メディアグランプリ

情熱は違いを生み出す


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:高柳(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
「本当に自分の仕事が好きで、好きでたまらないんだろうね」
「好きだっていうのか伝わってくるもんね」
「きっと、その情熱が違いとなってにじみ出ているんだろうね」
 
自宅から歩いて5分の所にあるセブンイレブンの前を通ると、私たち夫婦はいつもこの会話をしてしまう。どこでも同じはずのコンビニだが、その店は他とはちょっと違うのだ。
 
もちろんおにぎりやサンドウィッチ、セブンカフェなど、そういえばここはセブンイレブンだったと思い出させてくれるお馴染みの商品も置いてある。
だけど、それらの商品以上にお店のスペースを占めているのは、高級スーパーや輸入雑貨点にしか置いてなさそうなドイツ産高級リキュールチョコレート、1袋800円もする「世界一美味しいポテトチップス」など、普通のセブンイレブンでは見られない商品達だ。
まるでドン・キホーテのように利用できる全てのスペースを使い、一つ一つの商品に購入担当者や店長の商品を紹介するカードが添えられていて、それを読むとこちらも買いたくなってしまうのだ。
 
特別な用事は無いけれど、コンビニに行く。
少なくとも私はコンビニをそのような形で使ったことは無かった。
それが、この店舗だけは、帰り道ということもあるが、週に1回は必ず寄ってしまう。
何か新しい商品が入っていないかという期待感から、お店に吸い寄せられてしまうのだ。
 
先週発見した商品は花粉症に効くお茶だった。
「私はこれを4年間飲み続け、花粉症が治りました。 By店長」
正直、「本当かよ。4年の月日が必要なら、別の要因なんじゃない」と心の中でツッコミを入れつつ、生産者にまで会いに行った際の紹介文章を読んでいると、効果が無くても騙されたと思って飲んでみようかなという気持ちになる。それぐらい、店長の情熱がこちらに伝わってくる。
 
「なんでここまでやるのだろう」
駅からも近く、人通りも多いこの店であれば、通常コンビニでは扱っていない商品まで扱わなくても売り上げは確保できるはずだ。
それなのに、このお店の人たちは時間を惜しまずわざわざ生産者に会いに行ったり、商品の紹介文章を書いたりまでしている。
 
その答えはお店の外に貼ってある求人ポスターにあった。
「私達は普通のコンビニを目指しているのでは無い。目指すのはもっと上だ」
店長の似顔絵がそう語っていた。
 
自分の仕事が大好きなんだろうな。
自分のお店を最高のお店にしたいんだろうな。
そんな思いがひしひしと伝わってきたし、そんなお店に私自身もすでに魅了されていた。
 
コンビニの仕事は誰にでもできて、知識や情熱なんて必要のない仕事だと思っていた。24時間365日働いて、つらい割に全く成長などは感じられないという偏見を持っていた。
でも、このお店に出会って、「そんな仕事はこの世に一つも無いのだ」と勉強させられた。
「情熱を持って突き進めば、違いは生み出せる」
このお店がそれを体現していたからだ。
 
そのことに気づいたとき、同時にその日一日を不満いっぱいで過ごした自分をものすごく恥ずかしく感じた。
周りの人や環境のせいにして、言い訳ばかりを頭の中でぐるぐる考える。
良くないことだと分かっていながら、すぐに愚痴をこぼす。
そんなに嫌ならば、仕事を辞める自由だって与えられているのに、今いる環境や自分自身を変える努力もしていない。
 
「もうやめよう」
正直、愚痴をこぼすのもエネルギーがいるし、あとから来る罪悪感も最悪だ。
同じエネルギーや時間を使うなら、絶対にプラスのことに使った方が良いに決まっている。
 
全力で好きなことに取り組むこと。多分、周りが引くぐらいまでやらないとダメだ。
それくらいの熱量を生み出すことができたら、違いが生まれてくる。
そして、その熱量は「他とは何か違う」という感覚と共に他の人にも伝染する。
 
こんなに近くにロールモデルがあるのだから、私も頑張らないと。
そう思いながら、花粉症に効くというお茶を買って店を出た。
 
本当は、私は花粉症じゃないけれど。
 
 
 
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2019-04-03 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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