子供から学ぶ親のススメ
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記事:鈴木 伸幸(ライティング・ゼミ平日コース)
「いきなり心がへし折られそうだな……」
人の親となって数ヶ月経ったときのことである。いきなり壁にぶつかっていたわけだが、子育てをしていれば一度は悩んだことがある人は多いと思う。
自分もその一人であるが、初めて直面した問題は、とにかく懐かない。
生まれて数ヶ月はだっこしても泣かれたり、思い切りのけ反られたりして、妻に代わるとすぐに泣き止むことは日常茶飯事で、自分がすぐそばにいても妻がいなくなるとすぐに泣き出したりしていたので、妻のみの外出もままならない状況だった。
正直、自分がいても全く意味がなかった。
ただ、今のままでは妻の負担が大きすぎるので、何とかしたいと自分なりに勉強をしていたら、以下のようなことを聞いた。
「子供とのコミュニケーションが少ないのに、懐くわけがない」
「子供は敏感なので、義務感から接しているようでは決して懐かない」
確かに自分の行動を思い返してみると、仕事で遅くなったりしてコミュニケーション不足は否めないし、休みの日でも子供と接しなければならないという義務感を実は子供に見透かされていたのかもしれない。
「子が親を育てる」とはよくいったものだ。子供から課題を出されているような気がしてならないのだ。いわば先生みたいなものだが、結構容赦ない。
どうやら、今回の課題は「信頼関係を築くこと」らしい。
我が家では普段は自分が働きに出て、子供の面倒は主に妻が見ている。
子供からしてみれば、日頃から世話をしている妻が一番安心と信頼ができるので、妻はこの課題をすんなりクリアしている。
問題は普段働くことがメインとなっている自分であるが、大体平日はコミュニケーションの機会が少ない。まずこの時点で結構なハンデだ。
更に厳しいのは、この課題はいくら外で働いたとしても全く評価にならないということだ。
子供は普段面倒を見てくれる人を信頼しているのであり、親が外で何をしているのかは関係ない。
特に自分のように、普段は家を空けることが多い場合、接していなければ他人と同じなので、懐いてくれないのはある意味当然と割り切った方が良い。
そのため、こちらから積極的にコミュニケーションを図る必要があるが、機会が少ないといっても、赤の他人よりは多いわけで、そのチャンスをいかに生かすかどうかである。
自分の場合、「親なのにどうして懐かないか」という気持ちを捨てることから始めた。まずは仲良くならなければ、という気持ちで接した。
休日でもなるべく一緒にいる時間を増やし、少しの間でも二人で公園に行ったり、お風呂に一緒に入ったりするようにした。
当然始めのうちは、ぐずることが多く苦労したが、この課題は幸いなことに加点方式であるようだ。働くペース自体は変わらなくても、徐々に打ち解けてくれたためである。
ここで大事なのは、一緒になって楽しむこと。
ただ側にいるだけでは、普通の対人関係と同じで、ただただ気まずい。
こっちが話しかけたり、相づちを打ったりすると、まだ言葉をうまく話せなくてもそれに応えてくれる。
話のきっかけは主に子供が興味を示した物だ。好奇心旺盛なので、いろいろ目移りするが、ひとつひとつ説明していく。時には質問も織り交ぜたりする。
だが、すぐに結果が出ることを期待せず、粘り強く接する必要がある。
慣れ始めたころに、初めて妻が子供と長い時間離れて、家を空ける機会があった。子供と二人で留守番することになったのだが、この時はかなり緊張した。
手に負えないくらいにぐずり出したらと考えるとゾッとするからだ。
しかし、ふたを開けてみたらこれと言って困ったことはなく、若干拍子抜けしたくらいだ。ひとまず及第点をいただけたというところか。
今回の件で、自分は子供との信頼関係を築く方法を学んだ。これで少なくとも子供が生まれる前と比べれば成長があったはずだ。
個人的には、「子が親を育てる」というのは、子育てを通じてまだ自分にも成長する機会があるのだと前向きにさせてくれる考えだと思っている。
まだ子育て自体は始まったばかりなので、これから山ほど課題がでてくるだろう。
そしてそれが困難なものばかりになるだろうということも予想はできるが、子供の為だけでなく、自分の為とも考えることができたら、モチベーションも変わってくるのではないだろうか。
そして、更に約1年が経った頃、また別の悩みがでてきた。
二人で散歩に出かけると、家を出てすぐに両腕を広げてこう言うのだ。
「だっこっこ!」
……そう、前とは逆に、今度はだっこをせがむようになってきた。それ自体は当然嬉しいことではあるが、複雑な気持ちなのだ。
「いや、家を出て数メートルしか歩いていないのだが」
「父さんはもっと歩いてほしいのだけどな」
「今度の課題は何だ。痩せろということか」
確かに最近体重が気になっていたが、健康管理に気をつかえということなのか、我が息子よ。
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