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下戸の私が飲み会でお酒を飲みたくないのは、飲み会を楽しみたいからだ


 
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:田中 翠子(ライティング・ゼミGW特講コース)
 
私はお酒が飲めない。しかし飲み会は好きだ。
飲めないとは言っても、2時間でビール1杯を消費できるくらいは飲める。
しかし、最近はやさしい方が増えてきて、私が付き合いで頼んだ1杯目のお酒をちびちび飲んでいると、見かねた人が「それ飲んであげるから好きなソフトドリンク頼め」と言ってくれる。老若男女関係なくみんなやさしい。
そんなお酒に弱い人にもやさしい風潮が広まっている昨今でも、「1杯目にソフトドリンクを頼まれるとちょっと白ける」と感じている方は根強くいらっしゃる。
その気持ちもわかるので、なるべく1杯目はお酒を頼むようにはしている。しかし、本音を言うと、飲み会ではお酒を1杯も飲まないで過ごしたいと思っている。
それは飲み会を楽しむ気がないからではない。
むしろ、ちゃんと飲み会を楽しみたいから飲みたくないのだ。
 
お酒に強い人と弱い人(下戸)の間には埋めがたい溝がある。
それを承知で、弱い側から飲み会の楽しみ方について主張したいと思う。
ちなみに、お酒を飲んで身体的に現れる症状は人それぞれなので、あくまでも私個人の症状を中心として語ることをお許しいただきたい。一滴も飲めないという人は、また違う主張があると思うので、ご承知おきいただきたい。
 
まず人によるが、お酒に強い人は飲んでいくうちにだんだん気分がよくなっていくと思う。気分がよくなって楽しくなって、飲みすぎて限界量を超えると気分が悪くなったり、記憶がなくなったり、介抱が必要になったりという体調悪化にいたるのだと思う。
本当にザルの人はまったく様子が変わらないこともあるようだが、多くの人は、まず気分がいいという状態を味わうことができると思う。
しかし、お酒に弱い人は違う。
私の場合、お酒を飲んで気分がよくなるという状態になったことがない。お酒を飲むと、平常の状態から体調悪化の一途をたどる。心臓がバクバク脈打ち、気持ち悪くなり、眠くなり、最悪の場合は吐く。
いったん気分がよい状態になって、そこから悪化するまでの限界量が少ないのではなく、そもそも気分がよくならないのだ。
以前、同じくお酒に弱い同僚と私で、酔って楽しそうにしている別の同僚を見て、「一度、こんな風に気分よくなってみたいよね」と話をしていたことがある。
 
私だって、一度でいいからお酒を飲んで気分がいい、という状態を味わってみたい。
しかし、それはお酒に慣れていないからだ、お酒を飲む量を増やせばもっと飲めるようになる、と言われることがある。家で毎日ビールを一缶飲んで鍛えれば飲めるようになるよ、とすすめられたこともある。
もしかしたら、そういう体質の人もいるのかもしれない。しかしその提案は、私にとっては、食物アレルギーの大人に「アレルギー源の食べ物をちょっとずつ食べれば、アレルギーを克服できるよ」と言っているくらい過激なものだ(子どもはそういうこともあるらしいが)。
飲めばベッドで倒れてしばらく動けなくなってしまうのに、わざわざ家で、しかも一人でお酒を飲むなんて、修行じゃあるまいし……と思ってしまう。
 
でも、お酒自体はおいしいと感じている。
おいしいからたくさん飲みたい。でもたくさん飲めない。
それもまた、お酒に弱い側としては悔しいところだし、お酒に強い人をうらやましく思うところだ。
 
また、飲み会という場も好きで、楽しい。
愚痴を言ったり、気持ちが大きくなって普段言わないことを言ったり、冗談を言えたり、シラフの場ではできないコミュニケーションをできるところがいい。
飲み会は誘われれば必ず行くし、もう少し若手のときはよく幹事をして場をセッティングしていた。
だから、私もお酒を飲む場というのを大事にしたいと思っている。
 
しかし、飲み会の席で無理にお酒を飲んで体調が悪くなると、会話をするのもしんどいし、料理が食べられないし、心臓がバクバクいうのに耐えなければいけないし、吐き気がきたらトイレで吐いて何事もなかったかのように帰ってこなければならない。そんな状況になると楽しくない。
お酒を飲まなければ、普通に飲み会を楽しむことができる。場を盛り上げるために気を遣うこともできる。お酒を飲まないほうが楽しめるのだ。
 
思うに、私にとってお酒に強い人がお酒を飲んで気分がよくなるという感覚が理解できないように、お酒に強い人は弱い人がお酒を飲んだときの身体の状態や気分が理解できないのだと思う。
それは、お互いまったく違う体質なので理解しようがなく、しかたがないことなのだと思う。
だから、せめてお互い理解しなくてもいいので、受け入れ合うようになってほしいと思う。
最近、死語になりつつあるが、「飲みニケーション」は重要だ。他に代替できる場がなかなかないほど、大事なコミュニケーションの場だと思う。
だからこそ、お酒に強い人も弱い人も、もっと自由に楽しめる場になってほしいと思う。
 
私は、職場の「日本酒の会」の会員だ。日本酒の味見も、飲み会も好きだからだ。
会では、自分でも1杯頼むのだが、3口くらい飲んだら同僚に渡して飲んでもらう。さらに、同僚が飲んでいる日本酒をちょっと味見させてもらう。そして、お冷を3杯くらい飲む。
同僚は笑いながらも、私のその楽しみ方を受け入れてくれている。
そんなお酒に弱い私を、飲めないからとはじかないで、ちゃんと会員に誘ってくれた会長(先輩)には感謝している。
 
飲むも飲まないもお互いの自由。飲み会という場を楽しむという気持ちだけ共通していればいいのではないだろうか。お酒に強い人も、弱い人も共存は可能だと思う。
お酒に強い人は、弱い人にお酒をすすめない。浴びるような飲み方がしたかったら、できる人だけで飲みに行くようにする。お酒に弱い人は、酔っている人を冷めた目で見ないで、自分も同じくらい場を楽しむことを心がける。
お互いそういった気遣いをしたうえで、お互いの楽しみ方を受け入れていってほしいと思う。
それができれば、「飲みニケーション」が死語から復活する日も遠くないと思う。
では、酒豪も下戸も共存できる「飲みニケーション」を目指して……乾杯!
 
 
 
 
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2019-05-08 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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