私はなぜ「ライティング・ゼミ」を受講することにしたのか
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記事:芽れんげ(ライティング・ゼミ)
「ごめん、ばあちゃん」
ここが震源なのかと思うような揺れが、実は東北を震源とするものだと知った時、私はとっさにばあちゃんの言葉を思い出していた。
「関東大震災の時はここらへんもえらい揺れてんで」
しかし、ここは京都。
「東京から500キロ以上も離れてるんやで。なんぼ大きな地震かて揺れるはずないやん」
そう言って私は、ばあちゃんの言葉を笑った。
「ほら。神戸のときかって、このあたりはそんなに酷くは揺れへんかったやん」
って。
その考えを覆したのが、東日本大震災だった。私のいたオフィスは気分が悪くなるほど揺れた。
そして私は身をもって、ばあちゃんの言葉が本当だったことを知った。
ほんまに揺れたんや……。
この世には、経験したことないことや見たことがないものもあるんだという事は分かっていた。でも、頭の中で分かっているということと、経験したということとは違う。よくある知識と経験とのギャップ、思った通りではない、というやつだ。
私は思い込みに囚われてばあちゃんの話を信じなかった。
私は自分の頭でっかちさを恥じ、自らが体験することの大切さを実感し、そしてこれからは、未体験だと思ったものには自ら飛び込んで行こうと思った。
ある日、私はFacebookのタイムラインを見ていた。
いつの間にか増えたFacebook友達たちの投稿。その量の多さに、最近はぼんやりと目で追うような読み方をしてしまっている。
そこに飛び込んできた、「天」と「狼」という変わった文字の組み合わせ。
ダヴィンチ風の手のデッサンの画像。
「ライティング・ゼミ」というワード。
ゼミ? これって何なん? 本屋で、だよね?
すかさず右脳が囁いた。
「これは、私が体験したことがないものに違いない。やってみなくちゃ」
左脳も囁いた。
「いやいや、ちょっと待て。なんだか胡散臭いぞ。それに胡散臭くなかったとしても、自分にはハードルが高そうだぞ」
うーん。どちらの言い分もわかる。
何なのか知りたい。でも申し込みボタンをポチッと押すには決め手も勇気もない。
その日から、右脳と左脳のせめぎ合いが始まった。
京都天狼院のページにいいねしちゃったから、Facebookを見るたびに目に入る。
ライティング・ゼミの投稿にもいいねしちゃったから、タイムラインにも頻繁にお目見えする。
あ〜これは呼ばれているよね、とか思うものの、やっぱり踏ん切りがつかない。
「ねーねー、これどう思う?」
友達に会うたびにライティング・ゼミの投稿を読ませて意見を聞き回った。
しかし返ってくる答えはいつも同じ。
「おもしろそうやね。行ってみて面白かったら、また教えてな」
通勤電車の中でもご飯を食べている時でも、受講しようかどうしようか思い巡らす毎日。
そんな時、妹が言った。
「姉ちゃん、昔から読むのとか書くのとか好きやったもんな」
思い出した。
読むのも書くのも好きだったこと。好きだからこそ自分の才能のなさを実感するのが怖くて、深掘りすることを避けてきたこと。
ブログ草分けの頃にはヘヴィに書いていたけれど、猫も杓子もブログの時代になり嫌気がさしてやめてしまったこと。
書かなくなってから溜まり続ける、この頭の中のモヤモヤっとしたものを吐き出したいと思っていたこと。
でも、吐き出したところで何になるんだ、と気づかない振りをしてきたこと。
右脳が言う。
「このまま通り過ぎてしまって良いのか? 飛び込んでないじゃないか」
すかさず左脳が言う。
「もう定年も見えてきたんだしさ、そろそろ落ち着かないと。新しいことを取り組むばかりではなく」
落ち着きたいのか? 私。
本当にそれで良いのか? 経験しなくていいのか?
未知なるもののままにしておいていいのか?
次の瞬間、私はポチッと「キックオフ説明会」の参加ボタンを押していた。
いや、その時既に、心の中ではライティング・ゼミ本講座のボタンも押していたのだ。
そうして私はスタートラインに立った。
第一講を終えて私の脳みそは、早くもズタボロだ。
熱気にやられ、動きの悪い自分の頭にやられ、必死で取ったメモは暗号のように判読不能。
キラキラしたゼミ仲間との時間はゾクゾクの連続だったが、普段とは違う慣れない環境にどっと疲れていた。
家に帰って「とりあえず、まず寝よう」と思った。
しかし、スタートから打ちのめされるなんて、楽しすぎる。ポチッとして良かった。
経験しなければわからない。
そこから始まった私のライティング・ゼミ、実は今はウキウキよりも怖さのほうが勝っている。
でもこの怖さを越えた先で、自分がどう変わっているのかがとても楽しみだ。
妄想好きな私の右脳は、早くも、4ヶ月後にこの文章を読んで笑い飛ばしている私を頭に描いている。「稚拙だなあ」という酷評つきで。
ばあちゃん、信じてなくてごめん。
でもね、そのおかげで私は探究心豊かになったよ。そしてもっともっと未知なるものに向かっていく。
年齢なんて関係ない。
さあ、ズタボロになる準備はできた。未知なる世界を楽しもう。
お楽しみはこれからだ。
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