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ブラックボックスの10代目秘本は本当に不老長寿の薬なのか


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:伊藤瞳子(ライティング・ゼミ超通信コース)
 
 
昼休み、仕事がひと段落し、職場の共用テーブルに目をやると、
真っ黒な箱が遠目に見えた。
茶色い段ボールではない。
真っ黒な箱なのだ。
届いたのだ。
私の注文したブラックボックスが。
 
駆け寄って見てみると、私宛ての送り状の品物の欄に、堂々と
「10代目秘本」
と書いてあった。
 
「うそー!
これ、誰が受け取ったかな。
秘本ってなんだと思っただろうか。
エッチな本だと思われていたらどうしよう」と焦った。
 
天狼院書店という本屋さんには、「秘本」と呼ばれる本がある。
届いて中を見るまで、どんな本かわからない
秘密の本なのだ。
ただ、べらぼうな数の本を読んでいる、書評家でもある、本屋の店長さんのおススメ本である。
そんなの面白いに決まっている。
店長さんは、この本を「不老長寿の薬になり得るかもしれないコミック」と表現した。
歳を取らない薬?
一体どんな本なんだ。
健康本なのか。
しかもコミックで?
興味が止まらず、その中身を確かめるべく、10代目秘本を注文したのだった。
 
私は秘本と書かれたこの怪しいブラックボックスを受け取った職員さんを見つけて、秘本について説明したい気持ちだった。
しかし「この荷物受け取ったの誰ですか?」と改めて話題にするのも恥ずかしく、そそくさとブラックボックスを抱え、ロッカーに向かった。
 
どんな本が入っているのだろう。
ドキドキしてブラックボックスを開けてみる。
横並びに2冊ずつ、3段。
6冊のコミックが入っていた。
表紙をみて
「えーっ!! こんな感じかー」
と思わずつぶやいていた。
全く初めてみるコミックだった。
自分だったら間違いなく手に取らないだろう、と直感的に思った。
コミックに疎い私は、最近のコミックだと「鬼滅の刃」ぐらいから知らない。
早速その日の晩から読み始めた。
 
私の全く知らない世界の話だった。
生涯のうちで、関わることがないと思っていた世界だ。
人種が違うと。
 
私の住む世界は医療系だ。
東京の中高一貫校に在学していた私は、大学受験が再優先課題だった。
父が医者だったのが影響し、医学部を目指すことにした。
受験勉強のため、学校と塾にだけ行く日々。
今思えば、簡単に医学部を選択せずに、他の道がないか、考えてみればよかったと思う。
ただ、経験がなさ過ぎたのだ。
なにもない経験の中から、何になりたいかなんて、自分の中から湧いて出てくるものではなかった。
ただ、医学部に行きたいと言えば、反対もされなかったし、応援してもらえた。
これが正しいと思っていた。
大学に合格したあとは、今度は医師国家試験に合格することが目標になった。
試験を落とさないこと。
これだけを目標に6年間ただ過ごした。
医者になると、今度は皮膚科の専門医試験に合格することが目標になった。
ただ、仕事を淡々とこなし、症例数をためて、試験勉強をした。
そして晴れて皮膚科医となった。
次は子育てが始まり、子育てと仕事の両立が目標になった。
ただ目の前の目標だけを見て過ごしていた私には、他の道なんてなく、趣味もなく、気が付いたら40歳になっていた。
 
6冊をすべて読み終わり、
様々な声がこだまする。
 
こんなのカッコいいに決まってる
私にはできるはずない
好きなことを仕事にしよう
好きなことだからこそ仕事にするべきではない
好きなことだからこそ、毎日続けられた
天職は急に降ってくるものじゃない
好きなことを仕事にできるほど世の中甘くない
今の仕事を丁寧にこなしているうちに天職になるものだ
仕事は仕事
趣味は趣味
いろんな意見はあるだろうけれど、
やはり好きなことを思いっきりやっている人ってカッコ良くみえてしまう。
惹かれてしまう。
自分にはそういうものがないから、余計に憧れるのかもしれない。
 
私の好きなことってなに?
好きなことが何なのかわからない。
もっといろんなことを経験してくれば良かった。
ただ好きなことに出会うチャンスがなかっただけかもしれない。
探そうともしていなかったし。
私にだってまだ出会っていないような好きなことがあるかもしれない。
そんな甘い期待をさせてくれるようなコミックだった。
 
「不老長寿の薬になり得るかもしれないコミック」は
今年40歳になる私にも、まだ挑戦できるなにかがあるのではないか、
もっと情熱を注いで取り組むことができることがあるのではないだろうか、と
妙な活力を与えてくれた。
エナジードリンクのように。
これが「不老」の意味か。
納得した。
 
さらには5年生になる息子に読ませたい、と思えるコミックだった。
もっとこの子にはいろんな経験をさせてやりたい。
親の私が想像する未来ではなく、
この子が自分で見つけ出した未来を生きてほしい。
この子にとって、この本がそのきっかけになってくれるかもしれない。
子育て世代にもおススメの秘本。
それが10代目秘本だった。
 
ただ職場に届くようにするのはおススメしない。
 
 
 
 
***

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2021-06-05 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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