ライティングを続けることで思い出したのは、意外なあのゲームだった
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:渡辺 剛(ライティング・ゼミ)
「そういえばこの前、ブログ読んだよ」
私は、もう何年も前から、自分で書いた文章をブログにアップしたり、FacebookやTwitterを使って自分の考えていることや、頭の中身をさらけだしたりしている。
始めたきっかけをよく聞かれるが、たぶん「日記」だったのだと思う。
その日あったこと、その出来事を通じて感じたことを、ただ書いている。
それは、誰かに見てもらうため、というよりは、単なる自己満足にすぎない。
ブログをはじめたのも、まだホリエモンが六本木ヒルズで社長をしていた頃、にわかに「ブログ」が流行り始め、ほんのささいなきっかけで「密やかに」始めた。
しかしよく考えたら、「ブログ」という、インターネットにのせて全世界から見ることが可能なものである以上、容易に誰かに見られる仕組みなわけで、それは意外と身近な人にも見られるということだ。
その日も、私のブログを読んだという友人と会話をしていた。
「たまたま見つけてさ」
「あ、そう。なんの記事?」
「うーん、なんだったかな。新しくできたカフェに行ったってやつ?」
「ああ。どうだった?」
「うーん…… なんていうか、まあ、お前の文章、長いよね。最後まで読んでない」
インターネットや、SNSが普及してくるにつれ、私は、「ブログ読んだよ」という声を聞くようになった。
しかし、ブログに載せておいてなんだが、その頃の私はブログを知り合いに見られることがとても嫌で、恥ずかしさすら感じていた。
そうしているうちに、いつしかブログの更新は止まって、自分の気持ちや考えは日記帳へ移行していった。
しばらくすると、また書きたい衝動にかられてブログを更新する。
またブランクが空く。この繰り返しをしばらく続けていると、またどこかで
「久々に、ブログ読んだよ」
と言われる。
その度にまた、「長い」と言われ、次第に自分の文章にコンプレックスすら感じていた。
そんなこと言われても、まあ、そもそも単なる日記だし。たわいも無い、ただのつぶやきだし。
別に読んでもらって感動してもらいたいわけじゃないし。
でも、なんだろ。
悔しいな……
やっぱり、読んでもらって「面白かったよ」って言ってほしい。
「すごい共感できたよ」って。
「お前がブログに書いてたお店、俺もいきたくなったわ!」って!
いろんな本や、たくさんの人のブログや記事を見て、感動したり、実際に行動に移そう! という気持ちになったりするたびに思った。
「共感してもらえる文章が書きたい」
そう思っていた私が、ある日、天狼院書店の「ライティング・ゼミ」の紹介記事を読み、その扉を叩くまで、時間はかからなかった。
その紹介記事の中の、言葉ひとつひとつに共感して、最後まで食い入るように記事を読み進め、決断してしまった。
「人の心を動かす」なんておこがましいけど、そんな文章を、いつか自分も書いてみたい。
そうして、ライティングを学ぶ日々が始まった。
講義では、あるひとつの「コツ」を伝授された。このコツを活かして、文章を書いて見てくださいと。
そして、とにかく、書き続けてくださいと。
言われた通り、書いてみるも、なかなかうまくいかない。
書きたいことが書けない。
教えてもらった「コツ」を、うまく織込めない。活かしきれない。
パソコンの画面に向かい、しかめっ面をしてキーボードを叩いて、書いては消し、書いては消しを繰り返しながら、記事を何本か書いた。
そして、提出してみる。フィードバックをもらう。
「もう少しですね。このまま書き続けてください」
そういえば子どもの頃、ドラゴンクエストなどのRPGに熱中していたことを、ふと思い出した。
こんな風に、敵との戦闘を繰り返し、時には勝ち、時には負けて致命傷を負いながら地道にレベルを少しずつ上げて、次のステージを目指して頑張っていたっけ。
最初にスタートしたお城から、次の街まで歩みを進めていくと、強い敵に遭遇する。
「ああ! 今のレベルでは、この敵にはまだ勝てない!」
あの、勝てない敵に出会ってしまった時の緊張と衝撃は、私にとって、私のブログを読んだ友人の「長い」という言葉に似ていた。
「長い」という感想を恐れていた。だから私は、言われたとおりに、地道に記事を書き続けた。RPGの中の、勇者のように、「長い」という敵と戦いながら。
そんな日々を過ごしたある日、私の書いた記事が、天狼院書店のウェブサイトに掲載されるようになった。
自分のブログに載せたり、SNSに載せたりすると、読んだ人が「読みやすくて、面白かった」とか、「感動したよ」とか、少ないながらも、嬉しい感想を言ってもらえるようになった。
私は心底嬉しくて、書き続けてよかった、そう心から思えた。
でも、まだ「長い」という、力不足で敵わない強敵のような言葉をもらうことも多々ある。やっぱり、まだまだ、書き続けなくては。
私はいつしか、書くことが楽しくなっていた。
まだまだレベルは低いけど、数ヶ月前の自分の文章とは、違ってるのかも!
そうそう、書き続けていて、もうひとつ気づいたことがあった。
記事を読んでくれた人が、「あの記事に書いてた場所、一緒に行きたいから連れて行って」と言われるようになった。
共感してくれたことで、仲間が増えたのだ。
これこそ、まさに、RPGじゃないか。
私はこれからも、自分自身のレベルアップのために、書き続けます。
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