メディアグランプリ

ああ、愛しのスターバックス


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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:後藤 修(ライティング・ゼミ超通信コース)
 
 
会社の昼休みが来た。
「いつものところへ行こう」
こう思い、本社の8階にある事務室から階段を軽やかに降りて向かった。
歩き始めて5分。着いた。
ここはスターバックスの店の前。店の前で、僕は自然と笑みが出てくる。
 
僕にとって、スターバックスは楽園だ。
 
僕がスターバックスを知ったのは、19年前の春。
当時、僕が所属していた本社のある部署で働いていた時だった。
ある日の昼。昼食を摂っていたいつもの洋食屋が閉まっていたので、僕は食べる場所を探し回っていた。
すると、ある店の入り口の両隣に、きれいに植えられた花の鉢があった。あまりの綺麗さに僕はみとれてしまった。
「おお、すごい。中に入りたいな」と何かに引っ張られるように中へ入った。
そこは、今まで見たことがなかった喫茶店、スターバックスだった。
中に入ると、そこには想像しない光景があった
きれいな白壁で囲まれた内装、そして、周りを見渡すと木目の美しいテーブルと
椅子が並べられていた。まるで外国にある建物の中、ヨーロッパへ旅行した時の感動がよみがえってくるようだった。そんな心持ちで、レジの前へ行きコーヒーとサンドイッチを頼んだ。
その時、店員さんが言ったことがとても頭に刻まれた。
 
「ありがとうございます」
心によどみがない満面の笑顔だった!何かを販売するために「営業スマイル」を駆使する店員さんはいるけど、この時はそんなものは全く感じられない心からの笑顔だった。
この時の衝撃が僕の昼休みのスケジュールを変えさせた。僕は洋食屋からスターバックスへ‘乗り換え’たのだ。
 
スターバックスはまさに仕事の合間の楽園になった。
 
しかし、しばらくして僕は異動となった。楽園だった場所から遠ざかった。昼休みに心が潤う時間がなくなってしまった……。
 
それから15年間、スターバックスとは縁遠くなった。毎年、1年に1度よるぐらいの
疎い存在になってしまった。遠いものになってまった……。
 
だが、3年前の春。再び、楽園へ行くことになった。。
 
僕は本社のある部署に異動となった。再びスターバックスに寄れる場所に戻ってきた。そこの部署に着任してから、翌日。スターバックスに向かった。しかし、こんなことが頭をよぎる。
 
「スターバックスは今もあるのだろうか?」
10数年前の最初に入った時からだいぶ時が経っている……。
 
僕は前に通っていたスターバックスの場所へ行った。だが、そこにはなかった……。
「もうなくなったんだ……。 」だがその時、ふと思いだした。
 
「確か、ここから少し歩いたホテルの中にスターバックスはあったんじゃないか?」
 
僕はそこへ向かった。そして、スターバックスの象徴、緑のマークが見えた。
僕は嬉しかった……。 また、来れた……。 場所は変わったが、僕は戻ってきた。ここへ。
 
店へ入ると、早速レジへ向かった。
「いらっしゃいませ!」素敵な笑顔したスターバックスの店員さんが目の前にいた。
(前と変わらない!)なんだかわけが分からなく嬉しかった。また、スターバックスへ通うことが出来る日が来たことが嬉しかった。
 
さらに、僕がスターバックスを愛しすぎてしまう事件が起こった。
それはある昼、スターバックスでコーヒーを注文した時。
レジの前でコーヒーをもらった時に水出しコーヒーを作るための道具を見て男性の店員さんに尋ねた。
 
「これで淹れたコーヒーはおいしいんですかね?」
僕の質問に、彼は笑顔で答えた。
 
「ええ、そうですよ。明日、僕が作って出してあげますよ」
おお、なかなかすごいサービスだ……。 僕は驚いた。僕は「本当ですか?じゃあ楽しみにしてます!」と答えた。
そして、翌日。僕は店にやってきて、レジの前に来ると、昨日の男性店員が近づいてこう言った。
「お待ちしてました!こちらの席にすわってください。目の前で淹れますよ!」
僕はそこに座った。彼はコーヒーを淹れ始めた時、まもなく言った。
 
「僕、これ使うのはじめてなんですよ。昨日、お客さんのために練習をしてきたんですよ」
 
(え、なんてお客さんへおもてなし、超すごい!!)ここまでやるとは本当に脱帽だった。
おいしいコーヒーを淹れてもらうだけでなく、こんな心遣いが出来る店員さんにただ感動をした。
僕は驚きながら、感謝しながらコーヒーを飲んだのだ。
 
それから2年ほど経つ。今は毎日のように昼時は、スターバックスへ行き続けている。誰かと食事をする時以外は、必ずスターバックスへ行く。
行くと、店員さんは僕を見て、
 
「ああ、後藤さん」と呼んでくれる。もう、スターバックスのスタッフみたいに接してくれるのだ。この空間にいられることをとても幸せに思う。もう、コーヒーを飲む場所ではない。ほとんど、‘第2の家’だ。
 
これから、僕は働く場所がまた、変わるかもしれない、でも、そうなったとしても、僕はスターバックスへ通い続ける。なぜなら、心温まる楽園だからだ。
 
 
 
 
***

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2021-05-22 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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