コロナがうちにやってきた!
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記事:中尾 静恵(ライティング・ライブ大阪会場)
新型コロナウィルス。それは前触れもなく、まるで出合い頭の事故のように、突然やってきた。
この2年間、真面目に感染対策、感染予防をしてきた。外出も自粛してきた。感染爆発したとされる、6つの大波も乗り越えてきた。そしてようやく、あらゆる規制を徐々に解除しようという動きも出てきた。
そんな時だった。
始まりは 「お母さん、なんか喉痛いねんけど」 という、中学生次女の一言だった。
とりあえず、熱を測る。平熱でほっとする。寝るまでに発熱はなかった。
学校でも1人2人の感染者は出ていたが、次女の近くには感染者はいないとのことなので、「ただの風邪でありますように」 と祈るように床についた。
翌朝、「お母さん、熱あるわ」 の言葉で目覚めた。測ってみると38度を超える熱だった。
マジか!? と思いつつも、検査してみないとわからないと、一縷の望みにかけて、病院へ。
今でも、発熱者を診てくれる病院は探さないといけないのだが、すぐ行ける病院が見つかったのはせめてもの救いだった。
検査結果待ちの時間は10分だったが、次女がかなり辛そうにしている姿を見ていると、倍以上の時間に感じた。
その間、次女をさすりながら、私は頭の中でいろいろな事態をシチュエーションしていた。
「コロナ陽性ですね」
お医者さんにそう告げられた。
最悪の事態だ! とうとう、うちにも来てしまった!
さて、どうする? とりあえず家族に連絡して、仕事や学校を休んでもらわないといけない。学校にも連絡しないといけない。買い物にも行けないではないか!
こりゃ、大変だ!
感染者本人は10日間の自宅療養、濃厚接触者にあたる私たち同居家族は7日間の自宅待機期間が始まった。
自宅内は、散らかりすぎていて、完全隔離できるスペースがなく、出来る限りの消毒作業と各自の感染対策徹底で、それまでと変わらず生活することになった。
とにかく、次女の熱が下がることと、私たちが発症しないことだけを祈って、毎日緊張して過ごした。
しかし、これほどまでに部屋の片付けをを怠っていたことを後悔したことはなかった。というか、どこかコロナは他人事と思っていた所以なのだと思う。
3日後、次女の熱が下がった。5日、7日と日が経っても、私たちは発症しなかった。
よっしゃ! よかった! 次女も元気を取り戻したし、私たちもこれで免疫も獲得できたし、ほっと胸をなでおろした。
そして我が家に日常が戻ってきた。
……はずだった。
なんと、もっと予期せぬ、第2波がやってきたのだ! もはや、天変地異レベルだ!
次女が発症したちょうど1か月後、夫が急に熱っぽいと言い出した。
めったに熱を出す人ではないので、嫌な予感はしたが、私たちには免疫があるから大丈夫! と変な自信があった。
「コロナ陽性ですね」
次女が診てもらった病院で、同じ診断を下された。変な自信は音を立てて崩れ去り、嫌な予感が的中してしまった。
またあの緊張感たっぷりの生活が繰り返されるのかと思うと、もうすでに疲労感満載だったのだが、なんとこれは前座に過ぎず、この後真打が登場するのだった。
そう、2日後に長女、3日後に私が発熱したのだ!
まさかねー、嘘よねー、絶対違う! と自分の体に言い聞かせてみたが、抑えきれない何かが体中を巡っていた。
「お二人とも、コロナ陽性ですね」
おお、3度目のこのフレーズ。やっぱりそうですよねー。
ということで、先に感染して免疫たっぷりな次女を除き、大人3人、コロナと闘うはめになってしまった。
テレビなどで見たことがある、家庭内感染そのもの。想定外の、まさかまさかの非常事態に陥ってしまった。
何が一番辛かったって、軽症者には治療薬はなく、解熱剤を処方されるだけで、自力でウィルスと闘わなければならなかった。
自分の体力と免疫力が、コロナウィルスに試されている。どんどん体の中で、ウィルスとの闘いが起こっているのがわかった。
コロナとよく比較されるインフルエンザには、治療薬がある。インフルエンザにも何度かかかったが、治療薬があるという、それだけで気持ちの持ちようがこんなに違うものかと、回る天井を見ながら、そんなことを考えていた。
3日後ぐらいには皆、熱は下がったが、喉の痛みがひどく、咳が止まらない。大げさかもしれないが、過去イチのしんどいさかもしれない。でも、これでも軽症なのかと思うと、恐ろしくなった。
今だゼロにはならないコロナの感染者。もう感染者数などの報告はいいから、早く治療薬が普及することを心底願った。
それから、我が家には、今度こそ無事に日常が戻ってきた。と思いたい。ただ、コロナの後遺症なのか、はたまた更年期なのかわからない、謎の倦怠感は続くのであるが。
さて、気を取り直して、3回目のワクチン接種を受けて、最強免疫を獲得することとするか!
と同時に、1回目のワクチン接種をもっと早くに受けておけばよかったのかと、ちょっと後悔もするのであった。
***
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