メディアグランプリ

楽しいだけの時間はムダなのか


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:鈴木(ライティング・ゼミ6月コース)
 
 
ムダなことなんてない、という考え方がある。
私は、ムダなことはあると思う。
ムダかどうかを決めるのは、いつだって自分自身だからだ。
 
世の中には、決められた人生の中で、いかに自分を高めて価値のある時間を過ごせるか、そしてそうではない時間をいかに減らすのかを追究している人がいる。
ムダの対極にいる人たちだ。
 
こういった場合、日々の暮らしの中でのムダを減らすことが重要である。
考える時間を減らすために、毎日同じ服を着て、同じルーティンで過ごす。
健康のためにベストだと言われる以上の睡眠は取らない。
体に良い効果をもたらすと言われている食材以外は食べない。
お金を使うなら、それは知識や経験を増やしたり高めるため。
時間ができたら、体を動かしたり、仕事に関する本を読んだり、人と会って刺激をもらったりする。
 
対して私の場合である。
寝られるときは寝られるだけ寝る。10時間以上の睡眠が出来た日には、それだけで最高の気分になる。もちろん、寝すぎて頭が痛くなることもある。
ファストフードやコンビニ飯が大好き。カロリーだけあって栄養がないことで有名な食べ物が一番おいしいと思っている。胸やけをするときもあるし、体重に影響を及ぼすこともある。
私が最もお金を使っているのは、たぶん趣味だ。小説を読んだり、ライブへ行ったり、アニメを見たり、漫画を読んだり、旅行をしたり、グッズを買ったりするうちに、いつの間にかお金が減っている。おかげで、貯金は一向に増えない。
時間が出来た時には、家に引きこもって、昼寝をしたり、動画を見たり、アニメを見たりする。外に出る時には、行く当てのないドライブをしたり、カフェで小説を読んだり、友だちと飲みに行ったりする。そしてだんだん、本来やるべきことが迫ってきて焦る。
 
こうして考えてみると、私はやっぱり、ムダなことばかりしている。
つまり、ムダなこととは、何も生み出さないか、何も残らないか、むしろ終わってみたら後悔をするようなことなのだろう。
 
私もいい年なので、改善方法がわからないわけではない。
例えば、時間が出来たのでカフェで好きな小説を読むとする。
そこで読む本を、小説ではなく、知識や経験を高めるための本にすればいいのだ。
さらに言うと、それらの学びを楽しめる仲間を作ることができれば、それはもはや趣味のようなものになるだろう。
このように、私が過ごしている楽しいだけのムダな時間は、自分を高めつつ、楽しくて意味のある時間にできるのかもしれない。
 
自分の知識や経験を高められる本には、自分自身の暮らしで活かせる内容が書かれている。
もしかすると、具体的な何かしらの状況が、その本のおかげでうまくいくこともあるかもしれない。
これは、学生時代に「次のテストはここが出ます」と先生から言われたページを勉強しておいたら満点がとれる、ということに近いような気がする。
自分の知識や経験を高める本を読んでおいて、そこで学んだことが生活の中で役に立ったら、その本を読んでいた時間は確実に意味があったということになるだろう。
「あの本に出ていたあのケースに似ているな。このパターンでやってみよう」と実際にやってみて想定通りになったりしたら、それはもう素晴らしいことだ。
その本にかけた時間に対する答え合わせとして、「あの本を読んで正解だった」「内容が役に立った」と思えるのかもしれない。
 
好きな小説を読むことから何を得られるのかと言われたら、明確には答えられない。
ただ、その読んでいる時間が楽しくて仕方ない、ということは言える。
登場人物になりきって、時間がどれくらい過ぎたのかわからなくなるくらい集中して本を読めること自体に、幸せを感じている。
読み終わった時には、満たされた気持ちになっている。
しかし、その本を読んだことで、苦手な人とうまく話せるようになったとか、仕事が早く終わるようになったとか、人生がよりよくなったとか、そういう答えは出ていない。
 
ただ、小説を読んで何も残らない、ということはないような気がしている。
それは、その小説を読まなければ知ることが出来なかった、言葉や概念、言い方、考え方、知らない時代に起こったこと、人と人との間に生まれる何か、他人の人生、行動原理などである。
小説には、とにかくたくさん、人のことが書かれている。
改めて考えてみると、私の生み出す行動や言葉が、今まで読んできた小説に一切影響を受けていない、と断言することの方が、私にはできない。
だからこそ逆に、今までの人生で小説に助けられたことがあるような気もするし、無いような気もする。
 
というか、そもそも何も残っていなくてもいい。
小説を読むことは、楽しいだけでいい。
楽しいだけのその時間が、私は好きなのだ。
「楽しかった~」が残っていたら、それで十分。
それは、ライブでも、飲み会でも、動画を見ることでも、同じことだ。
次の日にちょっと後悔するぐらい楽しかったら、その後悔は楽しさを思い出すためのアイテムのひとつになる。
 
過ごした時間がムダかどうかを決めるのは、その人自身だ。
だから「それってムダじゃない?」という言葉は、私に言ってもムダである。
 
 
 
 
***
 
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2024-07-25 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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