こんな「本屋」があったなら
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:Nobu Fujioka(ライティング・ゼミ夏期集中コース)
「今日は何を読もうかな」
寝る前のお楽しみの時間。
わたしは寝る前には、必ず本を読む。
活字が大好きなのだ。
いつからだろうか。
こどもの頃から、本が好きだった。
たとえ熱があろうとも、寝たまま本を読んでいた。
病気になると家族が本を買ってきてくれた。
長く寝込めば何冊も読める。
体はつらいが、幸せな時間であった。
小学生になって図書館に1人で行けるようになる。
いろいろな本が借りられる。
それが嬉しかった。
自分では買わない本がたくさんあるし、
なによりも読み放題なのだから。
ただ、悲しいことに図書館には本の匂いが少ない。
本も傷んでいる。
本屋さんにある独特の紙の匂い。
あれが好きだ。
だから、ほんとうはいつでも本屋さんに行きたかった。
たくさん並んでいるピカピカの背表紙。
それを傷つけないよう気をつけながら引き出して、手に取る。
新しい紙の匂いを感じながら、中身をパラパラと流し読み。
ああ、今は夜中だが、本屋さんに行きたくなってきた。
今と違って、10年くらい前までは街のあちこちに本屋さんがあった。
わたしにとって、街の思いでは本屋さんとともにあるといっても
過言ではない。
中でもとくに忘れられない本屋さん。
祖父の家のそばにあった本屋さん。
小さい昔ながらの本屋。
なんということのない本屋だが、
祖父母の思い出とあいまって心にいきる大事な本屋さんだ。
遊びにいくと祖父はいつもお小遣いをくれた。
お金を握りしめ、本屋に向かう。
小学生1人でも安心な距離。
1人じっくりと本を吟味する時間。
あの照明のあかるさと、天井までびっしりつまっている本棚。
いつかは本屋さんになりたい、とも思っていたものだ。
しかしいまの世の中、
祖父母もいなくなり、その本屋さんも姿を消した。
本屋さんがなくなってみんな困らないのかと思う。
欲しい本が先に決まっているならば、
ネットショッピングもいいだろう。
しかし、本屋さんならではの楽しさ。
表紙をみて思いがけない本を手に取ってみたり。
思いがけない新刊を見つけたり。
そんな楽しさを味わうにはやはり、お店にいかねば! だ。
本屋さんはデートにもつかえる。
今、わたしには小学生の甥がいる。
時々一緒に留守番をする。
そんな時は本屋さんに向かう。
いろいろな本の話をそこでするのが楽しいのだ。
また、新しい本をおしえてくれるので新しい世界も広がる。
ふむふむ、いまは「お尻探偵」っていうのが面白いのね?
昔は「ゾロリ」だったけどさ、知ってる?
などと、くだけた本の話をしながらも
最終的には勉強しろよと、「うんこドリル」を買わせてみる。
そろそろ「鬼滅の刃」に興味がでてきたらしい。
今度来るときまでに、漫画をかっておいてあげよう。
本屋さんはこうやって、
甥との楽しい時間に役だってくれている。
本屋さんがだいすきなわたしである。
が、本屋さんで働く人の様子はあまり知る機会がなかった。
それがある日、すごく気になるアニメを見つけてしまったのだ!
もともとは漫画が原作のアニメ。
「ガイコツ書店員本田さん」
これが、とても面白い。
本田さんという書店員さんのお仕事を漫画にしたもの。
本田さんはガイコツ、同僚の方々もそれぞれどくとくのキャラクター設定。
ペストマスクをかぶった人、能面をかぶった人いろいろである。
もちろん、顔だけのキャラ設定。
服装は制服であるのが面白い。
本田さんは10年も書店勤務をされたそう。
書店内の話だけでなく、出版社の人との話もでてきてほんとうに面白いのだ。
売り場での話も多く、自分の行動が不審者に当てはまらないか?
と、ドキドキしながら見たりした。
そういう話をきくと、よりいっそう本屋さんが身近になる気がする。
店員さんの個性がいきる本屋さん。
店員さんと本の話をするために通いたくなる。
今は本屋さんは本をうるだけではなりたたないという。
知り合いの本屋さんがある。
そこでは地産商品や文房具のネット通販を始めた。
何をしてもいい。
なんとしても本屋さんが残っていって欲しい。
「本田さん」の書店員のような個性的な店員さん。
そんな人たちがもっともっとみんなに知られて、
本屋さんが本屋としての役割だけでなく、
もっと楽しめるスペースになっていったなら。
きっと、たくさんの人が本屋さんに来るのかなと思う。
そんな本屋さんがあったら、通いつめてしまいそうだ。
そんな本屋さんの在り方を考えていたら、見つけてしまった。
あった、あった。
楽しい本屋さん。
その名も「天狼院書店」さん。
本を売るだけでなく、その先の「READING LIFE」までを提供する。
という本屋さん。
いろいろな講座を体験できたり、カフェで本を楽しめたり。
池袋に3店・湘南・福岡・京都・茨城。
このあとにも大阪・名古屋にオープンの予定だそう。
これだけたくさん店舗があるということは、
やはり本屋さんがあって欲しいと思うひとがたくさんいたということだ。
本を買うだけじゃなく、一日楽しめる。
そんな天狼院書店さんがもっと日本中に広まって欲しい。
そしてもっともっと本屋さんに活気がもどって欲しい。
コロナのステイホームですこしは本が売れているときく。
みんなが本の楽しさを思い出しているってことだと思う。
忙しく大変な毎日の中。
プライベートを楽しめる本。
これからもいろんな人たちが本屋さんにいくように。
そんな豊かさを持ち続けて欲しいと願っている。
***
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