ヨガで心の体力作りを
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人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:安斎 智美(ライティング・ゼミ2月コース)
「怠惰な人でなければ、誰でもヨガはできる」
これは、著名なヨガ指導者であるケン・ハラクマ先生の言葉だ。怠惰でないというのは、言葉として少しインパクトがあるのだが、ヨガを継続している人たちからすると納得の言葉なのではないかと思う。
人によるところもあるが、ヨガをすることで何かがすぐに変わることはあまりない。続けることがすごく大事だ。継続することで、自分の変化に気づくことができ、その変化に対する自分の気持ちとどう折り合っていくのか考えていく。
毎日やることが難しいこともあるかもしれないが、そんな時は何が障壁となっているかを考え、何か工夫できることがないか考える。朝起きるのが辛いのであれば、前日に早く寝る時間を作るようにできないか、家族の都合で時間を作るのが難しい時でも、家族と話をして時間を作るように工夫している人もいた。できないということで思考を停止せずに、どうしたらできるかを考えるのは、頭を使うし、時には労力がかかることもある。最近ではそれも練習の一環なのかなと感じる。一般的に考えられるヨガはポーズをとることで、ストレッチ効果を得るものであると思うが、実は大分違う。色々な葛藤をして、自分のための時間を作っていくことで思考のトレーニングをしてくこともヨガなのだと思う。
時々、練習自体をしたくなくなることもある。こんなに練習しているのにポーズができないとか、ヨガをしていても気持ちが晴れないとか、そういう時は練習がイヤになってくる。例えば、先週できていたポーズができなくなっていたりすると、「やだなあ」とか「なんでできないんだろう」という気持ちが湧いてくる。その時々の調子でできたりできなかったりするのは自然なのに、それではダメだと思ってしまう。そういう気持ちをどうコントロールしたらいいかを学んでいくこともヨガの一つの練習だと思っている。
練習を続けていて分かったのは、イヤな気持ちをなんとかしてはらしてやろうと思ってしまうと、逆にイヤな気持ちにとらわれてしまう。イヤな感情になった時は、こういうことがイヤなんだなあととりあえず、俯瞰して、その感情を否定せずに眺めてみる。そうすると、なんとかしてやろうと思っていた時と違って、気持ちが落ち着いてくることが多い。それでも、気持ちがザワつくこともあるが、そういう時は無理に一人でヨガをしない。代わりに、ランニングをしたりする。ヨガをやろうとする心は必要だが、無理にそれに縛りつけない。不思議とランニングした後ヨガをやりたくなったりする。今はそんな風に調整しながら続けている。
色々な葛藤の中でヨガを行うのは、心をコントロールしていく練習にもなっている。「心の作用を止滅させていくことがヨガである」とスワミ・サッチダーナンダ著の「インテグラル・ヨーガ パタンジャリのヨーガ・スートラ」に書かれている。ヨガの最終目標は心を止滅させていくことだということなのだが、生きている以上、なんらかの感情は生まれてくる。なので、心の波立ちを少しでも小さくしていくことを目指していく。嬉しい感情も、悲しい、悔しい感情も同じ感情だ。分別しない。その感情の起伏を小さくしていくことで、感情から左右されずに生活できるようになるという。
森や海などの自然に触れた時の、心の清々しさ、静かさが感情から解放された状態と近いのかなと思う。ヨガの練習をする時には、海や森に行った時のことを思いながらやってみている。
ヨガの練習には、時間、場所の観点でも、自分の心と対話していくという意味でも、葛藤をどう乗り越えていくかということがとても大事だ。ケン・ハラクマ先生のおっしゃった「怠惰」というのは、この葛藤を続けることが難しい人なのだと私は解釈している。心をコントロールしていくということを考えると、継続していき、自分の感情の変化を捉え続けていく必要がある。どうやって継続できるかという答えは誰も教えてくれない。もちろん、ヨガの先生や、仲間がアドバイスはくれるが、その中で何を選択していくかは自分しかいない。考え続けなくてはいけない。心の体力をトレーニングしていく。そうしていくことで、誰かに答えを求めなくてもよくなる。
こんなことを書くと、ヨガのハードルが高くなりそうだが、やってみたいと思ったら、とにかく始めてみることをおすすめする。もし続けることが難しいと感じたら、その時に一瞬だけでもいいので何が障壁なのか、続けるために何かできることはないか考えてみてほしい。
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