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雑草を食べたら、日本の良さを再発見した話


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:井上敬介(ライティング・ゼミ 平日コース)
 
 
「うーん、やっぱり美味いな!」
 
たまに、雑草を摘んできて食べています。
山菜とかきのことか、そういう「山の恵み」的なものではなく、主にタンポポやつくし、ヨモギなど本当にその辺に生えているものを適当に摘んで、夕飯のおかずにする。そういうことを、定期的にやっているんです。
 
私が取り立てて貧乏だとか、そういうことではありません。
近所にあるスーパーで普通に買い物ができる程度の稼ぎはあるのですが、たまに「雑草でも摘んでこようかな」という気分になって、近所の河原に足を運ぶのです。
 
自分でもなんでこんなことをしているのか、そんな気持ちになるのか、よく分かっていなかったのですが、ちょっと腰を据えて考えてみたら、一つの仮説が浮かび上がりました。
 
それは、私は雑草を食べることで「日本って良いな……」という体験を味わいたがっていたのではないか、という仮説です。
 
何を言っているんだコイツは、と思われたかもしれません。
ちょっと、解説させてください。
 
——-
 
「日本って良いな……」と思う時は人によって様々だと思うのですが、
ベタなところでいうと、海外旅行から帰ってきた時でしょうか。
 
例えば、インドやタイなど、東南アジア方面に行った時を想像してみてください。
 
日本とはまったく違う気候や町並みに、心が踊ります。
現地の方との交流や、素晴らしい景色など、忘れられないような経験もあると思います。
 
ただ、その一方でマイナス面もあるでしょう。
トイレにウォシュレットなどはついていませんし、場合によっては水洗でもないかもしれません。また、水道水はそのまま飲んで良いのか不安……なんてこともあるかと思います。
 
そして、そこで様々な経験を積んできて、日本に帰ってきた時に思うんです。
「ああ、やっぱり日本って良いところだなあ」と。
 
この時「良いところだなあ」と感じる理由の一つに「日本のインフラが整っていることの素晴らしさ」があると思います。
蛇口をひねれば飲める状態の水が流れる。コンビニに行けば、豊富な品揃えの中から自分の好きな商品を選べる。ああ、なんてありがたいのか……。
 
これは、普段何気なく生活していると、感じづらいことです。
 
そしてこの「やっぱり日本って良いな」という気持ちこそが……雑草を食べた時に感じる気持ちと、非常に近しいんです。
 
なぜ雑草を食べることで「やっぱり日本って良いな」を体験できるのか?
それは、雑草の調達や調理、味わいに関係があります。
 
雑草の調達は結構、面倒です。
犬の散歩コースが近くにあると、おしっこをかけられている可能性があるため、あまり人が入ってこないようなエリアまで足を伸ばす必要があります。
 
お次に調理ですが、これも面倒。
アク抜きが必要なもの、水に晒しておかないといけないものなど、下処理に結構時間がかかるものが多いのです。
 
そして最後に味わい、ですが……
 
これが実は、そこまで美味しくないんですよね。
 
結構入念に下処理などをした素材を使っても「なにこれ! めっちゃ美味しい!!」なんて料理が出来上がることはほとんど、ありません。
「まあいけるな」くらいの味わいのものが多いのです。
 
——-
 
要するに、雑草を食べるということは「手間もかかるし、味はそこそこ」という、コスパの悪い行為なのですが……
 
その後、コンビニやスーパーに行くと人はどうなるか?
 
「えっ、こんな綺麗な野菜がこの値段?」
 
「このサラダ、もうカットされた野菜が入ってる……! なんて食べやすい!」
 
と、食べやすい上に味のクオリティも高い野菜が売られていることに、新鮮に驚くことができるようになるんです。
 
そして同時にこう思うのです。
 
「ああ、こんな新鮮な野菜が毎日通えるスーパーに、ちゃんと流通している。こんな流通環境が整っている日本って、良いところだなあ……」
 
と。
 
この時に感じている「日本って良いところだなあ」は、海外旅行から帰ってきた時に感じるそれと、すごく良く似ているんですよね。
 
そして、こうして改めて「日本って良いな」と思えるようになることで、
スーパーやコンビニなど、普段何気なく利用しているサービスに対して、感謝の気持ちが湧いてきて、
温かい気持ちで社会に接することができるようになり、
不思議と心も穏やかになってくるんです。
 
そう思うと、私が定期的に「雑草でも食べようかな」と思うのは、
体や心からの「日常の良いことに気付けるような心持ちになりなさいよ」というサインだったのかな、なんて風に思えてきたのでした。
 
——-
 
普段なかなか感じることのできない「日本って良いなあ」、ひいては「今、良い環境で生活できているなあ」という気持ち。
近所の雑草を食べてみるだけで、それが簡単に味わえるんだとしたら、なんだか良いなあと思いませんか?
 
雑草は普段意識を向けていないだけで、誰の家の近くにも生えているもの。
今晩の夕飯のおかずには、タンポポのかき揚げなんていかがでしょうか。
 
翌日にはスーパーに行って買った野菜で晩御飯を作ってみてください。
何気ない料理でも、感動できるはずです。
 
「うーん、やっぱり美味いな!」と。
 
 
 
 
***
 
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2019-11-15 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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