「書店員さんから3000部以上の注文がなければ出版しません!」《サンマーク出版『虹の少年たち』レインボープロジェクト》
あれは確か、CAMPFIREのプロジェクトで、応援動画のメッセージを頂きにサンマーク出版さんに伺ったときのことでございました。
『人生がときめく片づけの魔法』など2つの本で100万部に到達している「ダブルミリオン」編集者の、高橋編集長は僕にこうおっしゃいました。
「実は、三浦さんに読んでもらいたい、特別な原稿があるのです」
僕の前には、まだ仮綴じ本にもなっていない、分厚い原稿の束が置かれました。
その場には数々のベストセラー翻訳本を手がけている武田版権担当部長もいました。
「インドネシアで500万部に到達している特別な作品で、アメリカや韓国など13カ国で翻訳され、映画化もしている作品です。今回、その版権を日本ではうちが取ることができました」
でもね、と高橋編集長は言います。
「本当にいい作品なので、しっかりと読者に届く売り方が決まるまでは出版する気はないんです。そこで相談なのですが、この本の売り方を我々と一緒に考えてもらえませんか。もちろん、読んでもらって面白ければということで構いません」
昨今、洪水のように押し寄せる新刊の出版点数に苦労する書店が多いのですが、高橋編集長はまるで逆のことを言います。「しっかりと読者に届く売り方が決まるまでは出版する気はない」と。それはつまり、それほどまでにこの作品に自信があるということなのだとすぐにわかりました。
「とりあえず、読ませて頂きますね」
と、僕はその原稿を持ち帰らせていただきました。
仕事が終わった後、お風呂に入りながら、そして寝る前に寝床に横になりながら原稿をめくり、はるかインドネシアの少年たちの世界に誘われました。たとえば、『永遠のゼロ』などのように、プロローグにある種の熱が凝縮されていて、一気に読者を引き込むタイプの作品がありますが、この本はそういう類の本ではありませんでした。はじめはちょっとむずがゆくなる程度にこの小説の世界が「もしかして好きかも」と思い、けれども不思議なことに、ページをめくるに連れて心地よさを覚えるようになっていき、いつしかこの世界から抜け出したくなくなっている。
あるいは、『スタンド・バイ・ミー』のような本かもしれない。
『フォレストガンプ』に近いかも。どこかジブリを思わせる。
と、類型を探しながら読み進めるのですが、やがて気づくことになります。この本は数々の名作の要素をオーソドックスに含んでいるようにみえて、新しいタイプの作品だと。
詳しくは実際に読んで確認していただきたいのですが、この本はインドネシアでも最下層にいる少年たちの話です。最下層にいて、一家に一台しかない自転車で往復40キロの道のりを通ってくる少年や、知的障害のある少年に寄り添う美しい少女など、登場人物が多彩であり、描き方が緻密であり、人の可能性と尊さを痛快なまでに感じさせてくれる名作です。どの少年たちも可能性に満ちあふれていて、その才能をひたむきなまでに引き出そうとする若い女性の先生がいます。誇り高い王族の血を受け継ぐ校長がいます。
これはきっとはるか遠いインドネシアの話ではなく、僕らの話です。人間の話です。普遍的なエッセンスがぎっしりと詰まった一冊です。
この作品をいち早く読ませていただき、原稿を置き、ひとり感動の余韻に浸りながら、僕は高橋編集長の言葉を思い出していました。
「本当にいい作品なので、しっかりと読者に届く売り方が決まるまでは出版する気はないんです」
高橋編集長が言うように、本当にいい作品でした。多くの読者の皆さんに読まれるべき本だと確信して思いました。「しっかりと読者に届く売り方が決まるまでは出版する気はない」というのももっともだと思いました。
そう考えているうちに、そうだ、と僕はひらめきました。
それなら、「出版しません」というのはどうだろうか。実際に全国の書店員の皆さんに原稿を読んでもらい、皆さんが売りたいと思わなければ出版しないというのはどうだろうか。
もし、全国の書店員の皆様が心から売りたい!と思えない作品ならば、きっと出したところで埋もれてしまいます。読者に届かなくなる。
けれども、こんなすばらしい作品ならば、書店員の皆さんは売りたいと思ってくれるに違いない。きっと本のプロの皆さんになら、この本の魅力が伝わるに違いない。この本の良さを最大限に引き出してくれるに違いない。たとえば、『海賊とよばれた男』がそうだったように。
そして、売り方についても、ほぼ同時に思いつきました。
「クラウドファンディング」のスキームを利用しよう。つまり、目標の部数を設定し、期限までにその部数に注文数が到達しない場合は出版しないということにして、注文数や締切までの日数が誰の目にもわかるようにしよう!
そこまで考えて、サンマークさんに提案しました。
その会議の場には、営業部長でもある木村取締役や川西営業部次長もいました。言わずと知れた、出版界でも屈指のサンマーク出版さんのセールスフォースを指揮する方々です。
「それは面白い!」
と、まずは木村さんが言いました。
「いいじゃないですか。書店員の方に協力してもらわなければ読者には届きませんからね、まずは読んでもらって売りたい部数を注文してもらいましょう」
「納得してもらって売ってもらったほうがいいですよね。この作品なら行けますね」
と、川西さんも乗ってくれます。
やるとすれば、プロジェクト名が必要だということになり、あれこれみんなで考えていたんですが、武田部長がこういいました。
「『虹の少年たち』なので、『レインボープロジェクト』というのはどうでしょう」
それはいい、とそれも即決でございました。
かくして、インドネシアで500万部に到達し映画化にもなった『虹の少年たち』の「レインボープロジェクト」が始動しました。
このページも、8/20に正式にオープンする予定です。そこから「注文数」「プロジェクト参加書店様数」「締切までの日数」が定期的に更新されることになります。
また、本日より、本格的に書店さんへの案内も始まりました。
書店員の皆様は、まずはぜひ、ゲラ本(プルーフ)の注文書にもなっている「レインボープロジェクトの案内チラシ」と「『虹の少年たち』注文書」を、サンマーク出版さんの担当営業の方に問い合わせ頂ければと思います。
また、トーハンさんの特別プロジェクトチーム「ほんをうえるプロジェクト」の皆さんともコラボしてもらうことが決まっています。トーハンさんから別途FAXでゲラ本(プルーフ)の注文書が送られると思いますので、そちらで注文して頂いても結構です。
さらには、僕の方からもピンポイントで直接書店さんにお願いする場合がありますので、その際はどうぞよろしくお願いします。
いずれにせよ、ゲラ本(プルーフ)に関しては300部しかないので、お早めにご注文ください。
そして、ゲラ本をお読みいただき、プロジェクトに参加いただければと思います。
ちなみに、今回、目標として設定した注文部数は「3000部」です。じつは4000部が初版という文芸作品が数多くある中で、この目標冊数はかなり高いものです。出版となれば、普通配本と合わせると最低でも初版が8000部以上ということになるからです。しかし、サンマーク出版さんは、この本の良さを信じて、この部数に設定しました。
このすばらしい本が一人でも多くの読者の元に届けばと思っております。
皆様、ぜひとも、お力をお貸しくださいませ。
どうぞよろしくお願いします。
また、読者の皆様は、出版されることを祈ってください!
乞うご期待でございます。