『がんワクチン治療革命』(中村祐輔著)あなたはどうして人が「がん」になるか知っていますか?《READING LIFE》
先日、田舎の宮城に帰ったときのことでございます。
こたつに、今度プロモーションをお手伝いすることに決まった本のリーフレットを乗せたままに、ごろりと横になってウトウトしていると、祖父のこんな声が聞こえてきます。
「ありゃ!? これ、この前、NHKで特集してたやづでねえが! これ、誰持ってきたのや? おれが読みでえって言ってたの聞いでで、買って来てけだのが? おめが?」
それに、「おめが?(お前か?)」と言われた母が答えます。
「違うの、そいづ、まだ本になってねえんだでば。今度発売するやづを、崇典(←僕)がなんか手伝うんだど」
その本こそが、ついに講談社さんから発売になった『がんワクチン治療革命』(中村祐輔著)だったのでございます。
ま、寝てもいられないと思って、起き上がって僕は言います。
「そうそう。これ、本当にいい本で、どうしても多くの人に読んでもらいたいんだよ。12月頭に発売するんだけどね。で、なんで、じいちゃん、この本のこと知ってるの?」
と、いうのも、うちのじいちゃんは、83歳だけれども、髪もふっさふさで、背筋もぴーんとしていて、しかも毎年「まで(丁寧)に」医療検査を受けているので、幸い、健康そのものなのでございます。僕は、別にじいちゃんには関係ないだろうな、とどこかで楽観していたのでした。
「いや、他人事でねえっちゃ。誰がいづがんになるがなんて、わがんねえもんな。この前のテレビ観でさ、これはすごいの作っている人がいるもんだと感心してだのっさ。この本ならいい」
「売れるかな?」
「まぢがいなぐ売れる」
と、じいちゃんは大きく頷きます。
その様子を見て、なるほど、と僕は思います。
おそらく、先日のNHKスペシャル『がんワクチン〜夢の治療薬への格闘〜』や、それ以前に同じくNHKのあさイチでやっていた「驚き!がんワクチン治療最前線」で、中村祐輔教授がやっていることを知って、じいちゃんのように驚愕した人が全国に無数にいたのだろうと思います。ちなみに、母は「あさイチ」の方で観て、知っていたようです。
そう、じいちゃんが言うように、がんは他人事ではありません。
今や、2人に1人が、がんになるという時代。それは、このこたつに座っている家族の中の誰かがいつこの病気になっても、不思議ではないということです。
それなのに、僕らは、あまりにこの病気について、知らなすぎるのではないでしょうか。
正直告白してしまえば、僕は、人がどうしてがんになるか、この本を読むまで知りませんでした。
「原発反対!」を声高に叫んでいる人も、「除染を急げ!」と頑張っている人も、本当は放射能を浴びると、なぜがんになるのかということを、9割方知らないのではないでしょうか?
僕も、放射能とがんの間には、何かしら因果関係があるらしい、とは漠然と知っていたのですが、この本を読み、そして、NHKスペシャルを観て、放射能やばいじゃないか! 原発やばいじゃないか!と改めて思い知らされました。
ペプチドワクチン、以前の話です。
多くの人は、どうして人ががんになるかということを、本当は知らないのではないでしょうか?
実際に、あなたは人にどうして人ががんになるのか、他人に説明できるでしょうか?
例えば、お子さんに
「ねえねえ、なんでみんな原発反対しているの? 放射能って、なんで悪いの?」
と、問われた時に、正確に説明できますか?
「放射能を浴びるとね、がんになる確率が高くなるから、ダメなんだよ」
おそらく、これくらいまでなのではないでしょうか。
そして、こう言われた時に、おそらく、多くの人は言葉に詰まるはずです。ごまかして、話題を変えるはずです。
「なんで放射能を浴びるとがんになるの?」
これに答えられなくて、本当にいいのでしょうか?
この本を読めば、それに正しく答えることができるようになります。
僕はこの本を原稿の段階にいち早く読ませていただいて、一番先に覚えたのは、恐怖心でした。
それは、がんという病気に対する恐怖ではありません。
がんという病気のことを、知っているようで、何一つ知らなかった自分の「無知」という状態を、とてつもなく、怖く思ったのです。
思い返してもみれば、父方の祖父が、脳のがんで僕が幼いときに亡くなりました。
それなのに、僕はどうして、これまで「無知」の状態を、放置していられたのでしょう。
この本に書かれているのは、誰にでも効く特効薬の話ではなく、現実という名の「真実」です。
ただし、この本には確かな「希望」が込められています。
それこそが、がんと戦うために、人類が今まさに手に入れようとしている武器、「がんペプチドワクチン療法」です。
「がんペプチドワクチン療法」は、「手術」、「放射線治療」、「抗がん剤治療」に次ぐ、がんと戦うための人類が手にする「第四の武器」です。
今は、まだ治験の段階ですが、アメリカではすでに一部のがんに効果があるペプチドワクチンが認可も降りて実用化されています。その研究の最前線にいるのが、中村祐輔教授なのです。中村さんは、ヒトゲノム解析計画でも功績があった方としても知られている世界的な学者です。彼が、この分野の世界の第一人者と言っていい。
人類は、これまで、数々の「不治の病」に打ち勝って来ました。天然痘しかり、結核しかり。
それは、中村さんのような先生方が、命がけで研究してくれてきたからです。
我々は、今まさに、がんを克服する途上にあるのだと思います。こう言った、真摯な研究の積み重ねの先にしか、克服はないのだろうと思います。
がんとはどういうものか、そして、がん治療の最前線はどこにあるのか。
今こそ、誰もが正しく知る必要があるのだと思います。
正しく知ることは、がんと戦うための第一歩なのだと思います。
まずは、この本を読むことからはじめてください。
ここには、現実という名の「真実」が込められています。
*ぜひ、お近くの書店でお買い求めください。
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