メディアグランプリ

胸キュンと、沼を巡る考察


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:mopa(ライティング・ゼミ4月コース)
 
 
ドラマって、「二巡目からが面白い」という意見に大賛成なんですが、皆さんはいかがでしょうか?
 
ドラマだけじゃないです。
映画や、小説、マンガだってそうです。
いったん全体のストーリーを体験して、結末を知ってから、もう一度観たくなる。
そんな作品って、誰しも、ひとつやふたつ、ありますよね。
 
最近でいうと、私の場合は
「鬼滅の刃」(マンガ)、
「エルピス‐希望、あるいは災い‐」(長澤まさみちゃんのドラマ)
 
古いところなら
「ガラスの仮面」(マンガ)
「ねじまき鳥クロニクル」(いわずと知れた文豪、村上春樹)
なんかが該当します。
 
心を激震させたあの事件を、もう1回味わいたい。
とか。
あの、胸アツシーンへの伏線エピソードを、もう一度確認しておきたい。
とか。
主人公の傍らにいた脇役は、あの時どんな表情していたのかな。
とか。
空調のフィルター掃除をしていたら、いつの間にか家中の大掃除になっていた、みたいな。
 
観れば観るほど、さらに次の欲求が湧いて、またもう1回観たくなる。
掘った先に、さらに掘るべき穴が出現してくる、不思議な穴。
 
そうしているうちに、お気に入りのシーンが厳選されてきて、そこだけをリピート再生し、また愉しむ。
これを我々は、「沼落ち」と呼びます。
 
今回、はまった沼は、韓国のドラマだったため、
翻訳によって、意味が掴みにくくなったセリフや、特有の文化、地理的な疑問を解消したかったことも、おかわり視聴に、拍車をかけました。
 
パソコンを開いて、英語経由で翻訳し直してみたり。
ソウル市の地図で、位置関係を調べたり。
およそ、ドラマの観賞とは関係ない、別の作業をしている私は、
傍から見たら、やたらと熱心に調べ物をする人として目に映ったことでしょう。
 
これをマニアとも、呼ぶのかもしれない。
 
さらに、劇中で取り上げられた映画を知らなかったため、いったん、元ネタの配信を観て、確認もしました。
 
そこまでする?
しつこくない?
 
じつは、もっといえば、まだまだやっています。
お気に入りのシーンについて、セリフを書き出したい衝動にかられ、エクセルに書き起こしているうちに、その範囲は全14話の主要シーンにまで及び、脚本仕立てにもしました。
“推し”のセリフだけ抽出して読むと、濃度が高くていいものです。
 
……ええ。
なにか問題でも?
 
1回目を観た時の、私の理解度なんて、白い花を目にして「キレイね」と思う程度のものです。
ストーリーに心を揺さぶられ、俳優達が放つ魅力を目に映し、愉しむだけの段階。
 
イケメンB(推し)の心境が深まるにつれて、口にする言葉が甘く変化し、その行動にさりげない優しさが込められて、主人公A(♀)もまた惹かれていく。
そういう胸キュンポイントは、視聴回数が浅くても、視えるんです。
 
観察を重ねるにつれて、
その花は、フェルト生地のような花弁をもち、湿度が高い日に、濃厚な香りを放つ常緑低木だと知り、その名を、クチナシと呼ぶところまで、たどり着きます。
 
俳優陣の細やかな演技が理解できるようになり、
心境の変化が脇役Gや、Hにまで波及していることに気がついたのは、だいぶ後になってからです。
続くエピソードを、引っ張ってゆく鍵にも、なっていたのに。
 
また、
終始、煮え切らないキャラのイケメンBにアシスト、またはエラーパスを出しながら、
いつもストーリーを展開させていた、オジさんFの存在。
このオジさんが担う役割が視えたのは、視聴何回目だったでしょうか?
これに気がついたことで、作品が醸し出す芳香までもを、味わうことになりました。
見逃してもいいエピソードは、ひとつもありません。
すべてに、企みが込められていました。
 
また、ドラマの序盤に、すでに語られていたんです。
クライマックスへの予言が。
これを見つけた時は、その練られた構成に、改めて感激したものです。
脚本家の姿が目の前に立ち現れて、その胸に燃えている情熱の熱さが、私の胸にも伝わりました。
 
こんなにも、練られていたとは……。
こんなところに小ネタを挟んでいたとは……。
これも伏線のひとつだったか……。
 
面白いとか、つまらないとかの、レベルなんかじゃ、ありません。
沼に首まで浸からなければ、わからなかった脚本家の熱意です。
 
ところで、
「クチナシ」って、どうしてそう呼ばれるか、ご存じでしょうか?
それは、秋になるとつけるオレンジ色の実が、熟していても割れが生じず、口を開かないことからきています。
この実は、栗やたくわんなど、食品の着色に用いられる他、染料としても重宝されてきたもので、皇太子しか身につけない禁色にも使用されるんですよ。
 
こうした情報は、花を観察しているだけではわかりませんよね。
まとめサイトや、植物トピックを開いて出てくるものです。
ですが、こういった蘊蓄(うんちく)が入ると、次にクチナシを見かけた時に、改めて詳細を観察したくなるんです。
そして、目の前に花がなくても、その香りがフと蘇るだけで、ウットリするようになるんです。
 
そう。
ドラマもまた、再び観たくなるんです。
永遠にエンドレス。
 
あたしって、暇なのかな?
 
噛めば噛むほど味が出る、スルメのような作品といえる一方で、ここまで嚙まないと味がわからない私のポンコツ加減もまた、視せられることになります。
でもまあ、ここまで愉しめるので、いいよね。
 
本質を理解するまでは、なかなかの時間がかかる私ですが、ちゃんと受け取りましたよ。
手間もかけて、愉しませていただきましたからね。
そして、「ありがとう」って、みんなに伝えたい。
 
ちなみに今回の沼は、韓国ドラマ「ボラ!デボラ~恋にはいつでも本気~」です。脚本はア・ギョンさん。
ジャンルはラブコメです。
放送は2023年4月12日からだったため、ファッションや、流行に遅れがなく、それも愉しめた要因のひとつでした。
面白いですよ。
 
 
 
 
***
 
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

お問い合わせ


■メールでのお問い合わせ:お問い合せフォーム

■各店舗へのお問い合わせ
*天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。


■天狼院書店「東京天狼院」

〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
TEL:03-6914-3618/FAX:03-6914-0168
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00
*定休日:木曜日(イベント時臨時営業)


■天狼院書店「福岡天狼院」

〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階
TEL:092-518-7435/FAX:092-518-4149
営業時間:
平日 12:00〜22:00/土日祝 10:00〜22:00


■天狼院書店「京都天狼院」

〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5
TEL:075-708-3930/FAX:075-708-3931
営業時間:10:00〜22:00


■天狼院書店「Esola池袋店 STYLE for Biz」

〒171-0021 東京都豊島区西池袋1-12-1 Esola池袋2F
営業時間:10:30〜21:30
TEL:03-6914-0167/FAX:03-6914-0168


■天狼院書店「プレイアトレ土浦店」

〒300-0035 茨城県土浦市有明町1-30 プレイアトレ土浦2F
営業時間:9:00~22:00
TEL:029-897-3325



2023-07-19 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事