メディアグランプリ

投票とごみ拾いの先に


 

*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:斉藤 晴香(ライティング・ゼミ日曜コース)

自慢ではないが、わたしは今まで一度も選挙の投票を棄権したことがない。

と書き始めると、難しい話なのかと拒絶反応を起こされるかもしれないが、安心してほしい。難しいことは一切書いていない。なぜなら、わたしも難しいことは分からないからだ。
分からないなりに、投票をもっと身近に感じてもらいたいと考え、こうしてキーボードを叩いている。

 

小さい頃から、両親が「今回はあの人に入れたわ」とか「消去法であの党しかないな」とか話しているのを聞いていた。
投票日には、投票所である最寄りの小学校まで両親に連れられて行っていた。
体育館の扉の前で2人が出てくるのを待ち、その後一緒に出掛けたり買い物に行ったりした記憶がある。
だから、幼心に、20歳になったら自分も投票するのが当たり前だと思っていた。
その気持ちはブレることなく、投票権を得てから7年間、投票日には予定を詰め込まないように調整し、選挙公報が届いたら全員分の記事に目を通し、気になる候補者はホームページなどもチェックして、誰に一票を投じるかを毎回わたしなりに考えてきた。
しかし、世間ではそれがスタンダードではないということに最近気付いたのである。
SNSで「投票して来た」と報告すると「真面目か」とツッコまれるし、選挙公報を見たことがないと言う友達もいるし、同じ環境で育ったはずの弟や妹も「面倒やから」と投票には行かない。
わたしの周りには、投票していない人のほうが圧倒的に多いのだ。

実際、4月7日に投開票された41道府県議選は、平均投票率が44.08%で、戦後最低を記録したことが話題になった。
投票者が中高年齢層に偏る傾向も加速しているようで、40年前と比較すると、60代と70代の投票率がそれほど変わらない一方で、20代から40代までの投票率は大きく下がっている。
物理的な時間や距離の問題で投票所へ行けない人、当日晴れたら行こうと思っている人、内心は投票したほうが良いと感じている人、投票しても何も変わらないと諦めている人、よく分からないのに投票するのはいけないと思っている人、そもそも政治に興味のない人。
様々な考えの人がいて当たり前だ。
投票に行かない人を責めるつもりも、行く人を称えるつもりもない。
ただ、投票することを、自分から果てしなく遠いイベントだと思わないでほしい。
その紙切れが、まちの未来、家族の未来、自分の未来を変えていくのだから。

 

話は変わるが、あなたは渋谷のハロウィンをご存じだろうか。
派手な仮装をした人で溢れ返り、痴漢や窃盗が横行するなど毎年問題が起きているあのハロウィンである。
その翌日、まちの至る所に、踏みつぶされた空き缶や割れて砕け散った瓶などのごみが散乱しているのを、ニュース番組などの映像で見たことがないだろうか。
調べてみると、ここ数年は、ごみを片付けるための早朝清掃ボランティアが募集されているそうだ。渋谷区によると、2017年は、企業や大学の有志、サークル、町会など23団体から約1,800人が参加し、約7.8トンのごみを収集したという。
ここで、想像してほしい。
もしこの時、全員が「誰かが拾ってくれるから自分は拾わなくて良いや」と諦めてしまったら、どうなるだろうか。
答えは簡単で、1,800人いても拾ったごみは0グラムにしかならない。
また、今、世界中で流行っている「#Trashtag チャレンジ」では、世界中の人々がビーチや公園、街中でごみを拾い、ビフォーアフターを比べる写真をSNSに投稿している。
この取り組みだって、1人では成し遂げることができないし、もちろん沢山の人が集まっても全員が他人任せであれば、一向に綺麗にはならない。

同じように、地域や学校、職場でごみ拾いをしていたとする。
あなたは足元に落ちているごみを無視するだろうか。
ちょっと無理矢理かもしれないが、ここまで読んでくれた人なら、きっと拾うだろう。

何が言いたいかというと、ごみ拾いと投票は似ている気がするのだ。
1人ひとりの力は微々たるものであっても、行動することが結果につながる。
1つごみを拾うことで、一票を投じることで、社会に参加できる。

それでも「ごみを拾うほど気軽に投票することなどできない」と思う人がいるかもしれない。投票所まで足を運ぶのも、誰に投票するかを考えるのも面倒かもしれない。
しかし「ごみを拾うこと」は大事であるが、その手前にある「ごみを拾うことで、まちがきれいになれば良いな」という気持ちも同じくらい大事だとわたしは思うのである。
まずは、投票することを難しく考えすぎず、「自分はどんなまちに暮らしていたいのか」「何があれば充実した生活を送れそうか」など、身近なところから考えてみてほしい。
そして、「自分が1つごみを拾ったくらいでまちはきれいにならない」などと思わず、そのごみを大人数で拾った先にあるきれいなまちを想像できる人が増えれば良いなと思う。
 
 
 
 
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2019-04-25 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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