満員電車から見えた社会
記事:たーなーさま(ライティング・ゼミ)
私は、職場まで一時間半の通勤時間がある。
京都から大阪までの電車の中は、人がうじゃうじゃしている。
そんな光景は想像がつくのではないだろうか。
朝は、通勤ラッシュの時間に被ってしまうので満員電車。
もちろん座ることは出来ない。
ある日、満員電車に乗りながらふと感じたことがある。
「満員電車は今の社会に似ているかもしれない。」
現在私は就労支援の業務に携わっているので、
満員電車は働く社会(企業)のイメージが強い。
今回はそのイメージを前提に話を続けたいと思う。
満員電車の状況を例えるならば
数少ない座席に座れた人はラッキー組、
座れずに立っている人は残念組といったような感じ。
ちなみに満員電車の中で私はほとんど残念組である。
残念組は座ることを目指して、
どうにか状況を変えるために試行錯誤してみるが
満員電車なので動くにも動けない状況。
ゆえに座席が空けばそれを狙って席を取り合うといった
現象が起きているような気がしている。
そのため立っている人は、次は自分が座ってやろうと
「あ、あの人が鞄の中身を整理し始めたぞ、あそこが次空きそうだ」
といったように狙いを定め始める。
そして、「ラッキー! 座れたぞ!」といったような感じで
席についていく。
他にもたまたま自分の前の人が席を発ったり、
知り合いが譲ってくれたりなど座れた理由は様々あると思う。
でも、少し辺りを見渡してみると、
本当に座席に座っている人がラッキー組なのか?
と疑問に思う光景があった。
座っているラッキー組であるはずの人が
ひどく疲れた様子で深刻な顔をしているのだ。
一方で、立っている人でも本を読んでいたり、
新聞やスマホで情報収集をしていたり、
大事な人にメッセージを送っていたり。
案外その状況を受け入れその場で楽しんでいるといったもの。
上記で述べたことは一概には言えないが、
状況を受け入れ、まずはその場で自分ができることを
やっている人の方が後々いいことが起きそうな予感がしたのである。
さらに、それが目的を持って楽しんでいるように見えたとき
その予感は実感に変わったような気がしていた。
これをする人としない人では満員電車を出た後、
言い換えれば社会(企業)を出たときにその差が
顕著に現れるのではないかと私は感じた。
よくテレビでも聞くように過去の日本は、
社会に奉仕する代わりにその人の生活を守っていきます
という風潮があったように感じている。
例えるなら正社員になれば終身雇用で年功序列、
経済は右肩上がりなので大量生産・大量消費で
みんなで経済を回し、生活を支えていくといった感じだろうか。
一方、現代はみんな自由にしてくれて構わない代わりに
自己責任で頑張って! というよくいえばそんな風潮がある気がしている。
しかし、この状況に心の底からいいなと思える人は一体どれくらいいるのだろうか。
むしろ、まだこの風潮に慣れることができず不安を抱える人が
増えてしまったようにも感じる。
時代の流れを自分ひとりで変えていくことは難しい。
満員電車を出た後、自分ひとりでやっていけるのかと不安を感じる人も
いるかもしれない。
そんな今の世の中を生きていくためには今ある自分の状況を受け入れ、
楽しみながら生きていくにはどうしていくかを考えて、
やってみるのが大切なことのひとつであるように思う。
満員電車で立っていた人のように。
現代社会の流れのひとつに副業を持つ人が増えてきていることがあると思う。
いわゆるダブルワークのことで、これを推奨する企業も増えてきているそう。
根幹の業務を持ちながら、趣味の延長などで別の仕事もしていくというもの。
私の周りにも平日OL週末カフェ経営の方や、
平日保育士、空き時間アクセサリー職人の方がいて最近お話を聞いた。
2枚以上の名刺を持つのが当たり前になる時代がもうすぐくるかもしれない。
いやもしかしたら、もう来ているのかもしれない。
そんな状況を考えながら私はひとりでわくわくしていた。
他にも、プロボノという各分野の専門家が、
職業上持っている知識・スキル経験を社外の人に教えたりする
ボランティア活動も最近注目されている。
自分の経験を仕事以外で活かす場面をもつ、そんな傾向もあるように思う。
生きていくためにお金が必要なのは、確かである。
一概には言えないが、それと同じくらい働くを楽しむことが
現代社会に対する不安を打ち消すひとつの解決策になるように感じている。
私も社会人のひとり。
日々の中で不安や悩みも尽きないが、働くを楽しむ方法がたくさんあることに
気づけたことにとても幸せを感じている。
たくさんの大人が日々楽しいと思える世の中なら
きっと未来は明るいものになっていくのではないだろうか。
そんな期待を寄せながら、どんな社会になっても楽しみながら生きる
大人のひとりであるように自分も模索していきたいと思っているところである。
とここまで述べながら今日の私は、ラッキーなことに座席に座ることができた。
すると疲れが出たのか眠りにつこうと、うとうとしている。
人間、どんな時でも欲求には負けてしまうのかもしれない。
≪終わり≫
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