改造手術をうけた20年前の私
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記事:川上滋喜(神滋)「ライティングゼミ平日コース」
私は呼吸するように運動が当たり前の習慣になっている。
日々、YouTubeを見ながらチューブを使って筋トレしたり、休みの日は自転車で100km走ったり、8月の真昼間にランニング中8kmらへんで熱中症になりかけたり、私にとって運動は日々の習慣になくてはならないものになっている。そのおかげもあって40代を迎えたいまでも健康な体を維持できている。
私にとって運動をするとはなんだろうか? そうだ! 仮面ライダーの変身ベルトのようなものだ。
私は学生時代まったく運動をしていなかった。なぜなら中学生の頃から集団行動がとても苦手だったからだ。そんな私が団体競技である野球部、バスケット部、ラグビー部、バレーボール部に入るという選択肢などあるはずもない。では個人競技はといえば、剣道は防具をしているとき流れてくる汗をぬぐうのが大変だし、防具があるとはいえ思いっきり竹刀で叩かれると痛い、なおかつ体操服に何度もカビを生やした経験のある私が防具の管理などできるはずない。そんな理由で入るのをためらった。柔道は投げられたら痛いし、都市伝説の柔道をすると足が短くなるという話を信じきっていて入部をためらった。振り返ってみると、きついことがイヤで根性がなかっただけということに気づいてしまった。
そんな私が運動に目覚めたのは社会人になってから。若い頃は一流のコックを目指しており、時間とお金さえあれば食べ歩きを続けた。結果、気づけば身長173cmで体重80kg、体脂肪がおそらく30%はあったはずだ。そんなボディになってしまった私は社会人になったとき姉から買ってもらったスーツがパツンパツンになり、少しでも力んだら北斗の拳のケンシロウのようにビリビリと破れ、タプタプのたるんだお腹をさらしかねない状態になってしまった。
さすがにこのままではヤバイ! 何がヤバイのかはわからないがヤバイ! 運動をしなければ! と決意をした。どんな運動をしようか? 当然のことであるが団体競技なんか選択肢にはない。そもそも休日や労働時間が一般の人と合わない飲食業の人間が気軽にはじめられる団体競技などあるはずがない。なんかいいスポーツはないだろうか? 色々考え探した結果、痛くてキツイことが嫌いな根性なしの私は、なぜかキックボクシングという格闘技を選んだ。空手をやっていた取引先の人が披露してくれたハイキックに憧れたからか、イジメられていた過去の自分と別れるために始めようとでも思ったのか、はっきりとした理由は思い出せないが私はキックボクシングを選んだのだ。
こうしてキックボクシングを始めようと決意し、候補にあげたジムの一つ代官山のジムに向かった。全面ガラス張りになったジムの中ではスキンヘッドのマッチョな大男が全力でサンドバックを蹴っている。ガラス越しにも関わらずドシン、バスンと重い音が伝わってくる。自分がサンドバックだったらどうしよう? 想像したくもない。私が入ってくることを拒んでいるかのような迫力に圧倒され、そのジムには入門するのをやめた。
根性のない私に格闘技なんて無理かも、そう思いながら次は目黒にあるジムに向かった。そのジムも全面ガラス張りになっていて、そのなかで身長180cm以上あるおじいさんが仁王像のような形相で鉄アレイを使って筋トレをしていた。そのおじいさん(そこの会長だった)と目があってビビった私はジムの前を素通りした。
ところが「いいのか? そのままで? そのお腹のままお前はこれからの人生を過ごすのか?」私の中にいる天使か悪魔が問いかける。いや、このままではよくない! そう思った私は足を止め、振り返りキックボクシングジムに入門した。入門してからはサンドバックを相手に練習を積み重ね2ヶ月ほど経って慣れてきた頃には、目があった人に「スパーリングやりましょう!」と言われスパーリングを経験した。それからは不良が集まる学校に通う生徒のようにケンカ(スパーリング)に明け暮れる生活をほとんど毎日、10年近く続けた。ローキックを蹴られ、お腹を思いっきり蹴られ、みっともなくうずくまったり、殴られすぎて1時間ほど人の名前が出てこなかったり、試合のため来日したタイ人に絡まれボコボコにされたり、そんな生活を続けるうちに私の体は仮面ライダーのように割れた腹筋とたくましい胸、腕となり、メタボ体質からおさらばした。
同時に心の変化が私の雰囲気を変えてくれ、最近では「昔はいじめられっ子だったんだよね」と言うと「絶対ウソでしょ? いじめてた方でしょ?」という会話になることが多い。キックボクシングは私の心と体を改造してくれたのだ。
仮面ライダーがベルトを持っていないと変身して強くなれないように、私には運動の習慣で身につけた体がないと強い自分でいられない。あのときキックボクシングをしていなかったら私はいまどんな生活を送っているのだろう?運動を始め良い習慣は、自分の人生を良いものに変えてくれることを確信したのだ。
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