メディアグランプリ

自分で作った虚像

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:Naoki(ライティング・ゼミ 秋の集中コース)
 
 
ほめられるのは、いくつになってもうれしい。誰でもそうだろう。わたしも褒められた経験がある。
 
「Naokiがいたから成功できたよ」
難しい仕事で成功したとき、周囲からうれしい声をかけてもらえた。
他にもある。今わたしは仕事をしながら、学校に通っている。自分に足らないスキルを学ぶためだ。好きこそものの上手なれ。自ら進んで勉強をしていたら、学業成績で表彰を受けることができた。このときも周囲から温かい声をかけてもらえた。
 
どちらもとてもうれしい経験だった。
また次もがんばろう!わたしの中で、素直にそう思えるイベントだった。
しかしある時、もうひとつ別の存在を感じた。
仕事でも学校でも、発言する前に「これ言っても意味ないかもしれない」「みんなもそう思ってるだろう」と、否定的な判断を加える自分がいた。
 
あの仕事を成功させたわたしなら、もっとクオリティを上げないといけない
学校から表彰されたわたしなら、もっと本質的な発言をしないといけない
 
未来の「なりたい自分」に近づくために挑んできた挑戦が、努力が実り成功したうれしかった経験が、純粋な気持ちとは裏腹に、いつしか、過去の成功から「こうでなければならない自分」を作り上げ、それにあわせて行動していることに、気が付いた。
そしてそれは、何かに成功するたびに少しずつ迫ってきて、少しずつわたしの周りを塞いでいく。
会社の会議で発言するとき
学校の授業で発言するとき
SNSで発信するとき
いつも過去の自分が今の自分を拘束していた。自分らしさは封印され、虚像が「準備したことば」を口から発する。それが恥ずかしいことであり、つまらないことだと思いながら。
得てして、「こうでなければならない自分」の考えは、自分の想いとは逆に、カドの取れた丸い形をしている。みんなが感じる共通項なので、間違ったものではないし、周囲から反対されることもない。しかしそこには面白みも味もない。
もっと言えば、みんなと同じことしか感じないし、みんなが知っていて思いつくことしか表現しない人なら、わたしがそこにいる必要はない。
そんな自分に悩んでいるとき、友人と飲んだ。その友人は乾杯の後、開口一番わたしに言った
「Naoki、もっと自信持ちなよ!」
「『俺はこうだ!』って自分の思う通りやりなよ、失敗してもそっちの方がかっこいいよ!」
驚いた。よほど悩みが行動に出ていたのだろう。その友人はそれ以上その話はしなかったが、それで十分だった。
もっと自分らしくなろう。こんな当たり前のことだけど、わたしはこのときはじめてそう思った。そう思ったとたん、急に目の前の景色が変わった。
目線は過去から未来に変わり、やるべきことがやりたいことに変わり、できない負い目は挑戦に変わった。
 
自分らしさを目指して、まだ間もないわたしは、これで良いのかどうかはわからない。
まだまだ面白味や味が出てくるには程遠いかもしれないが、少なくとも虚像の作った機械のようなことばではなく、人間らしい自分ならではの関わり方ができるようになってきた。
自分らしく生きるのって難しい。
何でも好き勝手にするワガママとは違うし、思いつくまま流しているだけの自暴自棄とも違う。
自分が何を感じたのか、ちゃんと知るところから始まる。虚像に乗っ取られたわたしは、いつからか事実だけを捉え、感情を感じなくする技を身に付けていたらしい。そしてなんでそう思ったのか、しっかり向き合って考える。そして表現する。正面から向き合った自分の感情に、正解も不正解もない。
千里の道も一歩から。自分に全力で向き合おう。そして向き合った自分を全力で表現しよう。そう思って挑んだ、ライティングゼミ9日間。
 
 
 
 
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2019-10-16 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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