英語コンプレックスの塊が知った英語の日本語の違い
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:神宮字 貢(ライティング・ライブ東京会場)
皆さんは、「一丁締め」をご存じですか? そう、宴会の最後などで、「いよーっ、ポン」とタイミングを合わせて、両手を打つ、あれです。日本人には当たり前の、慣れ親しんだものですが、英語圏の人にとっては実は大変苦手なアクションとなっています。
呼吸を合わせて、全員でタイミング良く打つ。私たち日本人にとっては大変簡単な事です。日本人同士だったら、そこに説明は特にいりません。感覚的に無理なく出来ます。しかしながら、英語圏の方に見様見真似でやっていただくと本当に戸惑われます。それは、単に文化的に知らないから、ややり方を知らないから、という事だけではなく、日本人には当たり前である手を叩くタイミングが分からない為です。
英語はその性質上、“動”の言語と言われています。言葉と言葉がつながり続ける感覚が彼らにとっては、本当に心地よく、言語的に美しく感じるそうです。そのため、コミュニケーションにも、連続性を大変重視して、そこに価値を見出します。どれだけ途切れる事なく、美しく繋げられるのか、そして、そのあとに続く、途切れへの移行がどれだけナチュラルなのかが、とても評価されます。最近の例えですと、メジャーリーグで大谷選手がホームランを打った際に、現地のアナウンサーが叫んでいるシーンが取り上げられたりしますが、あの流れるようなアナウンスをイメージ頂ければわかりやすいかもしれません。
逆に、日本語は“静”を重んじる言語です。“間”の丁度よさに心地よさを感じ、無音に美しさを感じます。そして、“動”に転じるときの緩急がより大事とされるのです。韻を踏むことが母音であることも、特徴ですよね。日本の禅に良く興味を持つ英語圏の方が多く居ますが、彼らにとって、あの禅の概念がどの様に映るのかは大変興味がわきます。私たち日本人とは、多分全く違った景色が見えているのかもしれません。
リズムに対する感覚も日本人と英語圏の人は全く異なります。杵で臼を打ち付けるように、日本人は上から下に取る動作が基本です。その上から下へ、テンポ良く打つことが、リズムの心地よさに直結します。しかしながら、英語圏の方は、裏音を取るように、下からジャンプをする様にリズムを刻むのが自然で、その動作に心地さを感じます。
そのため、英語は右脳の言語、日本語は左脳の言語と呼ばれています。日本語は意味に重点を当て、英語は音に重点を当てます。実際に、どのような音を聞いても、日本人は左脳が動き、その音を言葉として捕えようとするそうです。例えば、風鈴の音を「りーん、りーん」、蝉を「みーん、みーん」と実際には、そんな音では無いものに意味を与え、風情を感じたりします。逆に、英語圏の人は、意図した言語以外では左脳が動く事は無いと言われています。
身近な人間の話ですと、私の娘のダンスの体験は、その感覚の違いを理解する良い事例だと思います。人生の半分を英語圏で過ごしましたが、幼い頃から習っているダンスに関しても、美しさの評価基準が日本とはかなり異なっていたと感じていたようです。特に、日本では“キレキレ”という表現を使い、ダンスの上手な人を評価したりします。この表現は、かなり直線的なイメージがあり、その感覚が鋭いことがダンスのうまさに直結しています。しかし、英語圏で評価されるダンスの動きには、キレキレ感はありません。動きの繋がりが大事であり、そこを強く表現するために、繋ぎに逆に“ねっとり”とした表現をすることが多いそうです。そのため、日本の特にヒップホップ的なダンスは、技術的にはものすごく優れ評価も高くなるそうですが、芸術点では高くならないそうです。
また、動きを体で記憶させる能力の事を英語では、“マッスルメモリー”と呼ぶのですが、一つ一つの動きに繋がりの多い英語圏のダンスの方が、彼女にはマッスルメモリーに記憶を残しやすいようです。
これまで紹介したことは、脳が作られる過程の中で感覚の土台が形成してしまうため、一度作られてしまうと別の言語を学んでも、土台に影響を与える事は難しいことが分かっています。そのため、あとから英語をいくら学んでもネイティブにはなれないのは、ここら辺に原因があるのかもしれません。もしかしたら、ここら辺の側面から日本人の英語教育の向上のヒントになるのではと少し思っています。
こんな事を書いている私自身は、こてこての日本人ですので、残念ながら、全く英語のセンスもダンスのセンスもありません。しかしながら、子供のころから、英語とその文化に憧れだけはありまして、常に日本人的なアプローチでこの様な知識を調べては、指をくわえて「良いなぁ」とやっています。
皆さんもこういった違いを踏まえたうえで、英語に接してみると新たに見えてくる世界があると思いませんか。
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