メディアグランプリ

体を温めて心を癒す、いい匂いがして、そしてフリーダムなもの


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:桑原康子 (ライティング・ゼミ 木曜コース)
 

「フン、フン、フン」「あ、これ好きかも」「え? この木の皮も?」「クン、クン」
10人ほどの参加者が、それぞれ容器を自分の鼻に近づけている。その様子は、知らない人がみたら、けっこう異様な光景かもしれない。
みんなが匂いを嗅いでいるのは、様々なスパイス。今日はand CURRYのユキナさんを迎えてスパイスワークショップが開催されているのだ。
 
「スパイス」と言えば……。時々無性に食べたくなるカレーは、スパイスの塊のような料理だ。ただ、家で作るのは、箱に入ったルーを使ったいわゆる日本的なカレーだ。とろみがあって、ご飯によく合い、付け合わせは福神漬け、そんなカレーだ。
 
そんなお母さんの「カレー」ではなく、もっとスパイシーでエスニックで本格的な「カリー」を無性に食べたかった時期がある。最初、理由はわからなかった。昨日、無印良品のグリーンカレーを食べたのに、今日もなんだか食べたい。インド人が作る本格的なインド料理の店に食べに行く。バターチキンとキーマカリーをナンに付けて食べる。その翌日は近所のカフェでスリランカカリーを……。寝ても覚めてもカリー。スパイスが私を呼んでいる! いや、私の体がスパイスを求めている! なんだ、この状態?
 
そんなカリー依存症の状態が1週間ほど続いたのは、8月の下旬。ふと気が付けば、暑さと冷房の温度差で、かなり体がばてていた。食欲が落ちるとか、わかりやすい夏バテなら早く気付いたのだが、私はそうではなかった。暑いのに手足が冷たい、汗がでない、寝てるのにだるい。体の異変を頭が感じるより前に、先に体の方がスパイスを欲していたのだ。血行を良くして、体の隅々まで血液を送り、体温を上げる。香りは、自律神経に直接働きかけて、体調を整える。まるで薬膳だ。
 
体が欲しているなら、その声に応えよう! 体のためにカリーを食べるのだ! 昔はスパイスは薬だったのだ! カリーを食べて健康になろう!
 
そう思ったものの、スパイスってどう使ったらいいのか、よくわからない。最初からキットになっているスパイスを使うのが、精一杯。たくさんのスパイスを揃えても、レシピもないし、失敗しそうだし。うーん……。スパイス、難しい。
 
家では無印良品のレトルトカリー。本格的なカリーが食べたくなったら、店に食べにいく。そんな中途半端な私がフェイスブックで見つけたイベントが、冒頭のスパイスワークショップだ。
 
7ルールというテレビ番組でも紹介されたand CURRYのユキナさんは、店を持たずいろんな所でカリーを作る「流しのカリー屋」だ。そういえば私が好きな「旅するクーネル」のイノウエさんも、店を持たず車で移動販売をしている。2か月くらい家族でインドに行って帰って来なかったりする。最近では「間借りカリー」というのも流行っているらしい。営業時間外の飲食店を間借りして、カリーを出す店が増えているのだ。
 
「皆さん、どのスパイスの匂いが好きですか? 今日は皆さんの好みでカリーを作ってみましょう」
ワークショップというから、カリーのレシピを教えてもらうのかと思っていたら、そうではなさそうだ。
「カルダモン? 甘くて華やかな香りですね。女子力高めって感じかな~」
「クミン! ザ・カレーって感じですよね。でも、どこか和風な感じしません? 畳というか、おばあちゃんの家の匂いっていうか……」
「スターアニスは中華料理の八角ですよ。豚の角煮の匂いでしょ? でもこの星の形! 可愛いですよね」
ニコニコ笑いながらスパイスを見て「可愛い」というユキナさんが、一番可愛かった。
「じゃ、今日はちょっと男前な感じがいいかな? 辛めでも大丈夫ですか? ペッパー多めにして……。うん、こんな感じ、自由に入れちゃっても何とかなります」
 
なんて、フリーダムなんだ! スパイスってこんなに適当でいいんだ。実際、出来上がったカリーはとても美味しかった。でも、午前中のワークショップとは、全く違うカリーになったそうだ。配合とか、秘伝のレシピ的なものとか、難しく考えてたけど、もっと自由なものなんだ。確かに和食の職人さんとか、フレンチの達人とかと比べると、カリーを作る人ってフリーダムな感じの人が多い気がする。おおらかと言うか、ちょっと違う目線で生きてるというか……。
 
「ドン引きされると困るんですけど……」
ユキナさん、唐突に何をいいだすのかと聞いていると
「私、死んだらお焼香の代わりにスパイスを焚いてもらって、そのスパイスも棺桶に入れ
るつもりなんです。火葬場中がスパイスのいい匂いに包まれるって、素敵でしょ?」
 
さすがに葬式のことまでは考えてないけど……。ちょっと疲れた時、お風呂に入浴剤を入れるような感じで、料理にスパイスを使う。体が温まって、血行がよくなる。心がほぐれてくる。温泉やお風呂にゆっくりつかるように、スパイスの香りにつつまれる。頑張らなくても、体の中から元気になれそう。そんなゆるい感じも好きだな、スパイス。

 
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2018-12-20 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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