なく安定してきたな、落ち着いてきたなと思っていた時、
もうすぐ、ももクロ10周年になるという2018年1月に、緑の子が卒業宣言をした。
久々の大事件である。
ももクロの大ファンだった妹は仕事が手につかないと言っていた。
にわかファンの私でも1人欠けるということが衝撃すぎてショックだった。
グループ内でも一番ダンスもできて歌唱力もある子が卒業。
正直、悲観的なイメージしか浮かばなかった。
そして私は一人暮らしを始め妹と離れたこと、テレビが家になかったことで、ももクロ情報があまり入ってこなくなったこともあり、節目の10周年ライブにも興味が無くなってしまった。
応援熱が少し冷めてしいまったのだ。
だけれど、今年に入って、ネット上で、新曲のPVが流れていたのをみつけ、ちらっと観てみたら、自分の予想を上回る成長を見せた彼女たちがそこにいた。
メンバー脱退という大きな試練を乗り越えて、新たな道を突き進んでいる彼女たち。
何度打ちのめされても諦めない、絶対倒れない。おきあがりこぼしのような精神力に感服した。
一人減ったという印象を払拭しつつある姿に変貌しており、感動してしまった。
私は4人での道は無理だと思い、冷めていったが、彼女たちは諦めていなかった。
各々のレベルをあげ、よりパワーアップした姿を見せていたのである。
やる前から無理だと決めつける自分。
できることをやって前に進もうと頑張っていたももクロ。
最近自分が停滞しているな。なんか凹むなと感じることが多くなっていたこともあり、なんだか泣けて
きてしまった。
今、もやもやしていることがある方は、ファンのパワーも彼女たち自身のパワーもすごい、ももクロのライブに、ぜひ1回行ってみることをおすすめしたい。引くのではなく、乗ってしまい、恥ずかしいという気持ちを捨てて、なにこれ、面白い! と開き直って楽しんでもらいたい。否定から入っては損だ。
さらに楽しむために、動画などをチェックしてきっちり予習をし、一緒に踊り倒せるくらいになると尚よいと思う。
私ももう少し予習をして、次のライブがあったらチケット申し込みをしてみようと思う。
彼女たちから前向きパワーをもらい背中を押してもらうために。
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