チーム天狼院

全く興味なかったはずのダンスグループ『BE:FIRST』のせいで、危うくノーパンで出勤しそうになった話。《スタッフ平野の備忘録》



*この記事は、「ライティング・ゼミ」を受講したスタッフが書いたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:平野謙治(チーム天狼院)

 
 

えー。
「ノーパン」というワードに惹かれて読んでくださった皆様へ。
このページを開き、ライター名を見た時点で薄々お気づきかもしれませんが、僕は男性です。
なんかスミマセン。

 

「全然大丈夫! そんな変な期待はしてなかったぜ!」という方は、良かったらお読みいただけますと幸いです。

 
 
 

あれは多分4月くらいだったかな。
出勤前のこと。いつものように目覚めた僕は、いつものようにテレビをつけた。
世間一般の社会人よりも出勤時間が遅い僕が観る番組は、『スッキリ』。
真剣に観るわけでもなく、朝の準備をしながらニュースを流し見する程度。
そんな、ありふれたモーニングルーティンを送っていた。

 

いつも通り、ぼけっとしながら観ていたら、知らないコーナーが流れ始めた。
その名も、ボーイズグループ発掘オーディション『THE FIRST』だ。

 

……ダンス&ヴォーカルグループのオーディション?
へえ、この主催者のSKY-HIって人は、『AAA(トリプルエー)』のメンバーなのか。
自腹で一億円出資してやってるのか、気合入ってるなー。

 
 

正直、あまり興味が湧かなかった。
主催者のSKY-HIのことも、『AAA(トリプルエー)』のこともよく知らないというのもあったけれども。
彼らに限った話ではなく。「ダンスグループ」自体に、興味がなかったんだ。

 

僕の中で音楽といえば、ロックバンド。
自分たちの思いを、自分たちで曲にし、自分で歌詞を書き、自ら演奏し、自ら歌う。
音楽の表現として、それが一番美しい。そう信じて、疑わなかった。

 

一方で僕が勝手に抱いていたダンスグループのイメージとは、誰かに提供された音源を、誰かに考えてもらった振り付けで踊る集団。
作られたトラック、全て打ち込みの演奏に乗せて披露されるパフォーマンスに、メッセージ性はない。ロクに観ることもせず、そんな風に思い込んでいた。いわば、食わず嫌い。

 

加えて言えば、学生時代に喧嘩別れした元カノが「会長がオスカーの美人女優と結婚してる系」某ダンスグループの大ファンだったことも、食わず嫌いに拍車をかけていた(完全なる逆恨みである)。

 

だから『THE FIRST』が流れ始めた時も、どこか冷めた目で観ている自分がいた。
またなんか、やってんなー。『Nizi Project』がヒットしたから、似たようなやつやるんだろうなー。
そんな気持ちで、眺めていた。

 

だけどいくら興味がないからと言って、長年のモーニングルーティンは簡単には崩れない。
「朝は、日テレ」という、実家にいた頃からの習慣に従い、毎日毎週、僕は『スッキリ』、そして『THE FIRST』を、なんとなく観続けていた。

 

数週間はぼんやり観ているだけだった。メンバーの顔をなんとなーく覚えてきた。そんな矢先だった。
僕の目を引くオーディション審査が、突然行われた。

 
 

それは、「クリエイティブ審査」という題目。
これは非常に厳しい審査で、5人グループに分けられた参加者たちが、メロディライン、歌詞、振り付け、フォーメーションや魅せ方など全てを自分たちで考えて完成させ、発表するというもの。それも、わずか10日間という短い時間でだ。
熟練のチームじゃない。オーディションという競い合いの場で初めて顔を合わせた彼らに、そんなことが可能なのか?
そんな、疑いの気持ちを持ちつつも、ついつい僕は注目してしまっていた。

 

そして迎えた審査発表日。パフォーマンスは、見事に完成していた。
正直、驚いた。ダンスの技術的な部分なんて、僕にはわからないけれども。そのステージは、美しく輝いていた。
ただ単に「カッコイイから」とか、そんな薄っぺらいものではなく。いつ脱落するかもわからないという不安な気持ちや、それでも輝きたいという希望といった、嘘偽りのない等身大の自分たちを、見事に表現していた。それは、ダンスのことなんて何もわからない僕の胸を打つには、十分すぎるものだった。

 

夢中でその放送を観てしまった僕は、同時に確信する。
これは恐ろしいことが起きるぞ、と。

 

だってこの時点の彼らはまだ、デビュー前だ。
いやむしろ、デビューできるかどうかすら、わからない状態だ。

 

このままオーディションのプログラムを通して成長していったら、恐ろしく魅力的なグループが出来上がってしまうのではないか?
そう予感させるに、相応しい放送だった。

 
 

同時に深く反省した。くだらない偏見から、ちゃんと観てこなかったダンスグループたちの多くだって、実はカッコよく、美しく、感動を僕に届けてくれるものだったんじゃないかって。
だって『THE FIRST』を観て、心から驚かされた。食わず嫌いをして、色眼鏡をかけて、避けていたものがこんなに美しく、魅了されるものだったなんて。

 

それはまるで、子供の頃から毛嫌いしていた椎茸の美味しさに気づいてしまった時のよう。
おい……! 椎茸よ。お前、そんなに美味しかったのか!? 今まで食べていなかった俺が、バカみたいじゃねぇか。損していたよ、全く。みたいな。

 

テレビの前の僕は、それほどまでに圧倒されてしまったんだ。
そして惹かれたのは、彼らのパフォーマンスだけじゃない。オーディション・サバイバルを通した人間ドラマにも、大いに魅せられた。

 

彼らは仲間たちであると同時に、ライバル……のはずなのだが、同じ志を持ち、同じ課題に挑み続けた結果、固い絆が生まれていく。
「誰が脱落しても悲しい」と皆が口々にし、実際に誰が脱落しても全員が涙する。それは、視聴者も同様で。
だけど決して全力を尽くさないわけじゃない。心では悲しみつつも、「前に進むために必要な別れ」だったと理解し、次のステージへと進み、成長していく。その様は、青春ドラマ以上に美しく感じられた。
そして主催者のSKY-HIは「教師、あるいは政治家にでもなった方がいいんじゃない?」とツッコミたくなるほど誠実で、言葉に力がある。彼の言葉で、何度泣きそうになったことか。

 

そんなオーディション、『THE FIRST』を通して生まれたグループが、『BE:FIRST』
まんまとファンになってしまった僕は、熱を失うことなく最後まで観続けてしまった。

 
 

そして、そんな風にハマってしまったのは、どうやら僕だけではなかった。
『BE:FIRST』、あるいはメンバーの名前でエゴサーチをかけると、大絶賛する書き込みがこれでもか、と出てきた。

 

中でも多かったのは、主婦の方の投稿だ。『スッキリ』の放送時間の関係もあるだろう。

 

「息子を送り届けた後の、最高の楽しみ」とか、
「洗濯物を放置して今日も夢中で観てしまった」とか、
そんな書き込みが続々と出てきた。

 

いやー。わかる。わかるよ! 洗濯物を放置しちゃうの!
主婦の方々と語り合いたいとこれほどまでに思ったのは、生まれて初めてである。

 

俺もあったもん。洗濯機回し終わって、干している途中に始まっちゃったから夢中になって観て、放送終わってすぐに出勤しないといけない時間になったから、全部干さずに家を出てしまったことが。
おかげさまで洗い直し。危うく、パンツがなくなるところだったわ。知っているか? 『BE:FIRST』よ。君らの魅力のせいで、危うくノーパンで過ごすところだったんだぞ? 独身男が。俺のノーパンなんて、誰も喜ばないぞ? 店の責任者が、ノーパンの本屋なんて行きたくないだろ? 責任持って、いつかライブ観せてくれ。頼むよ。

 
 

ライブに行ける日が、いつになるかはわからない。
だけど僕は確信している。その日まで熱量を失うことなく、彼らのことを応援し続けることができると。
そしてそれは、僕だけではない。全国の主婦たちがついている! いつしかライブ会場で、ママさん方と喜びを分かち合えるのが今から楽しみだ。

 

彼らの活躍は、今やHuluのみならず、公式YouTubeチャンネルでも放送されている。
だからぜひ、観てみて欲しい。

 

……いや、逆か。観ない方がいい。特に忙しい人は。
きっと僕みたいに、ズブズブにハマって、元に戻れなくなってしまうから。

 

それに多分、大丈夫。
僕がわざわざオススメしなくても、彼らのファンは加速度的に増え続けるだろう。

 

彼らの魅力・才能は、それほどまでに煌めいている。
それこそ、ダンスの技術なんか全くわからない、男の僕から観ても。
パンツの存在を、忘れてしまうくらいには、ね。

 
 

◽︎平野謙治(チーム天狼院)
天狼院書店「パルコ心斎橋店」副店長。
1995年生まれ26歳。千葉県出身。
早稲田大学卒業後、広告会社に入社。2年目に退職し、2019年7月から天狼院スタッフに転身。
入社以来「東京天狼院」を中心に勤務。その後2020年10月に大阪心斎橋へと異動。
2019年2月開講のライティング・ゼミを受講。16週間で15作品がメディアグランプリに掲載される。
メディアグランプリ33rd Season, 34th Season総合優勝。
『この街には、君がいない。』など、累計5作品でメディアグランプリ週間1位を獲得。

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