映画『デンジャラス・ラン』／『太陽は動かない』吉田修一著《READING LIFE EXTRA》
『ザ・ウォーカー』を観た流れで、デンゼル・ワシントン主演の『デンジャラス・ラン』を観にいきました。
CIAのスパイを題材にした映画は古くから多くありますが、僕はデンゼル・ワシントンが好きなので、これ見逃すわけにはいかないと、仕事の合間にサンシャイン６０通りに行ってきたのですが、これが、渋くていい映画でした。
デンゼル・ワシントンの相変わらずのかっこ良さ！
最強のCIA工作員と言われ、今は姿をくらましていたデンゼル・ワシントン演じるフロストが突如、南アフリカのアメリカ領事館に出頭してきます。
アクションが凄まじいというのは、もとより、CIAってやっぱりすごいと改めて思わせられます。また、情報がいかに重要かということも考えさせられます。また、陰謀やサスペンス要素も入っているので、知的な闘いという要素も入ってきます。
デンゼル・ワシントンのファンならずとも、スカッとしたい、何かテンションアップのきっかけが欲しい！という方は絶対観るべきかと思います！
ちなみに、僕はこの映画を観て、おとなになったらCIAのエージェントになろうと固く心に誓ったのでした笑。
スパイ、といえば、こちらも見逃せません。
『太陽は動かない』吉田修一著（幻冬舎）
僕は、『悪人』が発表されたとき、あ、吉田修一さんはここまで来たんだな、ついに極みを見たな、と思いました。芥川賞を受賞した『パークライフ』で見せた、地下鉄内やスターバックスでの、日常の何気ない、けれども途方もなくきめ細かい心理描写に、当時衝撃を受けたのですが、『悪人』では、純文学というより、エンターテイメントに寄って、寄っただけでなく、その極致を魅せてくれました。
それなので、ここが吉田修一さんの到達点なんだな、すごいところまで来たな、と思ったんですが、『横道世之介』で、それを鮮やかに更新してしまいます。
コミカルなタッチで、横道世之介を描き、コミカルと思わせて、実は世之介も成長させ、それ以上に脇役と思わせていたヒロインを、驚愕させるほどに成長させ、最後は実在の事件へと落としこんでいく。
まったくもって、脱帽です。おそらく、作家として当代随一の力量と言っていいでしょう。
その吉田修一さんが、今度はアメリカ映画にでもなりそうな、バリバリのスパイ小説を本気モードで書いている。
東南アジアや中国などの人名が出てくるところは、新宿歌舞伎町を舞台にした馳星周さんの大ヒット作『不夜城』の世界観を思わせます。そこに騙し合いやらアクションやらが絡んできて、とんでもないことになります。
また、新しい境地を切り開いた吉田修一さん。
今後は、いったい、どこに向かわれるのでしょうか。
楽しみでもあり、なんだか、その底知れないポテンシャルが怖くもあります。
＊ぜひ、お近くの映画館でご覧ください。また、ぜひ、お近くの書店でお買い求めください。
