やるかやらないか現状を変えるのは行動だけ
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:中家 緑(ライティング・ゼミ日曜コース)
やばい。
おなかが痛い……。
みかん取りの手伝いに来ていたある日。
お昼ご飯に食べた食物繊維たっぷりのかぼちゃスープを飲みすぎて、腹痛を起こした。
それも畑で。
汚い話だが、畑にはトイレがない。
当然のことながら、もよおした時は自力で自宅に帰るか、山で処理するかのどちらかになる。
究極の選択で、どうしようもなくなるまでひたすら耐える。
このままお腹の痛みが引いてくれー!!! と願いながら仕事をしていたが、
ぐぅぅぅぅぅっと内臓を圧迫されるような痛みに耐えきれなくなり
とうとうどうにもならなくなってしまった。
「お腹痛い……。」
必死に耐えながら母に訴えると、
「それなら軽トラに乗って空のコンテナ積んできて」
「……え?」
ちょっと待って。
今私超ピンチなんやけど。
「わかってるから車で帰っていいって」
簡単に言うけど、私こんな山道、走ったことないんですけどおおお!?
突然訪れたピンチ。
車1台通れるくらいの車幅しかない、一歩間違えれば車ごと転落しそうな道を、
軽トラで行かすか……。
そんなこと言ってられない状況に無言で考え込む。
数年ぶりに乗るミッションに恐れおののきながら、
背に腹は変えられない!
と覚悟を決めた。
急いで帰らなきゃお腹がピンチなのに、それどころじゃない。
今までは、家族の運転する隣で乗ってるだけでよかったのに。
どうしてこうなった。
ただでさえガタガタする道をどうしても走りたくなくて、今まで避け続けてきたのに。
ついにその時がきた。
しかも、自分一人での実践……。
よし……。
少しずつではあるが、エンジンブレーキを効かせながら発車することに成功した!
やった! やればできるじゃん私!
もはやトイレどころではない。
すぐ隣は崖だ。
今、この瞬間に集中しないと、私の命はない。
道の上の石に乗り上げたり、道が割れて段差になっていたり、
車体が大きく揺れながら、ハンドルを握りしめる。
はやく! はやく家に着いてくれぇ!!
何とか、必死で自宅にたどり着くと、
必死すぎて一瞬本当になんのために帰ってきたのかわからなくなった。
ようやくトイレに行きたかったことを思い出し、
家でできるなんて、なんて幸せなことなんだと、
感動した。
ウォシュレットって偉大やわ。
尽きかけていたライフポイントも復活し、
今度は急な上り坂を登り、再び畑へと向かう。
よし、お腹の調子が一気によくなったから、よかったよかったと一息つく間も無く、
ミッションのギアチェンジをするたび、シフトレバーがグラグラする。
どうしよう、全くギアが入らない。
おかげで、坂道の途中で止まり、その都度坂道発進をする羽目に。
この坂道発進がまた厄介だった。
下手をすると後ろにずり落ちていく。
通常の車では滅多に下がることはないけれど、ミッションはそうも行かない。
乗ってる人にしか伝わらない恐怖を味わいながら、ずり落ち、また止まる。
少し進んでは、また止まる。
何度かしゃくりながら急発進を繰り返し、恐る恐る斜面を登っていく。
ようやく、運転にも慣れ始め、何とか普通に走れるようになってきた。
そして最後の難関!
T字路をバックで駐車する。
ここも、道が細く、誤ってハンドルを切りすぎると、溝に落ち込んでしまう。
しかも目の前は石垣で、ここにぶつけたらシャレにならない。
最後の最後で立ち往生してしまった。
これ以上やったらぶつけてしまう。
もうここまできたら、呼びに行けるほどの距離まで帰ってきていた。
恥を忍んで
「助けてー!!!」
と叫ぶ。
今のままで他の車が来たら、邪魔になってしまう。
だけど、もう散々怖い思いをした私にそれをどかす気力は残っていなかった。
たまたま声を聞いた弟が走ってきてくれ、
すっと軽トラをどかしてくれた。
見ているのは簡単そうなんだけどなぁ。
自分でやろうとすると全く難易度が違う。
やはり経験の差が大きい。
「こんなペーパードライバーをよく行かせる気になったなぁ」
と嫌味半分で母に言うと、
「え? そうだったん?」
とまさかの反応が返ってきた。
畑に行けて当たり前になっているこの軽トラ技術。
初めて体験する私にとっては、見ている数倍恐ろしく、やってみることに意義があるのだと感じさせてくれた。
チャレンジしたことのないものに、チャレンジをする。
それが、今回の経験で言いたかったことだ。
***
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