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学ぶことに真剣に向き合うこと

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:草間咲穂(ライティング・ゼミNEO)
 
 
いつだったか、母がこう言ったのを覚えている。
 
「どうやったら頭がおかしくなれるのか、大学生の時、毎日真剣に考えていた」と。
 
美大に入学した母は、
「もっと狂ってしまいたいのに、自分はなぜこんなに真面目なんだろうか。」
と真剣に悩んでいたらしい。
 
油絵学科に入学し、毎日ちゃんとキャンパスに通い、授業を受け、課題をこなしていた。
 
でも、毎日キャンパスに通わず、たまに来ては道端で踊り狂い、奇声をあげ、年がら年中お酒を飲み、タバコを吸い、気がついたら奥の方で何やら怪しい煙と共にいる、
そんな彼らの創る作品の方が良いと感じることに劣等感を感じていたと。
 
「美しい」とか形容詞では表しづらい、何とも言えない良さ。個性。
そこには一種の「狂」があり、正面からは解釈しづらいけれど、
その「狂」に思わず巻き込まれてしまう何かが、頭のおかしそうに見える彼らの作品にはあったのだ、と。
 
踊りまくればいいのか、タバコをやったらいいのか、お酒を飲みまくればいいのか……
色々やってみたらしい。
 
でも様々悩んだ結果、「彼らは彼ら」であり、「私は私」である、真似はできないのだ、
とある種諦めの気持ちを持つようになった。
 
そこで真面目という事に劣等感を感じずに、基礎を学び、その上でこつこつと作品を作ること、学び続けて技術に磨くことを続けよう、と思ったそうだ。
 
そして、こつこつと作り続ける中で、母は”ステンドグラス”に出会った。
丁度、大学を卒業する時だった。
 
”ステンドグラス”は、光の芸術。
反射光で見る他の芸術とは異なり、太陽の光が差し込んで始めて光り輝く。
一旦自然の力と一体となると、その輝きは刻々と壁や天井に映り込み、空間を旅する。
 
その魅力の虜になり、「ステンドグラスを生業にしよう」、そう決めたそうだ。
生業にしようと決めてから、母は今もステンドグラスを現役で作り続けている。
 
一貫しているテーマは”時”。
 
”時”というテーマは、滝の前に立った時、土地、人、光、大気と共鳴する感覚が降りてきたらしい。そして、私を産んだ時、このテーマを生涯のテーマにしようと決めたそうだ。
 
いずれにしてもいくつかの転機を経ても尚、母は約40年作り続けている。
私は物心ついた時から、そんな母が作品を創る姿を目にしてきた。
 
ただもう一つ、創る姿よりも良く目にしていた姿がある。
それは、何かを「学んでいる」姿だ。
 
私は母との関係において「仲の良いお母さんと娘」という感覚を持ったことがあまりない。
それは、「母」としてというよりも、「一人の人」として尊敬しているからだと思う。
 
なぜそう思うか。
それは今思えば、母が「常に学び続けている」からだ。
 
実家には大量の本がある。
窓を潰して本棚にしてしまった程、壁一面に沢山しきつめられた本がある。
3.11の地震の時は、大きな揺れにも関わらず、ぎっしりと詰められすぎて殆ど落ちなかったほどだ。
 
実家に帰ると、母は大抵、ライトテーブルに本を複数広げて、ノートにまとめている。
そしていつだって、その本には大量の付箋が付いている。
 
「何をしてるの?」
 
そう声を掛けると、
 
「次の作品のヒントはないかなと思って」
 
とか、
 
「今度生徒さんに教える時に、もう少し時代背景を伝えてあげたいと思って」
 
とか答えが返ってきて、少しだけ私にも教えてくれる。
 
常にそうやって、今思えば母は、何かしら学び続け、情報をアップデートし続けて、
新しいものを生み出そうとしている。
 
だからとても尊敬しているし、「母」でありながら、その「母」に甘えるよりも「一人の人」として学び続ける姿を私も追いかけて行きたい、そんな気持ちの方が強いのだ。
 
天狼院書店では最近、「無限ラーニングZ」、さらには「無限リーディングZ」という名前の講座が募集開始になった。
 
常に情報をあらゆる所から総動員し、学び続け、アウトプットし、価値を提供し続けることを辞めない姿勢を私たちに見せてくれている店主の三浦さんが登壇する、学び方を学ぶ講座だという。
 
無限に読み、学び続ける。
学び方を学べば、一生涯、何かのスキルや知識を習得するのに困らなくなる。
 
母自身がどう思っているかはわからない。
でも、確かに一番身近な母は、昔から、そして今も学び続け、手に職をつけ、
かつて決めた生涯の生業を今も続けている。
 
今、改めて学ぶことに向き合わなければと思う。
 
学ぶことと改めて真剣に向き合わなければと思っている今、
身近な母の姿を思い出し、それを追いかけていた自分にも気がついた。

 
 
 
 
***
 
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2022-07-13 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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