『荒野へ INTO THE WILD』ジョン・クロカワー著《READING LIFE》
働き方を考えることは、
幸せのかたちを考えることだ。
まずは、この予告をご覧いただきたい。
そして、ぜひ、この映画をご覧頂きたい。
クリス・マッカンドレスは、裕福な家庭に育ち、優秀な成績で大学を卒業しながら、身分証にハサミを入れ、ロースクールに行くための全財産を寄付し、家族の前から姿をくらます。
彼が向かったのは、荒野であった――
もちろん、主人公のクリスの目線から観ても、働くとはなんだろうか、人にとっての幸せのかたちとは、いったい、どういうものなのだろうか、と十分に考えさせられる。
そればかりではなく、ぜひ、彼の最後の生涯に登場した人物たちの働き方、生き方も観てほしい。
ヒッピーとして自由と絶望の間で暮らす年配のカップル。
有り余る才能を、犯罪に使ってしまい、FBIに捕まったクリスの恩人。
そして、たった一人で老後を過ごし、クリスに息子になって欲しいと訴える革職人の老人。
自由なクリスに憧れる、ベースキャンプの歌唄いの少女。
クリスは、彼らの静止を笑顔で振り切って、アラスカの大地に足を踏み入れる。
into the wild.
そこにあったのは、過酷なまでの現実だった。
その中で、彼は、幸せのかたちを見出す。涙とともに、幸せのかたちをつかむ。
けれども、荒野は、懐から彼を放そうとはしなかった――。
あるいは、若い年代が見ると、あまりに強烈に影響されて、通常の生活に疑いを持ってしまうかも知れない。もしかして、社会から荒野へと繰り出すきっかけとなってしまうかも知れない。
その危険性を知りつつ、あえて、僕はこの映画と本をすすめたいと思う。
一度、観て、読んで、クリスの最後の人生をトレースしてほしい。
おそらく、そこにはあなたがいるだろうと思う。
そういった意味で、この映画を観ない理由、この本を買わない理由が見当たらないのである。
*ぜひ、お近くの書店でお買い求めください。また、映画はすでにDVDになってレンタルもできます。