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メディアグランプリ

異なる価値観がもたらすもの


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【12月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:鵜木 重幸(ライティング・ゼミ 日曜コース)
 
 
「ねぇ、良いお店を知ってるの! みんなで行かない?」
 
「いいね! 是非行きましょう!」
「おぉ、有難い、楽しみですな」
 
とあるコミュニティでオフ会をすることになった。
とりあえず、昼前に集まって、どのお店でランチをしようかと相談中だ。
 
毎月開催されるその講座は、30名程度の受講生がいる。
毎月、顔を合わせているうちに、気の合う6人のグループができた。
男女半々入り混じり、年齢層は、一部推定が入るが、30歳代後半から60歳代前半までと幅広い。
一見、何の共通項も無いように見えるが、セミナー講師のファンであることだけは一致している。 そこが共通の価値観だ。
 
「ところで、何のお店なの? 和食、洋食、中華?」
女性陣からの質問だ。
 
「Hホテルに最近オープンしたらしいの、一流ホテルのシェフが作る中華料理、オーダーバイキングでランチなら、1,500円とオトクなの!」
情報提供者のA子さんはちょっと自慢げだ。
 
「えっ、ホント、A子さんありがとう!」
「バイキングなら、ガッツリいけますね」
男女とも賞賛の嵐、全員一致でA子さんの提案に乗ることにした。
 
「予約は誰がする?」
リーダー格の男性B男さんからの質問。
オレがやっても良いよという雰囲気を醸し出している。
 
「残念ながら、ここは予約できないんです。 11時オープンなので30分くらい前から並べば良いかと…… この前、行った友人は1時間待ちで入れたと言ってました」
A子さんにとって、1時間並ぶことは、苦にならないらしい。
 
A子さんの回答に、50歳代のC男さんが反応する。
「えっ、待たなあかんの? オレは基本的に待つのは嫌いなんやけど…… 時間の無駄やし……」
 
楽しく盛り上がっていた場の雰囲気が、一瞬凍りつく……
 
6名、皆それぞれ、待つことへの時間感覚がまちまちだった。
食を優先し、A子さんに賛同する人あり、
30分程度なら良いが、1時間はちょっと……と言う人あり、
そもそも団体で予約なしは有り得ないと言う人あり……
 
共通の価値観で集まった、気の合う仲間同士であるが、「待つ時間」に関しては対立してしまった。
 
「私が代表して並んでも良いよ、順番が来そうなったら連絡するし……」
 
自分一人で並ぶと言い張ったA子さんを制し、皆で相談の結果、予約可能な別の店がランチ会場に選ばれた。
話題は、ランチ後に実施するイベントの相談に移り、いつもの和気藹々とした雰囲気に戻っていた……
 
セミナー講師のファンという共通の価値観も持ち合わせている、気の合う仲間同士。
そんな中で起こった意見の対立に、私は内心驚いていた。
「価値観が合う仲間と思っていたのは、オレの勘違いか?」
 
良く考えれば、価値観が全く同じという人に、今まで出会ったことはない。
と言うか、そんな人は、地球中のどこを探しても、出てこないのでは無いか?
どんなに親しい友人でも、愛し合っている恋人や夫婦でも、同じ環境で育った兄弟姉妹であっても、価値観の完全一致は有り得ないだろう。
教育や経験が異なれば、異なった価値観が形成されるのは、ある意味当然である。
 
そんな人達が、何故集まるかと言えば、何か共感する共通項があるからだろう。
個々は自由に自転しているが、同じ太陽の周りを公転している、太陽系の惑星たちの関係に近いかもしれない。
セミナー講師が太陽であり、6名はその周りを回っている惑星だ。
個々は独立した価値観を持ち、それぞれ自転しつつも、太陽という共通項も対しては、公転し一つのコミュニティ、「小宇宙」を形成している。
 
「小宇宙」を形成するためには、距離感が重要だ。
セミナー講師との距離感も、人それぞれ違った方が良い。 皆が熱烈なファンであれば、軌道が近すぎて衝突してしまう。
そして、お互いの距離感のバランスも重要だ。 共通の価値観が多いと近すぎて接触の危険がある。 逆に共通の価値観が少なすぎると、離れてしまい6名のコミュニティではなく、講座メンバーの30名の方になってしまう。
 
こんな事を考えていると、更に面白いことに気が付いた。
 
私は、別のコミュニティにも参加している。 そのコミュニティの規模は20名程度で、オフ会を一緒にする気の合う仲間は4名だ。
私はその4名とも、別のセミナー講師を中心とした「小宇宙」を形成している。
その中に、A子さんら6名のコミュニティのメンバーは誰ひとりいない。
私の別の価値観が引き寄せた、異なる「小宇宙」だ。
 
他のメンバーそれぞれも、同様に、別のコミュニティで異なる「小宇宙」を形成していることだろう。
別の価値観があるからこそ、人それぞれの異なる「小宇宙」がある。
 
人はそれぞれ、多様な価値観で、様々な「小宇宙」に関与している。
同じ価値観で惹かれ合い、新たな「小宇宙」を形成する時、その持っている「小宇宙」を引き連れて、融合する。
 
人と人が繋がり、「小宇宙」同士が無限にネットワークを形成し、やがては「大宇宙」へと繋がっていく……
 
そんな、想像を絶する、無限に広がり続ける「大宇宙」を思い描いた。
 
何でも意見が合うのが、良いコミュニティと思っていたが、最低限1つの共通項さえあれば、お互いの価値観は、むしろ異なった方が面白いと思えてきた。
別々の価値観を持った人たちが引き連れてくる「小宇宙」は、私の可能性を拡げてくれるかもしれない。
逆に、私が連れてきた「小宇宙」が、コミュニティメンバーの飛躍のきっかけになるかもしれない。
 
そんな人間同士の繋がりが、人類の無限の可能性を引出し「大宇宙」に生成発展していくのかなぁ……
 
ちょっとランチで揉めたけど、このおもろいコミュニティにいるのが益々楽しくなってきた。
 
***
 
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2019-11-07 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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