カッコン・ドランカー
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜
記事:mopa(ライティング・ゼミ4月コース)
まずい。歯が浮いている。
昨夜、寝る前に気づいていました。
自身の体調が崩れる前に現れる前兆のひとつです。
左右の奥歯がフワフワして気持ちが悪い。
案の定、朝起きると微熱がありました。
鏡を見たら、右側の首から顎にかけてパンパンに腫れていて、人相が変わっている。
買い物した大福のパックが傾いて、偏ってしまった像が脳裏に浮かびました。
そういえば、昨日は一日中、首だけでなく、全身が重かった。
クーラーのせいで、冷えも感じていたし。
はっきりした前兆はあったのに。
私はもともと、あまり丈夫な体質ではなく、
だから漢方薬を常備していて
こんな時、まず頼りにするのが、葛根湯です。
葛根湯なら、飲み慣れている方も多いかもしれませんね。
永遠のロングラン。
漢方薬界きってのトップセラー。
お家の薬箱に1箱置いていると役に立つ、登山時のキャラメルみたいなものです。
その、お馴染みのパッケージに記載してある規定量を、だいぶ超えて、
口内を粉まみれにしながら、水と一緒に飲み込みます。
カッコン・ドランカー。
本当は、首の重さに気づいた時に、1包でも飲んでおくべきでした。
遅くても、昨夜のうちに飲めていれば、今日一日を元気よく過ごせたかもしれない。
不調を知らせていたドアのノックを無視して、寝てしまった。
しかも、ノックは1回だけじゃなかった、のに。
後悔しても、今となっては後の祭り。
ここからは、治すことに専念するしかありません。
さらに、毎日飲んでいる漢方薬&サプリの基本4種もきっちりと飲んで、身体の様子をみます。
我が家の食料庫でもある、近所のスーパーで頻繁にかかる、変な曲があるんです。
なんというか。
ロック調のアニメソングみたいな。
ムダにアツい唄。
男の人が「なにかしてくれ~」と叫ぶのに、内容はよくわからない。
耳にする頻度は、1週間に1回程度ですが、数年聞き続けているので、イントロで覚えてしまった曲です。
あの曲が流れたら、なるべく早く店から出ていきたくなる。
アンチ・サウンド・マーケティング。
今日はずっとあの曲が、熱っぽい頭の中でリピートしていて不快です。
これも、風邪の症状なんでしょうか?
そうだとしたら、本当に嫌な風邪。
やはり、どうにも仕事がはかどらない。
葛根湯は、風邪の初期症状には抜群の効き目を発揮しますが
今回のように発熱してしまってからでは、カバーできるラインを超えているようです。
体が感じる「寒い」には、2種類あって
ひとつは、単に気温が低くて寒い、冷え。
もうひとつは、自分の体が熱を放出するために感じる、ゾクゾク感。
ふたつ目の「ゾクゾク」を感じた時に、即、葛根湯を飲むと、体がポカポカしてきて治まります。
べつに、ひとつめの「寒い」の時に、飲んでもいいんですよ。
飲めば手足が温まります。
原料は植物ですから、規定量を守っていれば、安心です。
このように、葛根湯は風邪の初期ほどよく効くため、本当に小さなノックの音を聞き逃さなければ、1包で十分そのポテンシャルが表れます。
「気のせいかも?」
「念のため」
「おまじない」
なんでもいいので、黙って早めに飲むことが一番です。
例えば、普段は感じない肩のコリ。
「なんか、今日は肩が張るな~」なんて思う時は、飲んでみてください。
肩から背中までが柔らかくなります。
その他は、目の奥に感じるチカチカ。
ほっておくと頭痛につながり、気がついた時には背中がゾクゾクしている。
そんな小さな合図が、誰しもあるはずです。
若い頃は、鳴らされるドアのノックが、どんな音かすら、知りませんでした。
寒さと、ゾクゾク感の区別もつかなかったし、
いつも葛根湯を体内に入れるタイミングが遅れがちで、ずいぶん痛い目に合いました。
やり過ごしては、ひどい風邪症状に泣く経験を、何度も繰り返すうちに、いつしか微かなノック音にも耳を傾けられるようになったのは、まさに経験による学習。
だったはずだったのに……。
常にバックの中には葛根湯を入れているのに……。
身をもって手に入れた能力のひとつだったんですが。
悔やまれます。
ひさびさの失敗。
ただ、こうして何度も体で経験することで
自分に合う葛根湯の量は、把握しました。
お世話になっている漢方薬店によると、
葛根湯を飲むときのコツは、血中の葛根湯濃度を一定量で保つこと、だそうです。
その詳しい量を書くことは、安全のために控えますが、
自分の体の変化をよく観察していると、わかります。
葛根湯が途切れると、治まっていた寒気がブリ返すなど、
体の不調が戻ってくるので、そこで飲み足します。
飲み足すまでの間隔がわかってくると、途切れる前に補充ができるようになります。
さらに、1回に飲む量を多めにすると、次までの間隔が広くなり、快適です。
不調は去り、風邪症状ともサヨナラできます。
風邪をひいているのに、症状が表れません。
これが、カッコン・ドランカー。
良い子はぜっっったいに、真似しちゃダメですよ。
記載の量と回数を厳守してくださいね。
決して、勧めているわけでは、ありません。はい。
また、規定量を守っていても、少し眠りにつきにくくなる傾向は感じるので、飲む時間には気をつけたほうがいいかもしれません。
今回は結局、勝湿果粒(しょうしつかりゅう)を飲み足しました。
嫌いな曲のリピート再生も止み、だいぶ落ち着いた様子です。
この薬は、梅雨時期の気怠さを感じる時に飲むと、スッキリ感が期待でき、解熱沈痛作用も持っています。
梅雨時期の発熱とは、辛いものです。
みなさんも、どうか体の不調には素直に耳を傾けて、健康的に過ごしてくださいね。
***
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