メディアグランプリ

大阪に住む私が京都で働く理由

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【12月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

 
 
記事:成広汐里(ライティングゼミ平日コース)
 
「人生を変える書店」
天狼院書店のコンセプトだ。
京都天狼院にはレジから見上げる位置にこの言葉が書かれている。
それを見上げる度に思う。
 
「私の人生、変えられてるなあ」と。
 
まだ私が高校生の時、1冊の本に出会った。
普段小説を読むことが多い私だが、その本は書評本だった。
たくさんの本が紹介されていた。その数150冊。
「京大院生のスタッフさんが書いてるんだ。え、アルバイトスタッフ?」
分からないことが多すぎる。
とりあえず1冊目の紹介を読んでみた。
めっちゃ面白そうだった。
「こんなに面白く紹介できるなんて」
紹介文の時点ですでに面白い。
そのまま最後まで読んだ。
全ての本が面白そうに見えた。
「わたしを離さないで」の紹介文では泣きそうになった。
読むしかない。
本屋で紹介されていた1冊を買った。
ジェイン・オースティンの「高慢と偏見」。
きっとこの本に出会わなければ一生手に取ることはなかったと思う。
ほぼ初めて読んだ外国文学だった。
すごく面白かった。
間違いない、この本で紹介されている本は全部面白い。
 
誰が書いたんだろう。
著者を見る。
「三宅香帆(京都天狼院)」……。
変わった名前の本屋さん、でも京都にあるんだ。
いつか行ってみたいな。覚えとこう。
 
これが私と天狼院書店の出会いだった。
 
大学進学をきっかけに大阪に引っ越した。
実家は岡山だったから京都が近くなった。
もしかしたらこの本屋さんに行けるかもしれない。
そんなことを思いながら一度も私はお店の場所を調べなかった。
意味が分からないと思うだろう。
私にも意味が分からない。
だから1回生の夏休みに友達と祇園に行って、
四条通りから1本入った道を通っていて、
京都天狼院の前を通ったのは、
多分運命だと思う。
 
「ここだ!」
思わず叫んだ。
やっと、来れた。
ずっと探していた本屋さん。
入ってみるととても不思議な本屋さんだった。
2冊本を買った。確か川端康成の「舞姫」と谷崎潤一郎の「春琴抄」。
それから半年、私は京都のこの本屋さんに通っていた。
大阪に住む私が京都に行くのは近いようで意外と遠い。
でもそれだけの時間をかけても通う理由はあった。
天狼院書店で買った本は全部覚えている。
それくらい思い入れがある。
 
そして今、私はここでアルバイトをしている。
大阪に住んでいるのにわざわざ京都に行く。
周りの大阪府民には呆れられた。
彼らの言葉を借りれば「バカなん?」となる。
一応相談した母にも「遠すぎるよ、辞めとき」と言われた。
それはそうだと思う。
同じ本屋なら京都より大阪の方が近いし、最低賃金が高い分時給も高い。
行くにも時間がかかるし、帰るにも時間がかかる。帰宅時間が0時過ぎになることもたまにある。
京都府民ですら大阪にバイトに行く人がいるくらいだ。
でも私はここで働いている。
 
だって私が誰かの人生を変えるかもしれないから。
私の運命はたった1冊で変わった。
もしかしたら私の紹介した本で人生が変わる人がいるかもしれない。
私が紹介したイベントで人生が変わる人がいるかもしれない。
まだ学生で、アルバイトで、それでもそんなことができたなら。
それってめちゃくちゃ楽しくてわくわくすることじゃないだろうか。
たかがアルバイトで、誰かの人生を変えるかもしれない。
そんなの、ここでしかきっとあり得ない。
 
お客さんにこんなことを言われたことがある。
「人生を狂わす名著50」を紹介している時だ。
私がここを知ったきっかけもこれだったといったらその方はこう言った。
「じゃあほんとにこの本に人生狂わされてるんですね」
思わず笑ってしまった。
たしかにたった1冊の本でここまで引き寄せられて今じゃ働いてるなんて。
「ほんとにその通りです笑」
狂わされてる以外の言葉はない。
 
いろんなゼミを受講しながら、お客さん同士が仲良くなる。
プロカメラマンさんがお店に来たりする。
社長はすごく面白いし、肩書きがありすぎて未だに覚えられない。
不思議な場所だと思う。
ここでしか会えない人がたくさんいる。
天狼院書店はSNSだ。
趣味や興味が同じ人が出会って、だんだん仲良くなっていく。
たくさんの人とのつながりを通して、ここに来ないと会えなかった人たちと当たり前のように繋がり、世間話をする。あるいは趣味の話、技術の話、受けているゼミや講座の話をする。
社員とお客さんだけじゃなく、お客さん同士が仲良くなる場所なんて、今では珍しいんじゃないだろうか。
 
お客さんに話しかけに行くときは緊張する。
上手く説明できるかな?
何から話そうかな?
最初めちゃくちゃ警戒されるからなあ……悲しいけど。
でももしかしたら。
もしかしたら私の一言でこのお店に興味持ってくれるかも。
観光客でも他の近いお店に行ってくれるかも。
「こんなのやってみたかった!」っていうゼミやイベントを見つけられるかも。
そうしたら。
もしかしたら私の一言で人生が変わるかもしれない。
 
私が天狼院書店で働く理由。それは誰かの人生が変えられるかもしれないから。
あなたも人生、変えに来ませんか?
 
 
 
 
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この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。 「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。
 
http://tenro-in.com/zemi/102023
 

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2019-11-28 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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