『東大王』に出る為に最適のシリーズ本
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記事:山田THX将治（リーディング＆ライティング講座）
子供の頃から、テレビのクイズ番組が大好きだった。
どうしてだか解らないが、大人と知識で並べることが、兎に角嬉しかった。
そしていつしか、クイズ番組で出題されそうな雑学系の本を、私は好む様になっていた。
テレビのクイズ番組は、いつの時代も多く組まれている。当然のこととして、番組によって出題の難易度が変わってくる。
最近では、現役の東京大学クイズ研究会のメンバーが、知識自慢の芸能人や知識人とチーム対決するその名も『東大王』が、最も難しい問題で編成されている。
特に“早押し問題”では、日本最高峰のスピードで、回答ボタンを押し合うのだ。また、よく考えないと答えられない問題では、雑学系の本に載っている知識では、全く通用しない程だ。何しろ、雑学系本が、単なる蘊蓄に感じる程だ。
一昨年、私はそんな難問系クイズ番組にも対応出来る本に出遭った。
アメリカの起業家デイヴィット・S・キダーと、同じくアメリカのニュース製作会社社長のノア・D・オッペンハイムの共著で小林朋則・訳の『1日1ページ、読むだけで身に付く世界の教養365』(文響社・刊)という本だ。
2,380円＋消費税というやや高額な本だが、翻訳本なので仕方が無いことだ。
それでもこの本は大ヒットし、或る通販で一昨年のビジネス本の年間第2位に輝いた。本国のアメリカでも100万部を超える大ヒットを記録している。
実際この『1日1ページ、読むだけで身に付く世界の教養365』には、昨年【人物編 BIOGRAPHIES】【現代編 MODERN CULTURE】と名付けられた2冊の続編が、たて続けて出版された。
現在ではそれぞれ、日本でも重版が出来されている。本国アメリカでは、シリーズ累計150万部を超えるベストセラーとなっている。
『1日1ページ、読むだけで身に付く世界の教養365』は、その名の通り1日に1ページずつ読み進める様に作られている。洋書と同じく横書きの左開きの装丁と為っている。1ページは5分で読み切れる字数で制限されてもいる。
この本の構成は、“歴史”“文学”“芸術”“科学”“音楽”“哲学”“宗教”の7つの分野に分かれている。それを各曜日に振り分けられているので、この本を読み進めていればカレンダーを見なくとも、
「今日のテーマは音楽だったので、今日は金曜日だ」
と、理解することも出来る。まるで、海上自衛隊のカレーと同じで、曜日の確認にも使える優れモノでも有るのだ。
続編のテーマもそれぞれ変化させていて、【人物編】の分野は“指導者”“哲学者”“革新者”“悪人”“芸術家”“反逆者”“予言者”に分かれている。
【現代編】の分野も“人物”“文学”“音楽”“映画”“社会”“スポーツ”“大衆文化”となっている。
3冊総て読破しても、同じ分野で被る恐れはない。
しかも書かれている教養は、単なる蘊蓄に留まらずアカデミックな領域まで達している。まさに、雑学を越えてリベラルアーツという表現がぴったりな本でもある。
ただ、この『1日1ページ、読むだけで身に付く世界の教養365』には、弱点というか問題が存在する。
それは、“1日1ページ”読めということは、常識的に考えれば寝る前に読むものとされと考えられる。ところがこの本は、その名の通り1年分の365ページ以上も在るので相当厚く重い。寝る前に読む‘ピロー・ブック’とするには、少々不向きな感じがしてならない。
その上現在は、同様の本が3冊も有るのだ。こうなると、本の置き場所を決めてからベッドを配置しなくてはならなくなるのだ。これでは、本末転倒の極みとなってしまうのだ。
そしてもう一つ、この『1日1ページ、読むだけで身に付く世界の教養365』の内容は、興味が津々に為り過ぎて、とても“1日1ページ”で我慢するには、忍耐を必要とする程なのだ。
寝る前に忍耐を要する行為をするなんて、ストレスを生じさせて睡眠導入には学効果にしかならない筈なのだ。
しかし、こんな冗談が出る程、『1日1ページ、読むだけで身に付く世界の教養365』は、教養を得られるだけでなく、面白く読み進めることが出来る本だ。
私は既に、3ターン読み切った。何の苦労も無く。
勿論、“1日1ページ”ではなく、日に数ページ、時には我慢が足りず数十ページ読み進めて仕舞った為だ。
多分私は、この『1日1ページ、読むだけで身に付く世界の教養365』に出遭う前より、少しは教養を身に付けることが出来た筈だ。
もしかしたら、『東大王』に少しは近付けたかもしれない。
そうなれば、出費の何倍ものリターンを得たことに為るのだが。
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