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現代っぽくない疑問を解決する方法


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:高橋拓希(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
ふと街を歩いていると「一体これは何なのだろう」と疑問に思うことがよくあります。
 
歩いている時は、人に目をやると目が合ってしまい何か気まずい感じになってしまうこともあり、幼少期からずっと自分の目線よりも少し上を見ながら歩いていました。
 
人間は自分の目線より上を向くことがないそうで、側から見ると少し上を見ながら歩いている僕は不自然に見えるかもしれません。
 
ちゃんと前は見えているんです。だから人とぶつかることはありません。
 
いつもみたく、京都の中心地である四条河原町をぶらぶらと歩いていました。特に用事もなくただ周りを見ながらぶらぶらと。
 
京都らしい直線が長く続く道を歩いていると、何か大きなオブジェが目に止まります。色は白く、曲線が滑らかで美しい、お酒の瓶のような独特な形をしています。
 
そして中心付近には赤色の線が2本あり、そのオブジェのアクセントとして機能しています。
 
その巨大なオブジェは、そう、ボーリングのピンです。
 
アミューズメント施設であるラウンドワンの入り口にどっしりと構えているそのボーリングのピンを見ると、ピン以外の何物でもないのですが、疑問がふつふつを頭に湧いてきました。
 
「あの赤い線は一体何のためにあるのだろう」
 
ボールを転がして倒す標的としてしか考えたことのなかったボーリングのピンを単体で、そして大きな形として目に触れたからこそ湧いていた疑問だと思います。
 
よく見て見ると、何であの赤い線があるのか、何で二本なのか、気になって仕方なくそのことしか考えられなくなりました。
 
足取り早く家に帰り、まずはお決まりのインターネットの力を借りて調べてみます。
 
ボウリングのピン 赤い線 なんで
 
検索してみました。
 
まぁ色々な回答はあるのですが、どこでもボーリングのピンはそのように規定で決まっているだとか、赤線以外にも王冠であったり、青線であるだとか、そういう答えがほとんどであり、明確な回答はありませんでした。
 
赤線が王冠であろうが青線であろうが、僕にとってはどちらでもあまり変わりはなく、なぜそのような線が必要なのか、というのが一番重要なポイントでした。
さて。どうしよう。
 
一度気になってしまったことは自分で納得するまで突き詰めたい性質なので、どうにかこの頭に残ったモヤモヤを解決したい。
 
しかしインターネットではもう限界がある。
 
じゃあ何が今自分にできるだろうか、と考えた時に、真っ先に頭に飛び込んできたのはとても単純な方法です。
 
「専門家に聞けばいいんだ」
 
すぐさま日本ボウリング協会に電話をして聞いてやろう。あ、そもそもこれまで25年の人生「ボーリング」と思っていたけど「ボウリング」なんだ。新しい発見でした。
 
ここまでは勢いで自分が気になってしまったことを追求したい欲望で動いたけれど、いざ実際に電話をかけようとすると躊躇いが出てきました。
 
「変な人に思われたらどうしよう」
 
顔を合わせるわけではないのでそこまで躊躇しなくても、と思われるかもしれませんが、何せコロナの影響もあり、あまり人と会話をしていなかったものですから、より一層緊張感がありました。
 
それでも自分のスマホを手にとり、恐る恐る、日本ボウリング教会の電話番号を打ち込みます。
 
「プルル…… 、プルル…… 、プルル……  はい。日本ボウリング協会です」
 
「お忙しいところ申し訳ございません。一つお伺いしたいことがあるのですが」
 
「はい、どのようなことでしょうか」
 
「あの……ボウリングのピンに赤い二重線があると思うのですが、アレって何のためにあるのでしょうか?」
 
「……」
 
ヤバイ。何とか言えたけれど、この僅かな沈黙が異様に長く感ぜられ、心臓がドキドキ早く動いていることに気づきます。
 
沈黙の後、対応して下さった方が
 
「申し訳ございませんが、そのようなことは分かりかねます」
 
ああ、そうなのか。
 
「わかりました。ありがとうございました」
 
できる限り早く電話を切りたくなってしまい、その後質問をすることなく足早に電話を切りました。
 
分からなかったし何だか恥ずかしい。何を聞いているんだと思われたかもしれない。でも、一体どうすればこの疑問に対する答えに辿り着けるのだろう。もはや、ただの飾りとしてかもしれないけれど、ボウリングに詳しい人にそう言ってもらえればそれでよかった。
 
次に私は、ボウリングのボールや手袋などを扱うボウリング用品店に電話をかけることに決めました。
 
もうこれで、分からなかったら仕方がない。諦めよう。そう考えスマホで検索したボウリング用品店の電話番号を打ち込みます。
 
「すみません。一つお伺いしたいのですが、ボウリングのピンにある赤の二重線って何であるんですか?」
 
「少々お待ちください」
 
丁寧な物腰で対応してくださった女性の店員さんはそう言って、おそらく、より詳しい人に繋いでくれました。
 
「お待たせいたしました。ボウリングのピンの赤い線はですね…… ピンが倒れた時、どのピンが倒れたのか分かりやすいように付けられています。ピンは長いレーンの先にあるので、もし、真っ白だったら、倒れた時、塊に見えてしまうんです」
 
おお、そうなのか。何だか嬉しさがこみ上げてきました。
 
インターネットで検索して、何か新しいことを知った時には感じられなかった人の温かみがそこにはありました。
 
インターネットを使えばある程度のことは何でも知れるようになった現代において、人から聞くという、ずっとずっと前からあった方法がとても心地よく、ほっこりとした気持ちになります。
 
「分からないことは聞いちゃえばいい」
 
この経験から分からないことがあれば電話で聞くという方法を使うようになりました。
 
なぜビールとジンジャーエールを混ぜるとシャンディガフという全く関係のなさそうな名前になるのだろう、という疑問を日本カクテル協会に聞いてみたり。
 
自分一人で完結できることが多くなったといっても、やっぱり人の温かみはとても必要で、無機質なものに代わることはないんじゃないかと思います。
 
それは人の温もりが感じられ、自分の思ってもみなかったこととの出会いの可能性があります。
 
もし何か疑問に思ったことがある時は、真っ先にインターネットに頼るのではなく、一度誰か詳しい人に聞いて見る、を試してみてはいかがでしょうか。
 
 
 
 
***
 
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2020-10-30 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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