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人生の最後に見たいものは何か?

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

 
 
記事:宇野好美(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
あなたは、人生の最後に見ていたいものはなんだろうか?
 
唐突にこんなこと聞かれたら即答はできないと思う。
家族の顔とか、自宅の風景とか、懐かしい場所だろうかだろうか。
もしかしたら、人生最後に見ていたいのはSNSかもしれないと思ったのだ。
 
人はいつか必ず死ぬ、でも寿命は人それぞれである。
早めに人生を終えるひともいれば、
世界最高齢の方のように100歳を超える方もいる。
普段は、人生の最後だなんて考えることはほとんどないと思う。
なんでこんなことを考えたのかというと、
最近友人がなくなったのだ。
 
友人は数年前から闘病していた。
ブログやSNSで近況や治療のことや日常のことをよく発信していた。
長めのしっかりと考えられた文章で、読み応えがあって楽しい。
共感できることもあれば、
自分には想像できなかった視点をくれるときもある。
 
彼の視点になると、日常の出来事も面白く読める。
イラッとした出来事も少しコミカルになる。
自分に置き換えて考えさせられることも多く、ついつい読んでしまうのだ。
あらゆることに真摯に向き合う姿勢が文章から感じられる。
写真作品のコンセプトも面白いのだ。
 
前に仕事関連のことで相談したことがあった。
当時の自分は苦手なことは誰かにお願いしたかったのだ。
何か近道などもあれば聞きたかった。
そしたら、コツコツと積み上げるもの以外の最良の方法は無いと教えてくれた。
とても友人らしいアドバイスだ。
 
友人の書くブログや投稿は、
いつのまにか、
自分が迷子になったときの道しるべのような存在になっていたのかもしれない。
投稿を今か今かと待っているわけではなく、
なんとなく開くとだいたいその友人の投稿画面がでてくるのだ。
 
そんな、読み応えのある文章を書く友人が、
ある日SNSにとても短いメッセージを投稿したのだ。
「きれいな景色が見たい」
その日、私は車で遠くに外出していた。
夕暮れ時の空の写真を撮りながら、高速道路のパーキングで休憩していた。
その時に、この投稿に気がついたのだ。
 
友人のこんなに短い文章の投稿は初めて見たと思う。
思わず、見返してしまった。
入院しているのは知っていたが、
まさかな……、
と思いつつ今を逃してはいけない気がしたのだ。
家に帰ったら忘れてしまうかもしれないし、
そうしたら後悔する気がした。
 
家までは30分の距離だったのだが、
カフェでスマホに保存した写真を必死に探した。
 
過去を遡るといろいろな写真があった。
その中から、
きれいな景色では無いけどくすっと笑えそうな一枚と、
光がきれいに写っている神社の写真にした。
 
SNSを見ると、たくさんの友人が投稿していた。
ほとんど知らない方ばかりだったけど、その友人のことを思っている優しさを感じた。
どれも、きれいな景色ばかりだ。
なんだか、みんなの投稿を見ていたら泣けてきたのだ。
誰かを思って投稿するという人の優しさに触れたからだろうか。
カフェを出る頃には辺りはすっかり暗くなっていた。
 
コロナだから、入院していても面会はできない。
面会できたとしても、当人の体調を考えると自分勝手な面会は避けたい。
SNSだからこそできるコミュニケーションである。
人にもよるが、SNSは自分の見たい時だけ見ればいいので、負担になりにくい。
ZOOMなどとも違い、自分の姿を出さなくて良い。
 
今までは、きれいなだけの写真は、
凄いとは思うものの、あんまり心が動く気がしなかったのだ。
でも、きれいな写真でこんなにも心が動いたのだ。
きっと、それまではスマホし保存しただけの、
「きれいな写真」というだけのモノだったのだ。
それが、「誰かに見せてあげたい風景」に変化したのだ。
自分や誰かの思いが入っていて、
それが分かりやすい形になったから心が動いたのかもしれない。
 
自分が保存しただけの写真とかは見返しもしない。
映える写真は、いいね! が貰えればそこそこ嬉しいのだが、
だれかのために投稿する写真は、投稿するだけでもなんだか嬉しいのだ。
スマホの奥にしまってあった写真が、誰かの役に立った気がするのだ。
 
いつでも、自分にはない視点をくれた友人は、
ここでも新しい視点を教えてくれたのだ。
 
友人は、みんなの投稿の一つ一つにいいね! を押し、
何度もありがとうとコメントしていた。
友人の真摯な姿勢や、優しさが垣間見える。
きっと、体がしんどい中コメントしてくれていたのだと思う。
 
その数日後、友人は天国に旅立った。
 
きれいな景色をたくさん撮りたいと思った。
誰かに見せるために。
一人でもいいから、誰かに喜んでもらえる写真を撮りたい。
 
いいね! が沢山つく写真とかでなく、
どこかの誰かの評価のためでもなく、
いつか渡す相手が心地いいと思ってくれる写真をたくさん撮りたい。
 
 
 
 
****

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2021-03-26 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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