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妻から逃げ回っていたおじさんを救った「さば味噌」


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:田岡一宏(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「もう、申し込んだ、ってどういうこと!」
私はびっくりして、思わず大声が出た。妻が私の名前で料理教室に申し込んだと言ってきた。
 
「ちょっと考えさせて、って言ったじゃん」
 
「今日が締め切りだって言ったよね。返事が遅いのよ。私がお金出してあげるからいいじゃない」
お金の問題じゃない! ふてくされた。
 
1年前のことだ、私の机の上に料理教室のパンフレットが置いてあった。不審に思った私は妻に聞いてみた。
「何、これ」
「何って、見たらわかるでしょ、料理教室のパンフレット」
「料理教室に行きたいの?」
「そうじゃないのよ。あなたが行くのよ!」
「なんで俺がいかなきゃいけないの?」
「男性だけの料理教室だから安心よ!」
「そうじゃなくて、なんで俺がいくの?」
「うちで料理を作ってほしいからよ。私も仕事を始めたし、料理ぐらい作ってよ。どうせ在宅勤務でうちにいるんだし」
「今、初めて聞いた話だから、ちょっと考えておくよ」
なんとかその場は収めた。
 
その後、何度か、妻から料理教室に行くように言われたが、そのたびに理由を付けて何とか逃れていた。
 
あるとき、従兄弟が我が家に遊びに来た。従兄弟は33才。奥さんと共働き。子供はいない。いろいろと話しているうちに料理の話になった。「妻の方が忙しいし、いっぱい稼いでくれてますから、料理は自分がメインでやってますよ!」妻の方を見ると、どや顔で私の顔を見返してきた。
 
会社の後輩にも聞いてみた。28才、既婚者で、共働きだ。「妻とは家事を分担してるので、自分も料理しますよ。今時、当り前っすよ! 先輩はやってないですか? 奥さん働いてるんですよね!」
ぐうの音も出なかった。
 
従兄弟や後輩の話に感化されたのもあるが、妻には「払い込んだお金が勿体ないから」と言うことにして、とりあえず料理教室に行くことにした。
 
初めて料理をする人向けの料理教室だ。包丁を持ったことのない人でも大丈夫という触れ込みだ。しかも男性のみのクラス。来ているのは年配の方ばかりだろうなと思った。半分は想定通り、私も含め50代オーバーの人だった。でも、半数は30-40代の男性だった。やはり、従兄弟や後輩は特殊なケースではなかったのだ。
 
私は、大学進学を機に上京し独り暮らしを始めた。大学時代には、ご飯も炊いて野菜炒めぐらいの簡単な料理は作っていた。それから30年近く経ったが、今だって米だって研げるし、バカにするなよ! と鼻息は荒かった。
 
しかし、今日のメニューを聴いて聞いて腰が引けた。「さばの味噌煮」だ! さばの味噌煮って、おふくろの料理じゃん。煮物だしすごく手が込んでそう。最初からハードル高いなと心配になった。
 
教室で実際に作ってみた。
 
・しょうがを薄切りにする
・万能ねぎを切る
・さばの皮に切り目を入れる
・砂糖、みりん、しょうゆ、料理酒、水を計量し、フライパンに入れる
・フライパンにショウガを入れて煮立てる
・さばをフライパンに入れ蓋をして中火で5分煮る
・煮汁で味噌を溶いて、煮汁に加える。蓋をしてさらに5分煮る
・万能ねぎを入れて、しんなりなるまでさっと煮て取り出す
・さらに1~2分煮詰める
 
これだけだった。想像よりずっと簡単だ。約9工程、時間にして30分ほどで完成。
 
見た目は、どこからみてもさば味噌。臭いをかいでみた。魚の臭みがない!
おそるおそる食べてみた。まさにおふくろの味だ。市販のレトルト商品や外食で出てくるものより、味が自然でしつこくない! もしかしたら、今までで一番おいしいさば味噌かも! こんな料理が自分でも作れるなんて! すごく感動した。
 
でも、まだ、安心はできない。料理教室だから作れたのかもしれない。1人で作れるのか? それが問題だった。早速、うちに帰って復習した。
 
レシピに通り、1工程ごとに確認しながら慎重にやってみた。慎重にやりすぎたためか、40分かかった。教室の時よりも少し時間がかかって完成。
見た目、良し! 臭い、良し! いよいよ、試食。
うん! 教室と同じ味だ!
 
自信をもって、家族に出した。
「お父さん、すごい! めっちゃおいしいよ」魚嫌いの娘から言われて有頂天になった。
「やればできるじゃない」妻にもお褒めの言葉を頂いた。
 
改めて、感動! やるじゃん自分! 料理教室ありがとう!
 
ものにしたレシピはまだ1つ。次回の料理教室はグラタンだ。ホワイトソースを使わないらしい。ホワイトソースを自作! って今度もハードルが高そう! でも、あの教室のことだ、簡単なレシピを用意してくれているはず! 習った後、グラタン好きの娘に作ってやるのが楽しみだ。
 
改めて、料理教室ってすごいって思った。私の料理に対する障害を取っ払いスムーズに料理に取り組めるようにしてくれたのだ。
 
もしあなたが料理にハードルを感じているのであれば、そのハードルを取っ払ってくれる料理教室を試してみることをお勧めしたい。
 
 
 
 

***
 
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2021-02-14 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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