視力0.07から世界を見ていた私が、ライティングを通じて感じたこと
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:菊地功祐(ライティング特講)
「君、視力いくつあるの?」
たまに私は人からこう聞かれることがある。
曇ったメガネのレンズで拭いている時に、私があまりにも目を細めてつらそうにしているから、友人は気になったのだろう。
私はこう答えた。
「0.07だよ」
「え? そんなに悪いの」
たいていの場合は、そんな反応をされる。
世間的には0.1以下の視力の人は相当視力が悪い人に思われるようだ。
ちなみに私はメガネを外してしまうと、全く物を見ることができない。
風呂場も足元が見えず、滑ってしまう危険を考慮して、メガネを付けながら風呂に入ることにしている。
シャワーを浴びる時には、もちろんメガネを外すことになるのだが、
風呂場の鏡に映る自分の顔すら見ることができない。
生活に支障が出てくるほど、目が悪いのだ。
美容院に行く時も毎度困ったことになる。
髪を切ってもらうため、メガネを外すのだが、鏡に映る自分の姿が見えないので、美容師の人が自分の髪をどのように切っているのか全くわからないのだ。
そのため、いつも出来上がるまで自分がどんな髪型になったのか把握できない。
私は自分でも相当視力が悪い方だとは思っている。
しかし、憂いていても仕方ない。
視力はほとんどが遺伝の問題のようだ。
父親もまた目が悪い家系で、いつもメガネを付けている。
遺伝的にも目が悪いのだ。
思い返せば、視力の悪さが私の人生に相当影響を与えてきた気がする。
「次の人、この問題を解いて」
私は小学校の先生に指摘される。
私はいつも戸惑いを隠せなかったのを覚えている。
毎回、黒板の字がよく見えなかったのだ。
私は小学5年生までメガネをかけていなかった。
黒板が見えにくいな〜と思うことは度々あったが、
「子供の頃からメガネを付け始めると余計に目が悪くなる」
というどこの誰の情報かわからない教えに流されて、子供だった私はメガネを付けることを拒んでいたのだ。
今思うと、医学的な根拠はどこにもないのだが……
目が悪く黒板が見えにくいせいで、私は勉強をおろそかになった。
黒板を頑張って見つめても、字が見えないのだ。
何が書かれてあるのかわからないのだ。
その結果、私は全く勉強をしない子供になってしまった。
親は呆れていた。
「あなた勉強しなさい!」
「いやだ」
私は子供の頃はカードゲームばかりして遊んでいるような子供だった。
全く勉強というものをしていなかった。
授業の時間も先生の話はいちよ聞くが、黒板をノートに写すことはなかった。
というか黒板の字が見えなくてできなかったのだ。
いつも目を細めて黒板を見つめる私を気にしてか、学校の先生は親に連絡を取ってきた。
「おたくの息子さん、いつも目を細めて授業聞いているので、一度きちんと視力検査を受けてみてください」
そう電話で親に尋ねたという。
先生に指摘され、私は眼科に連れて行かれることになった。
「メガネなんかつけたくない!」
私はメガネを付けていることがガリ勉の象徴みたいに思えていて、
頑としてメガネを拒み続けていた。
しかし、学校の先生から電話があるようでは仕方ない。
親に連れられ視力検査を受けることにした。
眼科での視力検査が始まった。
壁に貼り付けた文字を読み上げろと言われ、
「右! 左! 下!」などと読み上げていた。
正直、文字が薄ぼんやりとしか見えなかったので、適当に読み上げていたと思う。
眼科の先生のところに連れて行かれ、先生から一言、率直にこう言われた。
「なんでもっと早くメガネを付けなかったのですか。息子さんほとんど黒板の字が見えてませんよ」
親は医者にそのように怒られたそうだ。
「すいません。すいません。メガネをかけたら余計に視力が下がると思っていて、メガネを拒んでまして……」
「そんなわけありません。息子さんのためにもメガネをかけさせてください」
こうしてようやく私はメガネをつけることになった。
その時点で私の視力はすでに0.1ぐらいだった。
よくもその視力で黒板の文字を読んでいたと思う。
ほとんど見えてなかったため、先生の話の流れから予測しながら、黒板の文字を追っていたのだ。
メガネ屋へ行き、私は生まれて初めてメガネを発注した。
眼科でもらった診断書から自分にあった視力のレンズを付けてもらい、
私は試着用のメガネを付けてみることにした。
驚いた。
私の世界が変わって見えたのだ。
これほどまでに世界は色鮮やかで、光に溢れたものだとは思わなかった。
今までずっと視力0.1の薄ぼんやりとした曇った世界しか見ていなかった。
私はメガネをかけることによって色鮮やかになった自分の世界に感動してしまった。
もっと早くメガネをつけるべきだったと思った。
こんなにも世界がカラフルで色鮮やかなものだとは思わなかったのだ。
次の日から学校の授業が楽しくなった。
黒板の字がくっきりと見え、ノートをとることも楽しくなったのだ。
メガネをつけることで私の世界観は変わっていった。
今ではもうメガネ歴14年近くになる。
メガネは体の一部と言っていいほど体に浸透してきている。
メガネを付けてないと落ち着かないのだ。
自分に取って世界を見渡すためのツールになっている。
私は、去年の10月から天狼院ライティング・ゼミに通い始めた。
月に2回ほど池袋にある天狼院書店に行って、講師の三浦さんからプロのライティングの極意を教えてもらってきた。
ライティング・ゼミがある日は、私はなるべく30分前に天狼院に到着して、
一番前の椅子を陣取るようにしていた。
目が疲れやすい体質ということもあったが、何より三浦さんの話を一言も漏らさないような勢いで聞きたいと思ったのだ。
私は今、ライティングに夢中になっている。
自分にとってライティングは世界を見渡すためのツールだ。
毎週メディアグランプリに投稿するための記事のネタを探していると、
常に世の中に対し、アンテナを張っている状態のため、書けば書くほど、新しい斬新な出来事に気づけるようになるのだ。
締め切りに追われ、日常のささいな出来事も無理やりコンテンツにしていくと、
どんなに小さな出来事も愛おしく、大切な存在に思えてくる。
ライティングを続けていると新しい世界に気づけるのだ。
自分の身の回りの世界が色鮮やかでカラフルに見えてくるのだ。
私は天狼院でライティングを習い始めてから、生まれて初めてメガネを付けたあの瞬間を思い出していた。
あの時、私は世界がより明るく色鮮やかに見えたのだと思う。
世界がくっきりと新鮮に見えたのだ。
私にとってライティングは、メガネと同様に世界を見渡すためのツールなのだ。
これからも体の一部になるくらい愛用しているメガネと同様に、
ライティングというものを大切にしたい。
そんなことを思うのだ。
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