文章を書くのが嫌いで苦手な私が ライティング・ゼミに参加している理由。
http://tenro-in.com/zemi/writingsemi/34310
記事:奄海るかさま (ライティング・ゼミ)
私は今「天狼院ライティング・ゼミ」に参加中だ。この講座は名の通り、文章を書くことを学ぶ場。偉そうに語ってるが、まだ1回めの受講を終えたところだ。
文章のプロも受講しているらしいこの講座に、ライター志望でもなく、全く畑違いの職業・それもスピリチュアル業界にいる私が参加を決めたのか。
その理由は至極単純明快。
「文章を書く事が、とんでもなく嫌いで苦手」だからだ。
どれ位嫌いかと言うと、夏休みの宿題の定番「読書感想文」を中高六年間、未提出を貫いた程である。喋ると1分で済むことが 文章に起こすと10分は掛かる。これだけでも苦痛だし、文章ではニュアンスが全く飛んでしまうため、説明くさくなる。とても面倒に感じるのだ。
だけど、小学生の頃は親の目もあり、毎年8月31日の夜に怒られて泣きながら、読書感想文を書かざるを得なかった。これがもう苦痛で苦痛で仕方がなかった。
私は本を読んでも感情そのものが動かない。感想自体が生まれないのだ。面白いとは感じても、どう面白かったのか、が解らない。主人公がどう感じたか、なんて 私本人じゃないねんから、そんなん知らんがな と思っていた。どう思ったのか、感じたのか書きなさい、と言われても何も感じていないから書きようがないのだ。
そう思ってはいても、宿題は宿題。無理やりどう感じたかどんな本だったか、を捻り出す。感じてもいないことを羅列して書いてゆく。原稿の上の並ぶのは、薄っぺらく感情の全く入っていない言葉。何とか体裁を繕って提出しても「こんなのは感想文ではない」と言われ叱られる。当たり前だ。全く感じてないことを並べ立てているだけなのだから。
こんな状態なので、当時の私には 読書感想文は鬼門であり宿敵であり、苦痛の権化そのものだった。
こんなにも文章を書く事が苦痛な私が、なぜ今 書くことに向き合っているのか。
別に誰に強制された訳でもない。
きっかけは 一通の訃報だった。
四十歳を超えると、一気に身近になってしまうものがある。それが訃報だ。それも親の世代のものではなく、自分と近しい年齢の方の訃報を聞くことが増えるのだ。
私を書くことに向き合わせてくれたのは、従妹だった。
従妹と私は、家が隣同士だった。幼いころは、遊ぶ時も通学も殆ど一緒だったが、成長するとともに、会った時に軽く挨拶だけになり 成人して独立、結婚すると 会う機会はますます減り、顔を見るのは正月くらいになってしまった。
それでも正月になると会える、それが当たり前で変わらないものだ、と思っていた。
彼女の訃報は突然だった。いや、突然だと思っていたのは 私も含め部外者だけだったのだろう。未だに叔父叔母には確認できていないので、私の想像でしかないが、彼女は闘病していたようだった。まだ若かったので、病はあっという間に彼女を蝕んでいったのだろう。
しかし、彼女はこの世に生きた証を残していた。
それは 愛するご主人とのお子さんと、ブログだ。
ブログを見つけたのは、本当に偶然だった。いつもの、見慣れた笑顔の彼女が 迎えてくれた。私は最初の記事から読んでいった、貪るように。
ブログには子どもの成長、お茶やランチといった内容が殆どで、言ってしまえば何のことはない ごくごく普通の主婦の日常が綴られていた。本当に只の日記だ。
この時期も、恐らく彼女は病気と闘っていたのだろう。だけどブログには、そんな内容は一切無く、彼女と家族の楽しい、幸せな日々が綴られていたのだ。
ある日を境に記事は更新されず、その次の記事は 彼女の娘が更新していた。
声を上げて泣いた。
もう彼女には会えないのだと、思い知らされた気がした。
そして私は、彼女を通して、ある事を知った。
命は永遠ではない。だけど、こういう形で 生きた証は残るじゃないか。
自分という存在がこの世から消え去ったとしても、この世という現実に 生きた記録を残すことが出来るのは文章だ、と。
彼女は今、この世にはいない。だけど、ブログを通じて 彼女は命の記録を残した。
私はそれを通じて、いつでも彼女に会いにいけるし、今もこうして会えたじゃないか。
なんと素晴らしい事なんだろう。
脳にある記憶や思い、知識は自分の体の外に出さないと、この世には残らない。そして、それを具現化するのは文章なのだ、と気づいたのだった。
文章の大切さを知っている人には、何を今更と感じるかも知れない。でも書き記すのが苦手な私には、点と点が線で繋がるような衝撃的な気付きだったのだ。
私は今、自分の命の記録を、生きた証拠をこの現実に残すために 文章を学んで、書き続けようと思っている。
誰のためでもない、自分のために。そして、後に残るであろう、家族や友人に いつでも私に会いに来て貰えるように。
これが「天狼院ライティング・ゼミ」に参加した理由だ。
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