日々の小さな幸せに気づくこと
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:高橋弘旭(ライティング・ゼミ日曜コース)
飲みたい。早く飲みたい。
自宅の最寄り駅の改札を出て、階段を降りると、コンビニにつながる道がある。その道をまっすぐ行くと、コンビニの入り口にたどり着く。僕はときどき、そこでお弁当やお菓子を買う。自炊が面倒になった時や、甘いものが食べたくなった時、ふらっと寄ってしまう。まるで、湯船の栓を抜いたときのお湯のように、吸い込まれていく。
そこでついつい買ってしまう紙パックの飲み物がある。無駄使いかなぁと思いつつも、気が付けば手に取っており、会計後のレジ袋の中に入っている。105円(税込)という、手軽に買えてしまう値段がいけないのだ。
それだけではない。さわやかな甘さと、すーっとしみわたる味、500mlというちょうどいい量。それは僕に安らぎのひと時を与えてくれる。
僕にとって、それを飲んでいるときは至福のひとときだ。
この天使とも悪魔ともいえる飲み物との出会いは、たしか小学校のころだった。
― 何か変な形してるなぁ。
母の買い物について行き、スーパーで飲み物コーナーを散策していた。すると、それがふっと目に留まった。紙パックではあるが、四角い形ではなく、丸い。台形を縦に伸ばし、上底と下底を丸くした形だ。めずらしい形だった。
― どんな飲み物なんだろう?
それを手に取り、母が持っていた買い物かごに入れた。「買っちゃダメ」と言われることなく、そのままレジを通過し、無事に帰宅。さっそく飲んでみた。
― おいしい。
付属のストローを、上部のストロー穴にさし、飲んでみた。少し甘くて、ごくごく飲めてしまうまろやかな味。気が付くと飲み干していた。それ以来、買い物に付いて行ったときに、ときどき買ってもらった。
当時はいろいろな飲み物を飲んでいた。コーラに始まり、サイダー、キリンレモンなどのメジャーな飲み物から、フキゲンという炭酸系乳製品や、「燃焼系♪燃焼系♪アミノ式♪」で有名になったアミノ式など、今思うと懐かしい飲み物も、親に買ってもらってはゴクゴク飲んでいた。
29歳になった今でも、数ある飲み物の中で、それと出会った頃を覚えているのは、形が印象的だったのと、美味しかったからだろう。
小学校時代に買ってもらっていたのは、容量が180mlだった。量が少ないため、通常の500mlパックのような形ではなかった。
大人になった今、500mlパックを買うようになった。自分で稼いだお金で買っているので、罪悪感はない。「無駄遣いかも」と思う点を除いて……。
私にとって欠かせないその飲み物は、まさにビーズクッションだ。
少し前に話題になった、人をダメにするクッション。人が寝転がれるほどの、大きめのビーズクッションで、座ると居心地がいい。そして離れられなくなることから、人をダメにすると言われるようになった。
我が家には、僕の身長より少し低めの、大型のビーズクッションがある。ベッドのように寝っ転がることができて、そのビーズの柔らかさが何とも言えず、うたた寝してしまうほどだ。それにゴロンとしながら、kindleを読む時間は、とても気持ちが安らぐ。ビーズクッションは安らぎのひと時を与えてくれるのだ。
そんなひと時を、あの飲み物は与えてくれる。コンビニで、しかも手で持てるサイズ、お手頃価格で手に入れることができる。そして美味しい。買わないわけがない。
夕飯を食べているときや、YouTubeを見てまったりしているとき、ほっと一息つくときにはいつも近くにある。飲むことで安らぎを与えてくれる。
もし、ビーズクッションに転がりながら飲むことができたら、きっと幸せだろう。こぼしてしまうので、そんなことはできないが。
あなたにも、ほっと一息つきたいときや、落ち着きたいときに飲んだり食べたりするものがあると思う。例えばコーヒー。よくドラマで、オフィスの一角にあるリフレッシュコーナーで、マグカップのコーヒー片手に、休憩しているシーンがある。きっと、ドラマの中だけでなく、日常生活にも似たようなシーンがある。みなさんも一度はそうしたしたことがあると思う。
僕にとってそれは、コーヒーではない。似ているが違う。物は違うが、それによって一息入れられる点では同じだ。
僕にとって安らぎを与えてくれるもの、それはカフェオレだ。コーヒーは飲めないことはないが、ミルクを入れて苦みを薄くし、甘さを少し入れたカフェオレが好きだ。
小学校でカフェオレに出会ってから今に至るまで、ずっと発売され続けている。きっと、カフェオレに心奪われているのは、僕だけではない。たくさんの人から愛されているからこそ、途切れることなく売れているのだろう。
カフェオレは僕の人生において必要な飲み物だ。これからも、カフェオレ片手に、日々の生活を送っていく。一息つきたいときも、煮詰まってしまったときも。
あなたにも、人生に必要な物がきっとあると思う。それは当たり前すぎて忘れてしまいがちになる。たまには、思い返してそのありがたさを感じてみてほしい。きっと何か変わるかもしれない。
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