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チーム天狼院

常識破りのラブ・レター


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【8月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:岩本七海(チーム天狼院)
 
 

私にはたぶん、もう6年間くらいずっと好きな人がいる。
 

たぶんと言うのは、それが恋の「好き」とは違うんじゃないかと思うからだ。
 

K(と仮に呼ぶ)のことを初めて見たのは12歳、中1の春だった。
入学式ではなかったけれど、”大きくなっても着られるように”という気持ちでつくられた、まだ“子供”の身体にはぶかぶかの新しい制服を身に着けた中学1年生たちが体育館に集まっていたので、なにかしらの集会だった。

C組の真ん中にKはいた。友人に囲まれながら笑っていたことを覚えている。私には、周囲からKだけが浮き上がって見えた。

「わあ…… かっこいい人」

私は胸キュンし、集会中こっそりKを盗み見ていた。

 
 

そして後日友達と話していて、私以外の女の子たちもKのことを「かっこいい男の子」だと思っていることが分かった。
なぜなら、とにかく話題に上るからだ。

中学生の女の子は、どんなにかっこいいと思っている男の子に対しても決してかっこいいとは言わない(言えない)ものだ。

恋に恋するお年頃。漫画から仕入れた知識で頭でっかちになりながら、現実の自分にも王子様のお迎えが来るんじゃないかと期待しちゃう。でも鏡の中の自分はボサ眉で芋くさくて垢抜けていなくて、かと言ってオシャレの仕方もわからないしで自信はなく、こんな自分は恋に縁がないんじゃないかと不安になる。
制服を着崩した「イケてる」先輩がカップルで登下校しているのを見て憧れると同時に自分と違う種類の人間だと思って怖くなる。
でもやっぱり恋に憧れて、恐る恐る手を伸ばすものの、振られたり無視されたりして傷つきたくないから、自分から行動はおこせない。
 

だから結局、なんとも思ってないふりをする。

けど、「好きな人」のことを話題にせずにはいられない。少しでも「好きな人」に注目してほしいから。自分の存在にどんな理由でもいいから反応してほしい。あわよくば「好きな人」が王子様として自分を迎えに来てほしい。

それで少女たちは、必ず可愛らしく、「好きな人」の悪口を吐くのだ。
 
 

とはいうものの、私は、中2でKと同じクラスになるまでは、かっこいい人がいるなあくらいの認識で、関りはなかったし、確か他に好きな人もいたと思う。
 

しかしKと同じクラスになった中2で、私の心はKにかっさらわれることになる。
きっかけは忘れた。気づいたらもう、Kを目で追わない日はなくなってしまっていた。
 

私の出席番号は5番、Kの出席番号は3番だった。

そしてこれはもう、私にとって、ものすごおおおーーーーーーーーーーく、最高な状況だった。
いつでも、さりげなくKを眺めることができたから。
 

教室の中、机は横5列、縦4列に並べられていた。男女が隣り合った2つの机が1セット。私とKは縦の列が同じで、私はいちばんうしろ、Kは真ん中の席に座っていた。

気付かれずに眺めるのに適しまくりの位置関係。まあ強いて言えばベストは斜め前の関係なのだが、ふたつ斜め前の関係でも贅沢なもの。文句はない。
 

切れ長の目、少し癖のある髪、サッカーで焼けた浅黒い肌、すらりとした長い脚、笑った時に覗く白く綺麗な歯。
 

いやいや……なんだこれ私はaikoか? と自分でも思うけれど、まあまずKの見た目が全部、ドストライク&クリティカルヒットでタイプだった。
というわけで、退屈な授業ほど私にとっては楽しい授業になった。だって先生なんて無視してずっとKのことを見ていられたから。

 
 

だが1つ問題があった。
 

Kとは、驚くほど話が続かなかったのだ。

私が意識してしまっていたため、話すときにテンパって意味の分からない話を口走っていたという理由ももちろんあるが、それ以前にKはモテすぎていたというのが大きな理由だったと思う。
 

と言うのも、当時の女の子はみんな、Kのことを少なくとも悪くは思っていなかったから、つまりKに嫌われたくはなかったために、Kの話に反論することはなく、「そうだね」と肯定してしまっていたのだ(多分)。
しかしおそらくKは自分の発言を盲目的に肯定されたかったわけではなく、むしろ「え、それ意味わかんないんだけどwww」などと否定されながら議論を交わしつつ膨らんでいく会話を楽しみたかったのではないか。それなのに、どんな女の子にも自分の発言を丸々肯定されるから困惑して、わざと悪口を言うことで話を膨らませようとたくらんだのではないか(妄想)。

まあつまり、Kの発言は悪口多めだった。
 

たとえば私は、なんどもなんども「ありえんくらい脚が太い」と言われた。

普通に考えて、ひどくないだろうか?確かに私の脚が太かったことは否定しないけれども。
ついでに今も太いけれども。

しかし、確かに「ひどっ! 悲しい!」とも思ったが、先に言ったようにKがモテすぎている状況を謎に考察していた私は、悪口を言われても「か、かわいい(照)」と思ってしまっていたのである。
そう、Kは女の子に暴言を吐きがちな俺様系男子だと認識されていたけれど、私は、Kは本当はむしろドMで人にいじられたいのにモテすぎてそれがままならなくなっているのだという結論に至っていたのだ。

 
授業中やホームルーム中に注目を浴びたくて意外と積極的に発言をする(まじめでかわいい)。
男友達といるときにいじられると嬉しそうにしている(単純にかわいい)。
合唱大会の練習・本番では誰よりもまじめで、しかも指揮者のことをめちゃくちゃ見て歌う(指揮者の私はにやけを抑えるのに必死)。
中2とかいう難しい時期のくせに母の日にプレゼントをあげている(萌え~)。

そんなこんなで、いつのまにかK観察人になり果てていた私は「K、実はドMなんじゃないか説」にたどり着いた。
 

Kは、本当はいじられるのが好きなのでは?
 

だけど女の子はみんなKをいじれるほどKを諦めきれてはいなくて(なぜなら見当違いのいじりは嫌われる結果につながりかねない)、やはりなんとなく崇めてしまってKのマゾ心を満たせない。

そしてもちろん私にも、Kをいじる勇気はなかった。
 

どう考えても死ぬほどタイプな人に嫌われるリスクは背負えなかった。
私はKの前では口数の少ない乙女になり果てるしかなかった……!
 

なおかつ私は赤面症なので、1度Kと席が隣になったことがあったのだが(神よありがとう)、座席が発表された瞬間は興奮しすぎて顔が真っ赤になってしまった。
恥ずかしい、死にたい、消えたい、嬉しい、鼻血が止まらない(比喩)、と思いながら机を移動し、すぐ隣にいるKの顔をどうしても見られなかった。もうその時点ではゆでだこもびっくりするレベルの顔の赤さであっただろう。思い出すだけでもその時の死にたさをまざまざと感じることができる。
 

そして席が隣だった期間は、それはもう脚の太さに言及されまくった。

もちろん乙女になり果てた私は「太い太いうるさいなあ! わかってるよ!」とかいうつまらなすぎる返答しかできなかったけれど、Kの(不器用な)コミュニケーションに内心胸キュンの連続で心臓は止まりそうだった。
 

本当はいじられたい側の人間なのに、顔がかっこよすぎてだれもいじってくれないからしぶしぶ苦手なはずのいじる側を引き受けるが、あまりうまくいじれずにに単なる悪口を言ってしまうKかわいすぎる……! と。

 
 

さて、ここまで読んでいただいた方には、私が当時Kにクレイジーだったことをおわかりいただけたのではないかと思う。
 

またちなみにだが中3の時ちゃっかりKに告白したが、あっさり振られた。

 
 

そして時は流れ……、私にも他に好きな人ができ、高校・大学ではKではない人と男女交際を楽しんでいた。
元気かな~、とふとした時に思うことはあったけれど、Kには久しく会っていなかった。

が、先日なんと、複数人でお酒を飲む機会に恵まれた。
当日は朝からソワソワソワソワ、落ち着かずおしっこに行きまくっていた。

結論、Kの可愛さは健在だった。ツンデレ具合もたまらなかった。
さらに私もKも他の友人も21歳という大人になっていたので、普通に会話ができたし、とても楽しかった。

私はもう、生きててくれるだけで嬉しい、とKに言いまくっていた気がするが、調子に乗ってビールを飲みすぎたためあんまり記憶がない。
ただ一つ確かなことは、私はいつまでもKの大ファンなんだなということだ。
 

そう、私は多分Kのファンなのだ。
 

つまりこの文章はラブ・レターならぬ、ファン・レターだ。
 

ああ~、これからもKのファンでいたいなあ。
 
 

※一部、私の妄想が暴走しています。不快になられた方がいましたら申し訳ありません。

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