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40年間、待ち焦がれた完全版


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記事:山田THX将治(リーディング倶楽部)
 
 
「えッ⁉ 日本とアメリカって昔戦争したのですか?」
今や都市伝説と為りつつあるジョークだ。
若い世代が、十分に歴史を勉強していない、正確には、現代に至る前に授業時間が尽きてしまう、社会科・歴史の授業を皮肉って作られたものだ。
こんなジョークが出来る程だから、12月8日が何の日か、若い世代で知らない方が増えたとしても不思議はない。
答えは当然、日米開戦の日だ。
 
ところが、今から30数年前、12月8日を日米開戦の日と答えると、若者(当時の)からバカにされる年寄りが続発した。
その日は、ザ・ビートルズのオリジナルメンバーで、曲作りとボーカルも担当していたジョン・レノンが、カルトなファンによって殺害された日として記憶されていたからだ。亡くなったのは、1980年12月8日のことだった。
当時、世界中の若者は忌憚に暮れ、今風に言うと『ジョン・レノン・ロス』が何年も続いたものだった。
私は21歳の大学4年生だった。
 
昨年12月、『ジョン・レノン&オノ・ヨーコ プレイボーイ・インタヴュー1980完全版』(株式会社シンコーミュージック・エンタテイメント・刊)という分厚い本が出版された。金色の帯には『40周年決定版』と書かれている。
内容は、ジョンが亡くなった年の秋に、デヴィット・シェフというアメリカの著明ライターが、雑誌プレイボーイの委託で行ったロングインタビューの再録本だ。
原本と為る『all we are saying』は、インタビューが行われた1980年の12月6日にパイロット版が出来上がり、ジョン・レノン自身も確認したという。本の出来栄えにジョンも大喜びだったと、ヨーコがデヴィット・シェフ当人に電話で伝えている。
そして、パイロット版が出来上がった2日後の12月8日、ジョン・レノンはニューヨークの自宅、ダコタハウスという高級アパートメントのエントランスで、凶弾に倒れたことは衆知のことだ。
 
今でも毎年、12月8日に為ると、ダコタハウスの向かいに在るセントラルパークでは、ジョンを追悼する集まりが催されている。
ビートルズの名曲から“ストロベリー・フィールズ”と名付けられた一角は、今では観光名所と為っている。私も何度か訪れたことが有る。
 
1980年12月の雑誌『プレイボーイ・日本版』には、デヴィット・シェフによるインタビューのダイジェストが載っていた。
日本語訳本が出版されたのは、1981年初夏のことだ。
ジョン・レノンが射殺されたことで、少なからずショックを受けていた22歳の私は、直ぐに『プレイボーイ・インタヴュー ジョン・レノン』と題された本を購入した。
しかし、素直な感想としては、少し飽き足らないものだった覚えがある。
何故なら、横に居る筈のヨーコ・小野の発言が、殆ど載っていなかったからだ。また、ザ・ビートルズ時代の話も、随分端折られている感じがしたからだ。
当時の翻訳家による編集後記には、インタビューが長かったので、ところどころ割愛せざるを得なかったとの表記が有ったと記憶している。
何のことは無い、日本語版は、ダイジェストとは言わないまでも、カット版だったのだ。
そのことも、私の興味を薄める要因にもなっていた。
 
そして、昨年12月。英語版は先行して発売されたとの情報が出ていたインタビューの完全版が、新たな翻訳で日本でも出版された。
それが『ジョン・レノン&オノ・ヨーコ プレイボーイ・インタヴュー1980完全版』なのだ。
“完全版”という位なので、私は早速買い求めようとした。
ところがだ、折からの緊急事態宣言も有り、『ジョン・レノン&オノ・ヨーコ プレイボーイ・インタヴュー1980完全版』は、なかなか私の手元に届かなかった。そして先月、やっと私は“完全版”を手にすることが出来た。
 
400ページ近い『ジョン・レノン&オノ・ヨーコ プレイボーイ・インタヴュー1980完全版』だったが、私は一気に読んでしまった。
今度は、40年前に割愛されたインタビューも、十分に採録されていた。しかも、著者による前書きとエピローグも改訂されており、初版本の出版とジョン・レノンが殺害された前後のエピソードも訳されていた。
40年前とは違い、私は大いに満足した。
 
殺害された当時、ジョン・レノンは40歳だった。2021年まで存命なら、80歳に為っていたことに為る。
ということは、今この『ジョン・レノン&オノ・ヨーコ プレイボーイ・インタヴュー1980完全版』が意味することは、これがジョン・レノンの半生記だったとういう訳だ。
何故なら今でも、ジョン・レノンの楽曲は、世界中の人々に愛され、聴かれ続けているからだ。
 
私は、読み終えた『ジョン・レノン&オノ・ヨーコ プレイボーイ・インタヴュー1980完全版』の表紙を観ながら、そんなことを考えていた。
何故だか、初版本と同じくカメラレンズを見詰めるジョンの表情が、現代のキリストの様にも感じてきた。
 
ただ一点、『ジョン・レノン&オノ・ヨーコ プレイボーイ・インタヴュー1980完全版』に、イチャモンの様な難癖を付けるのなら、12月28日と奥付に記された発行日を、12月8日にして頂けなかったことがとても残念だったことだけだ。
 
音楽好きの方は、是非御一読頂きたい本だ。
 
 
 
 
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2021-05-27 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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