マラソンは自分にとって心の特効薬なのだ
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記事:山本清文(ライティング・ゼミ4月コース)
「走りきった。足が痛いからしばらく走らなくていいや!」
こんな感情を抱いたことがある人はきっと多いはず……。
何のこと? と思われた読者の皆さん。
それは、フルマラソンを経験しないとわからない感情である。
フルマラソン完走経験者は、なぜか未経験者から珍しがられるし、こう言われることもしばしばある。
「出場する気がわからん」
実は、私も3年以上前、フルマラソンはいいイメージを持たなかったし、走る人の気持ちはわからなかった。
なぜなら、安易にフルマラソンに申し込み出場して、痛い目にあっていていたためだ。
フルマラソンをなめた結果だと、思われた方。
その通り!!
当時、フルマラソンをリタイアしたのだが、足が痛すぎてろくに歩けなくなり、更にはマラソン後、熱を出してしばらく寝込む日々を過ごした。
そんなことがあったせいで、マラソンは私にとってハードルの高いスポーツと感じるようになり、マラソンに見向きもしなくなった。
そこから1年が過ぎた……。
何を思ったのか、マラソンに再度挑戦しようと考えていた。
きっかけは、コロナ禍で家に閉じこもる日々が続き、運動習慣もなくなった。そのため、「運動せぇ」と父から言われるくらい体重が大幅に増加していた。
それは同時に、過去最高体重を記録するという意味を指していた。
鏡を見ると無残な姿をさらけ出しており、情けなさが湧いてきた。なので、ダイエットを実行したのである。
当時、筋トレを先行で実施していたので順調に体重は下がっていた。ただ、更に効果をあげるために有酸素運動を取り入れることにした。
そう、脂肪を燃やすためには有酸素運動も取り入れるしかない。
だったら、もう一度フルマラソンに挑戦してみよう……。
もう、とにかく、痩せた結果が欲しいためのきっかけに過ぎないのだった。
なので、今度こそ、フルマラソンで完走できるように練習あるのみ! と決心したのはいいが、練習方法がわからない。けど、わからないなりに初心者でも参加しやすそうな練習会がないか、ネットで調査し参加した。
その練習会でも途中でリタイアをして、コーチから「今のままでは10kmも走れない」とサラリと言われ、挫折感を覚えた日は今でも忘れられない。そんなことを言われたものだから、しばらくの間、決心したことをいつの間にか放棄し、マラソン以外の運動を続けていた。
ようやく、スイッチが入ったのは、金沢マラソンにエントリーし当選したことだった。それ以降、シューズやサポーターやランニングウエアを購入し、フルマラソン当日までの練習として、毎週末に10km走ることや、ハーフマラソン大会に2回出場し、自分なりに調整を実施した。
そうこうしているうちに、あっという間にフルマラソン2回目出場当日を迎えた。ランナーの皆さんの嬉しそうな笑顔をみつつ、自分は両足の土踏まず部の痛みに不安を覚えながらスタート地点へ。
そして、スタート。
練習していたペースより1分遅い時間で30km地点まで維持。足も思ったよりも順調だったので、「5時間台でゴールできるかな」と思いながら走っていた。が、膝周りの筋肉が攣りそうになり、急遽応急処置として冷却スプレーで対応。ここから慎重になり一気にペースダウン。
ゴールしたい気持ちが強く、リタイアの二の舞は避けたい一心で、残り約10kmはほぼ歩きだったが、ゴールできたときは達成感でいっぱいで、目標をもって取り組めばできることを実感した。
目標は達成できたことはうれしかったが、振り返ってみると、マラソンはポジティブ感情とネガティブ感情のGAPが大きいスポーツだと実感した。
それは、フルマラソン当日までの間、体の違和感に不安を覚え、また、マラソン中も、「申し込みをしなきゃよかった!」と感じるほど、マイナス要素ばかり出てくる。ただ、ゴールすると、よく頑張ったとすごくうれしくなる。
ただ、うれしい気持ちがずっと続くかと思うとそうではなく、次は足の痛みで思うように動かない状態となり、あまりいい気分にならない。
こんな気持ちになったので、3回目はないだろうな……。
ところが、翌年もフルマラソンにエントリーして無事に完走できた。しかも、自己ベストを更新のオマケつきで。当然、大会当日までに練習をした成果であることは間違いないが、それよりも、3回目をエントリーしようと思ったのは、2回目の出場の際、大会関係者や沿道の皆さんが温かくランナーを迎えてくれたことが、自分にとって何よりも励みになったことだった。ただ、フルマラソンは、ポジティブ感情とネガティブ感情のGAPが大きいことし、未だ、自分は有酸素運動が得意分野に当てはまることはないままである。
こうして、同じことを繰り返しているにも関わらず、3回目のフルマラソンから約半年後の2023年3月、今度は大阪でハーフマラソンに出場した。約半年ぶりだったので、足が痛くなり、痙攣を起こしかけたが、無事ゴールをすることが出来た。
何度出場しても、スタート前は「エントリーしなければよかった」と思うのだが、ゴールすると「無事にゴール出来てうれしい」となるが、翌日、足が痛くなり思うように歩けなくなる現象が発生し、気持ちがへこむのだ。
それでも、次のフルマラソンはいつ出ようかと模索しながら、練習をすることになると思う。きっと。
なぜなら、フルマラソン当日に励まされながらゴールできることが、自分にとって何よりのご褒美となるのだから……。
結局、マラソンは自分にとって心の特効薬になるのだ。
***
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