夫が10キロ痩せた原因
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記事：横山直美（ライティング・ゼミ平日コース）
「すぐに病院に行ってください」夫は４年ぶりに行った人間ドックでそう言われた。
胃カメラの検査の直後にがんの疑いがあると細胞検査をその場で受け病院への紹介状をもらった。
そして翌週、病院の検査で胃がんの宣告をうけることに！
夫は、あまり病院に行く人ではなかったが、もっと早く健康診断に行くよう言えば良かったと私は深く後悔した。
腰が痛いと整骨院に通っていたが、胃癌が原因だとは思いもしなかった。
ピロリ菌の検査も行われ、ピロリ菌が胃の粘膜に生息していて、薬で除菌をした。
ピロリ菌がいることによって胃潰瘍や胃癌など胃の病気になりやすくなるようだ。
井戸水や沢の水を飲んだことがある方に、ピロリ菌の感染が見られるとのこと。
昔から胃痛があったのはそのせいかもしれない。
夫は、タバコを1日1箱吸っていた。
胃の全摘手術をするのに全身麻酔をして人工呼吸をつけるので肺を少しでも元気にしておかなくてはならなかった。
当然だが手術前にタバコは止めないといけない。
ガンの宣告から、禁煙と禁酒で夫の生活も変わり、癌への不安が募るばかりでイライラしてタバコが止められなかった。
ガンの宣告のショックに加え、「死への恐怖」も出てきていた。
病院の先生に相談して電子タバコに変え、1カ月後の手術日を迎えた。
当日は全身麻酔で人工呼吸をつけて、胃を全摘して食道の出口と小腸をつなぐ4時間の大手術！
待っている間、長時間の手術で「無事に終るのか」という不安、これからの不安でいっぱいで、いてもたってもいられなかった。
夫の癌は胃癌の約10%の割合で見つかる進行性のスキルス胃癌でステージ3だった。
スキルス胃がんは進行が早く、発見された時には60%の方が転移をしているとのこと。
そう思うと夫は転移の手前だったので、幸運の持ち主だと思った。
娘が大学で身体の勉強をしていて胃を見る経験も普通は出来ないことから、夫の取り出した胃を娘と見ることになった。
先生が癌の患部を指して説明をしてくれ、ラーメンが好きだった夫の胃の周りに脂が多くはりついていたのにビックリした！
夫は、人工呼吸器をつけ、2日間ICUに入り少ししか面会できない状態だった。
傷はへそあたりまでの20センチくらいを切ったようで痛そうだったが手術日から3週間で退院。
大きな手術でも最近は入院が短くなっている傾向のようだ。
大変なのは「ダンピング症状」
「ダンピング症状」とは
主な症状は、動悸、めまい、冷汗などで、胃がないため食物が腸に急速に流れ込むことで起こる。
柔らかい物を中心に数回に分けて食べるなど生活は変わり、退院して2ヶ月後に抗がん剤が始まった。
生存率が10%上がるとのことでts1という飲む抗がん剤とドセタキセルという点滴の抗がん剤を合わせて使用した。
抗がん剤は良い細胞も悪い細胞もやっつけるため、抗がん剤が終ったあとはとてもだるくなり夫はよく寝込んでいた。
髪が抜けるのに抵抗があったようだが、命には変えられないと髪が抜ける抗がん剤を選んだ。
１ヶ月くらいで、髪は全部抜けて夫はバンダナを巻くようになった。
また抗がん剤により白血球が減少し抵抗力がなくなったことで痔の一種の痔瘻になってしまった。
厄介なことにこの痔瘻が治らず、抗がん剤は2回投与までで断念。
痔瘻で3度の手術で括約筋を切ったので、トイレに行くのを我慢することができなくなり、外出さえ厳しい現状に。
括約筋は、直腸と肛門の周りを取り囲んでいる、肛門を開け閉めする働きをする筋肉。
夫は、手術後の経過が悪く仕事ができない状況になったが、自分の事は基本出来るので、介護の心配はしなくてよいのが救いだった。
痔瘻で膿むと痛みで、寝むれないようで鬱状態になって睡眠薬をもらい、人が変わるほど怒ることもたびたびあった。
もともと痩せ型だったが、胃がなくなりかなり痩せて約10キロ減って現在43キロ。
病気との戦いは、本人だけではなく家族で乗り越えなくてはならないものだとつくづく感じる。
今月検診があったが、転移は見られなかった。
抗がん剤もよくなってきて、ドセタキセルという点滴の抗がん剤は認可がおりたばかりの抗がん剤だった。
癌も、抗がん剤の進化で助かる命も出てきているとのこと。
現在、２人に１人は何らかのがんになり、男性では4人に１人、女性では７人に１人はがんが原因で亡くなっているとSNSでみた。
癌も珍しい病気ではなくなってきたようだ。
早期発見が大事なことから、私も一年に一度の人間ドックを受けるよう心がけたいと思う。
ピロリ菌検査も可能性がある人は受けることをお勧めする。
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